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19話 執着と欲に溺れた男⑦
しおりを挟む俺は、内側から鍵を開け携帯電話がある駅のロッカーへ向かった。
運がいいことに、瑠衣さんからの着信はなかった。
「戻りました~」
「ん!お帰りなさい。遅かったわね」
「記憶が思い出せるかと思い、駅の周辺を歩いてました。まぁ、相変わらず記憶は戻らないですが」
「そっか」
「ん?」
瑠衣さんの返事がいつもと違う気がする。
なんかこう……冷たいというのか。
「あの……何かあったんですか?」
「……」
「え?」
瑠衣さんは、変わらず冷たい。
「……今日はダメなの」
瑠衣さんは、唇を噛み締めるように俺を見ている。
何かを訴えている。それは分かるんだ。ただ、何が言いたいのかわからない。
ええい、このままじゃ、話が進まない。
「一体どうしたんですか?言っちゃってくださいよ」
俺は、少し場の空気を変えるためおちゃらけてみた。
「……生理なの」
「……」
やってしまった。
俺は最低だ。
女性に聞いてはいけないワード、ベスト3を本人に言わせてしまった。
ちなみに、ベスト1は体重・ベスト2は年齢だ。
しかも、少しおちゃらけてしまった事もあり、余計変な空気になっている。
「……」
「……」
最悪だ。
昼ドラの浮気がバレたかのような、嫌な雰囲気が漂う。
いや、浮気どころか彼女もいないから何と無くだけどね。
分かるでしょ?
「……なんか、ごめんなさい」
「んん、いいのよ。私も一緒に暮らすってことを少し甘くみていたわね。そこで、提案があるんだけど」
「あ、はい」
「隣の部屋に住まない?ここ会社の寮だからさ家賃もかからないし、私が隣にいれば何かあってもすぐに対応できるからさ」
ん?ここは会社の寮で隣が空いていると。
ならなぜ、ここに住む前に言わないのだ。
これは、もしかして本当に僕と『……早く……入れ……達也……』を期待していたりして。
いやいや、ダメだ。これはあれだ、童貞あるあるの『あれ?これいけるんじゃね?』現象に陥っているんだ。
もし、彼女の信頼を失えば俺は間違いなく終わる。
いっときの、息子の暴走でそんなことしてたまるか。
ここはぐっと我慢だ。
それに、部屋を分けるのは俺にとっても都合がいい。
これからは、夜も活動ができるってことだからな。
仕方がない……瑠衣さんと離れるのは心苦しいが、俺の目的は復讐だ……そこだけはブレてはいけない。
……息子は左にブレているが。
その後、瑠衣さんと話し合い俺は隣の部屋に移る事になった。
しかしすぐにとはいかない為。今日は瑠衣さんの家で泊まる事になった。
「あぁ~あ~寂しくなるな。達也くんがいなくなるの」
脱衣所から、髪をタオルで拭きながら瑠衣さんが出てきた。
いつもより際どい。
ふくよかな胸の谷間が上着から顔を出している。
お風呂上がりという事もあり、放物線を描いた谷の隙間が汗ばんでいるのか少し光って見える。
それに……多分気のせいだ。気のせいなんだが。
服の下に下着を着ているはずなのに、上着越しでみた胸は柔らかった。
そう、触ってもいないのになぜかそう感じてしまった。
これは……ノーブ、いやいや。童貞よ、甘いぞ。甘すぎる。そんなんことを期待してはならない。
落ち着け……落ち着くんだ……右にブレるな息子よ。頼むから、とんがるなんてことはやめてくれよ。
「ん?どうしたの?やけに背筋がいいけど。うふふ、もしかして私のパジャマ姿に興奮しちゃったの?」
「んが!?いや、違いますよ。ちょっと、お腹がいっぱいで。瑠衣さんの手料理が食べられなくなると思って食べ過ぎちゃったんですよ」
「うふふ、そうね、達也くんはいつもいっぱい食べるから、多く作っちゃうんだよね。あ、それなら頑張ったご褒美として肩のマッサージしてもらっても良い?最近パソコンばっか見てて凝ってるんだよね」
「ファ!?ま、マッサージですと!?」
まままま、マジでか!!
なんだよこの展開は。
もうこれって、そういうことだよね!?
いやいや、違う!断じて違う!
息子は、30度ぐらいまで上がっているが気のせいだ。
やましいことはないはずだ。
そうだ、冷静になるんだ童貞よ。
「い、良いんですか?僕、マッサージなんてしたことがないですが」
「良いの、良いの。揉んでもらうだけでも全然違うからさ。ほい!じゃあよろしく」
瑠衣さんは僕に背中を向けると、肩を出すためか服を下に引っ張った。
そして、下がった事により胸元がさらに緩くなっていた。
今気がついたが、肩に紐はついていない。
これが何を指すか分かるか?そうだ、ブラをしていない!!
ということはだぞ……もしかしてこれって、見えてしまうのでは……
いや、そんな簡単に拝めるわけがないだろ。
ゴールだぞ?最終ゴールのB地点だぞ。甘い、甘すぎるぞ童貞。
きっとこれは、見えそうで見えないというオチだ。
「な、なら。触りますよ」
お風呂上がりのためか、近くに手を置くと暖かく若干だが熱気を感じた。
そしてゆっくりと白く綺麗な肌に手を置いた。
「んっ……冷たい」
動画でしか聞いたことのない声が耳を刺激する。
息子は45度だ。
「あ、ごめんなさい。今は大丈夫ですか?」
「……ぁ。うん、大丈夫……続けて……」
な、何なんだこの気持ちは。
おかしくなる、頭がおかしくなる。
それに、息子が少しだけ泣いている気がする。
これは本格的にまずいぞ。
理性が保てない。今すぐにでも、瑠衣さんを押し倒してキスをしたい。
全ての服を脱がして抱きつきたい。
「……んっ。ちょっと……っん。ぁん……強いかな」
「あ、ごめんなさい!!」
いかん、興奮し過ぎて力が過剰に入っていた。
それに瑠衣さんの体がさっきよりも暑い気がする。
いや、僕が熱くなっているのか。ダメだ、息がしずらい。吸う量と吐く量が合わない。
酸素が、脳に届いていないのかふわふわしてきた。
「……ん……ん。はぁ……はぁ……んっ」
「……」
瑠衣さんの声が俺の頭の中を暴れ回っている。
俺の息子は、もう立派に立ち上がっている。
思い返せば、処理なんてずっとしていなかったんだ。ごく自然な反応だ……若いし。
「はぁ……はぁ……」
そして等々、俺の呼吸も荒くなってきた。
ここまでは何とか理性を保てていた。が、瑠衣さんが声を少し出して前屈みになった瞬間僕の理性は吹き飛んだ。
なぜかというと、ゴールが見えてしまったからだ。
ゴールは、自分の知識の中にはない可愛らしい形をしていた。
黄金比でできた真っ白なお椀に、小さく可愛い色をした茶色のゴール。
そのゴールの周囲には、想像よりも大きい薄茶色の円で囲われていた。
そして汗ばんだ体から出た、綺麗な雫がゴール近くをカーブを描きながら流れていくと、瑠衣さんの体は少しだけ揺れた。
「……瑠衣……さん。僕、もう……」
俺は我慢できずに、肩から手を離し欲望のままゴールへ手を伸ばした。
『ピンポーン』
空気の読めないチャイムが鳴り響く。
「「!?」」
「宅配便です」
「あ、あ、は~い。すぐ行きま~す」
「あ……透明」
特に意味もなく、スキルを唱えてみた。
もちろん、スキルは発動されることなく何も起きなかった。
「あ、ごめん、ごめん。昨日、ママゾンで買い物したての忘れてたよ。マッサージありがとうね。すごい気持ちよかったよ!!」
瑠衣さんは、まだ少し汗ばみ頬が赤くなっているが、ありがとうね。よかったよ。と、来ればこれで終了と言うことだ。
俺の人生で忘れることのできない二つ目の後悔になった。
ちなみに、一番の後悔は義父親が亡くなった時だ。
「あ……はい。どういたしまして」
俺の息子は未だ元気いっぱいだったので、バレないように太ももの間にしまった。
そして、瑠衣さんが寝静まった後、トイレで励んだ。
こうして、瑠衣さんとの日々は終わりを告げ、次の日から俺は隣の部屋に住むことになった。
しかし今思えばこれでよかったのかもしれない。
もちろん、夜行動することが出来るようになったのも重要だ。
だが、なにより1番良かったと思うのは大人の処理をできるようになったと言うことだ。
今までは、トイレでロマンのかけらもなく、ただただ本能のまま行っていた。
だが、これからはゆっくりとできるようになったのだ。
幸せと言わざるを得ないであろう。
おっと、もちろん復讐は忘れてない。
今頃あいつは、開かない金庫に苦戦しているであろうからな。
今は引越しの準備で次のネタが仕込まないが、ほったらかしにしておいても問題はない。
何もしなくても勝手に自滅すると思うからさ。
ま、それもこれも落ち着いて金庫の中に隠したボイスレコーダーを回収すればわかるさ。
あぁ、楽しみで脳が溶けそうだ。
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