ゴルゴーンロンド

狸屋アキ

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番外編 ダビデの腕〈混ざりものとは〉

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 ダビデの腕はすごいと思う。1セットでは縫い物を編み、またもう1セットでコーヒーをいれ、最後の1セットで本を読んだりする。
「それ、どうなってんの?」
「あー?一本一本に意思があるんだよ。だからやりたくないことはこいつらはやんねぇよ」
 らしい。しかし、ダビデも僕より四本腕が多い、四つ目が多い他は肌も髪も僕に、人間に似てる。この店で働いて気づいたが、外的に僕に似てるものもいれば、本当に腕の数とか肌とかもう人間に似ても似つかないものもいるということだ。
「そりゃあれだ。俺らは混ざりもんらしいからだ」
「混ざりもん?」
「昔でいうキメラ…俺みたいにお前の形に似てるやつ?っーのはニンゲンの遺伝子と他が混ざってるらしいからちょっと似てんだよ」
 らしい。じゃあ、今店にいる触手モップみたいな客とか、ハンバーガーズみたいなのはなんなんだろう。
「純血統だよ。なんも混ざっちゃいない、壁が出来てから急に沸きだしたやつらしいな」
 話してる傍らで、ハンバーガーズがゲラゲラやっている。呑気だなぁ。
「純血統は基本なんも考えてねぇよ。自分がたのしけりゃそれでいいんだよ」
 へぇ。といわれるとダビデはなんの混ざりもんなんだろう?
「さぁ~クモとかじゃねぇの?俺なんか奴隷用キメラだからそんなん聞かされたことないね」
「えっ、奴隷…なんかごめん…」
「謝んなって。別に気にしてねぇし奴隷やってたお陰でジジイに拾われたんだ。が、俺を奴隷にしたやつは見つけ次第殺す」
 この町に平和はないのか…。
「ねぇ。壁内は治安維持の警官?とかいうのがいるらしいけどここらは無法地帯だ」
 とかいいながら、ダビデの腕はまた違うことをしだしている。便利そうだ。
「便利ィ?たまに腕だけが喧嘩するしわりと鬱陶しいぞ」
 ダビデは腕が二本だろうが、六本だろうが気にしないんだろうなぁと感じた僕だった。
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