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特別編 記念話はIF、特別話は主人公たちの知りえない話です
リクエスト話 変わる関係
しおりを挟む「ごめんね、うちの社長の決定でさ、男相手の商売で女性のパートナーが居るのはどうなんだ、って。 仕事とパートナーどっちを取るかって言ったら……」
「じゃあやめます。 ありがとうございました」
純はへらへら笑うマネージャーに別れを告げ、事務所を飛び出て電車に乗った。
まだ日の高い駅はちらほらと学生らしき人影があるだけだ。
芸能界という煌びやかな世界も、純にとっては日常となんら変わりない。
好きでもない相手に媚びを売って、取り繕うだけ。
そんな世界のために姫花と離れ離れになるなんて、想像しただけで反吐が出る。
珍しく不快感を表した純は、電車の窓に映った自分の顔を見ていた。
電車が駅に着き、見慣れた景色が広がる。
いつものマンションへと帰ると、そこには暗い顔をした姫花が待っていた。
「ただいま。 疲れちゃった」
「……ごめん」
ワンルームの部屋の真ん中で、姫花はこの世の終わりみたいな顔をしている。
顔を俯かせたままテーブルをじっと見て、弱々しく声を絞り出す。
散々泣いて、涙も枯れてしまったんだろう。
しわしわになったスカートと、充血した目がそれを物語っている。
純は静かに姫花へと近づき、後ろから抱きしめた。
姫花はびくっと体を震わせて、抱きしめる純の腕を引き剥がそうと力を込めた。
「そういう気分じゃなかった?」
「なんで……こんな事……」
姫花の弱い力では純から逃れる事が出来ない。
しばらく静かな攻防が続き、純の腕から一筋の血が流れた。
「えっ……ごめん! ごめんなさい! 私っ、そんなつもりじゃ……」
姫花の爪が純の皮膚を引っ掻き、切り傷を付けていた。
純の穢れを知らない、玉のような肌を赤い色が伝う。
傷口からは血が滲み、丸くなっていた。
俯いていた顔を上げ、必死に謝る姫花を見て、純はふふっと涼しく笑う。
さっきまでの不機嫌さが嘘のように、とても嬉しそうに笑っていた。
「やっとこっち見てくれた。 嫌われたんじゃないかって心配したよ?」
「なんで……? 怒ったり……怖がったり……しないの……?」
「しないよ。 こんな傷舐めとけば治るし」
肘を顔に近づけて、頑張って舐めようとする純の腕を、姫花は掴んだ。
そして傷の開いた二の腕へと顔を近づけると、ゆっくりと舌を這わせた。
「姫花、そんなの舐めたら汚いよ」
「汚く、ない……。 純に汚い所なんて無いよ……」
姫花の舌が傷口をなぞるたび、純の背中に知らない感覚が走る。
ぞくぞくとした痺れが背中を伝って、頭の奥まで痺れて来る。
傷口を這う舌が唇に触れ、鮮血が口紅の様だ。
たどたどしく舐め続ける姫花の様子に、純は生まれて初めての欲望を感じた。
「姫花。 シよ?」
「私を慰めるため……? そのせいで純はクビにされ……」
「するね」
純は姫花の頭を両手で掴むと、乱暴に唇を重ねた。
舌が挿しこまれ、姫花の喉を塞ぐ。
突然の出来事に、姫花は顔を背けてせき込んでしまった。
「げほっ、ごほっ! ちょっと、いくらなんでも乱暴すぎ……」
「ごめん、上手くできないや。 任せてもいい?」
純は目を閉じて、姫花に体を委ねる。
姫花に触れて欲しい、傍に居て欲しい。
もし姫花が居なくなったらと考えて、どれだけ姫花が大切か思い知らされた。
仕事と姫花を秤にかけられて、初めて本気で腹を立てた。
純にとっての初めては、いつも姫花だった。
姫花は悩んでいた。
せっかく開かれた芸能界という世界への扉を閉ざし、純の足を引っ張ってしまった。
一方的な愛を押し付け続け、ついに害を与えてしまった。
優しい純に、甘えてしまった。
姫花はこれまでの全てに疑問を抱いていた。
純の傍に、居る資格があったのだろうか。
純に知らなくても良い事を教えこみ、堕落させ、穢した。
純粋だった純に、淫らなお願いをさせてしまった。
姫花は強い自己嫌悪に襲われている。
自分のしてきた事は、全て純の邪魔だったんじゃないか。
姫花は体の震えが止まらない。
自分なんかが、これ以上純の傍に居たら。
立ち上がろうとする姫花を、純はぎゅっと抱きしめた。
「焦らし過ぎだよ。 我慢できなくなっちゃう」
「純。 純はそんな事言う子じゃ無いでしょ? 無理しないで。 私に無理やり合わせたりなんか……」
「姫花、怒るよ?」
睨みつけるような純の強い視線に、姫花は言葉を失った。
感情の乏しい純の見せた激情が、姫花の心を震わせる。
枯れ果てたはずの涙が、姫花の頬を伝った。
「純……」
「姫花なら、何に怒ってるかわかるよね?」
「でも、私にそんな……」
「いくら本人でも、それ以上好きな人を悪く言うと許さないよ?」
もう姫花の涙は止まらない。
純の言葉は純粋すぎるが故に、弱った姫花の心に深く深く突き刺さった。
「ごめんなさいっ……こんな状況なのに……わたし、嬉しくて……」
姫花は自白した。
自分のせいで純は芸能界を辞めざるを得なくなったのに、それを喜んでしまった。
不特定多数の人間に純の姿が晒されて、企画と称してしたくもない事をされているのが許せず、ファンが出来るのが許せなかった。
自分だけの純で居て欲しい。
その浅ましい願いが叶い、喜んでしまっていたのだ。
「あってるよ、私も嬉しいもん。 芸能界に入って、姫花が好きだって気付けたから」
純は優しすぎる。
勘違いしてしまう。
みんな好きになってしまう。
みんながみんな、純の特別だと思ってしまう。
そんな純が、姫花の事を好きだと言った。
付き合いの長い姫花にはわかってしまった。
声が震えている。
強く拳が握られている。
涼しい顔から、余裕が無くなっている。
初めての愛を、人に伝えるのが怖かったんだろう。
純が、本気で好きだと伝えてくれた。
「好き……私も好き……純が、好き……」
「好きを伝えるのって、一回じゃだめなんだね。 たくさん言われた方が嬉しいや。 好きだよ姫花、大好き」
ふふっと弱々しい笑顔を浮かべた純を、姫花は抱きしめてしまった。
自己嫌悪をぐっと抑え込む。
純が好きだと言ってくれる姫花を、これ以上嫌いにはさせない。
姫花はいつも正直で、全力で、純が全てじゃないといけない。
姫花のために割いている分の感情を純に回す。
純が愛してくれるなら、それ以上に愛さないと。
「純が好きなのは、どんな私?」
「姫花は姫花だよ。 何をしたって、どう思ってたって姫花だよ」
「最低の事を考えてても?」
「うん。 その最低な事も、相手が私だから考えてくれたんでしょ?」
優しく頭を撫でられて、姫花は声もなく泣いていた。
悲しさからではない、嬉しさからくる涙。
純に全てを受け入れられ、姫花は姫花のままで居られる。
窓からの光が純を背後から照らしていて、まるで天使のようだった。
「お風呂、入ろ」
「良いね。 私も疲れてたの思い出した」
高鳴る胸を抑え、目も合わさず服を脱ぎ、壁を見ながら脱衣所へと入る。
するするという衣擦れの音が、んっ……という純の小さな息遣いが嫌というほど耳に入る。
もし今純の方を見てしまったら、きっとその場で襲ってしまう。
姫花は体を支配しようとする劣情を必死に抑え、なんとか浴槽に浸かる事が出来た。
「二回目だね。 一緒にお風呂入るの」
「カレーの匂いはしないけどね」
「にんじんになった気分だった」
背後から聞こえるあははっ、と笑う純の笑い声が体を蝕んでいく。
姫花の中で燻っていた暗い感情がどんどん大きくなり、それ以外考えられなくなってくる。
お湯の温度も、心地良さもわからない。
ただ、背中に触れる純の肌の滑らかさだけが伝わってくる。
「初めてはお風呂にするの?」
「うん。 石鹸の匂いを嗅ぐたびに私を思い出して?」
「もう忘れないよ。 好きな人の事だもん」
「この人たらし」
姫花の劣情は、ついにその姿を現した。
振り向いた姫花の舌が、純の首をなぞる。
「んっ……なんかぞくぞくする……」
「誰にでも優しくして。 誰にでも愛想振りまいて。 みんな好きにさせちゃって。 全部純が悪いんだよ?」
「ごめんね。 もう姫花にしか優しくしな……」
「だめ。 純は今まで通りの純で居て。 みんなに優しくして、好きにさせて。 それでも私に抱かれてる間は、私の事しか考えられなくさせてやるから」
「姫……かあっ……」
頸動脈を舐められて、純の背中をぞくぞくとした快感と少しの恐怖が襲った。
姫花がもし牙を立てたら、純の真っ白な首からシャワーのように鮮血が降り注ぎ、あっという間に死んでしまうだろう。
快感を与えられながら、生殺与奪に至るまで全てが姫花の自由だとわからされる。
仰け反るようにして快感に悶える純が可愛らしい。
そのスタイルの良い体も、潤んだ瞳も、吐き出される吐息すらもう姫花の物だ。
「首だけでこんなに悶えて。 こんなにエッチじゃアイドルは無理だね」
「あっ……なんっで、こんなぁ……あぁぁ……」
「前に教えてあげたでしょ? エッチなのは好きな人同士のほうが気持ち良いって」
「こんなにっ……変だよぉ……」
首から伝わるぞくぞくが治まらず、純は小刻みに体を震わせている。
涼しい表情からは余裕が無くなり、玉のような汗が噴き出している。
少し伸びた茶色い髪が首に張り付き、その白さを強調する。
髪の先ごと舌を這わすと、純はぴくんと小さく跳ねた。
「ひめかっ……ひめかぁっ……」
「可愛い。 ほら、ワンちゃんみたいに舌出して? いっぱいキスしてあげるから」
「んぅっ……」
差し出された舌を姫花は口に含み、先端に先端を重ねちろちろとなめた。
もどかしい快感が純の頭の中いっぱいに広がり、美しい顔を淫らに変えていく。
虚ろな顔で舌を突き出したその姿は、姫花を余計に惹きつけた。
「やっぱりお風呂にして正解だった。 ベッドだったら、もうびちょびちょだったよね?」
「熱くてっ……よくわかんないよ……」
蕩けきった純が体を預けてくる。
その体は熱くて、お湯に溶けてしまいそうで、とても柔らかかった。
「ふぁっ……」
「気持ち良い?」
「わかんないぃっ……」
姫花の手が純の乳房を撫でる。
何度目かになるその刺激も、以前とは様子が違う。
じんわりとするような気持ち良さではなく、いきなり快感が突き抜ける。
胸全体が弱点と化したかのように、どこに触れられても頭に火花が散った。
「あっ……はっ……苦しぃ……なんかっ、切ないっ……」
「きゅんきゅんってする? 静めて欲しい?」
「お願いっ、姫花ぁ……」
優しく胸を撫でながら唇を重ね、舌を絡ませてぎゅっと抱き合う。
残った手はまるで恋人の様に、一本一本指を絡ませる。
姫花の温もりと愛を感じながら、純は声にもならない小さな喘ぎ声をあげていた。
「うっん……はぁっ……ひぅっ……」
「んっ……ぷはっ……見て、こんなに糸引いてる。 興奮すると、唾液がとろとろになるんだって」
「やらぁっ……みらいれぇ……」
純は舌を伸ばしたままはぁはぁと息をしている。
力の抜けきった体は舌を引っ込める事すら出来ず、ただ快感に悶えている。
姫花は純の下腹部へと手を伸ばすと、少しだけ力を込めた。
「う、うぁぁぁぁ……」
押し込む指の動きに合わせて、純はうめき声を上げた。
困惑するようなその声は、体中を襲う未知の感覚によるものだ。
触れられた部分からきゅんきゅんと切ない痺れが全身に広がり、腰が勝手に跳ねてしまう。
お腹の奥が疼き、刺激を求めて悶えている。
今まであまり意識した事も無く、煩わしいとさえ思っていた純の中の女の部分が、今や純を支配していた。
「ここ、触ったことある?」
姫花の手がお腹の上から純の秘部を撫でる。
切なさの中に甘い痺れが混じり、純の頭を淫らに染めていく。
「お願い、姫花ぁ……切なくて死んじゃう……」
「だーめ。 答えて」
純は今にも泣き出しそうだ。
性的な興味があまり無かった純にはこの疼きを解消する手段がわからず、耐える事すら出来ない。
激しい肉欲に苛まれながら、どうする事も出来ないのだ。
「ちょっとだけ……なんにも感じなかった……」
「どんなふうに触ったの?」
「普通に……体洗うみたい、にぃっ!?」
「こう?」
姫花の指が無造作に純の割れ目をなぞると、純は上ずった声を上げて背中を大きく仰け反らせた。
姫花はそっと背中に手を添えて体を支える。
腕の中で、純が絶頂を迎えたのを感じた。
「やっ、待っ、てぇ! へんっ、体が、へんっにぃ!」
「変じゃないよ。 これが気持ち良いって事なんだから」
「ちがっ……こわ、いっ……こわいのぉ!」
純が子供のように泣きじゃくっている。
ぎゅっと抱きつくその力は驚くほど強く、姫花の腕がぎしぎしと軋んだ。
純がこんなに大きな声を出すのを初めて聞いた。
こんなに怯えた顔をするのを初めて見た。
そんな純の姿が、愛しくて堪らない。
「ほら、お願いしてみせて? どうして欲しい?」
「もっと、優しく……気持ち良くして……」
「うん。 良いよ、任せて」
姫花が優しくそう囁くと、純の体から再び力が抜ける。
それを確認すると、姫花は純の割れ目を丁寧になぞった。
恐怖を与えぬよう、触れては離れを繰り返す。
まるでキスをするかのようなその動きは、純の中の淫らな部分を引き出していく。
「んっ……はぁっ♡ ぅ……んぁっ……あっ♡」
姫花の指に合わせて純の腰が前後する。
初めは逃れるように動いていた腰の動きが、徐々に反対の方向へと変わっていく。
純はいつしか、姫花の指へと自らの秘部を押し付けていた。
切ない声にも、甘い響きが混じっている。
「純、すごく気持ち良さそう。 鏡見て?」
姫花が少し体を傾けると、その後ろにある鏡に純の姿が映る。
両手を後ろに突き、足を広げ、腰を振る淫らな女。
それがまさか自分の姿とは思えず、純は不思議そうな顔をした。
あの人は誰だろう。
あんな卑猥な格好で、顔を蕩けさせている。
水面から突き出た痛そうなほど尖った乳首も、ぱくぱくと動く開ききったあそこも、見ていられないほど淫らだ。
呆けた顔で口を開き、嬉しそうに目を細めている。
あの人はきっと、エッチな事が大好きなんだろう。
「ほら、あれが純だよ。 私が染めた、エッチな事が大好きな純」
「あれが……私……?」
理解したと同時に訪れた自分が自分で無くなる恐怖は、姫花の指によって与えられた快感に掻き消される。
あそこを撫でられていると、もう気持ち良い事しかわからなくなる。
これが気持ち良い事だと理解してしまった瞬間に、純の体はその意志とは関係なく純を作り替えてしまった。
「ほら、気持ち良いかどうか教えて? どんな感じ? どうして欲しい?」
「す、ごくっ……気持ち良いっ♡ 背中、ぞくぞくってしてぇ……♡」
姫花はもう指を動かしていない。
ただ添えているだけの指へと純は割れ目を押し付けて、ひとりで腰を振っている。
はっはっと息を荒げ、懸命に腰を振る姿はとても可愛らしい。
ここにはもう以前のような純は居ない。
純粋で、清らかで、誰も触れてはいけないような。
誰にでも優しく、みんなに愛されるあの純が、今や快楽に溺れて淫らな姿を晒している。
その事実が姫花の胸を潰れそうなほど締め付けると共に、この上ない幸せを感じさせていた。
姫花を悩ませた二律背反が、少しずつ力のバランスを変えていく。
「イく時はイくって言って、私の名前を呼んでね?」
「わかんないっ♡ イくの、まだわかんないよぉっ♡」
「こうだよ。 これがイく」
「えっ……あぁぁぁぁぁ♡」
姫花の指が突然秘部へと挿し込まれ、純はあっけなくイってしまった。
疼き、刺激を求めていた所に与えられた大きな快感は純の意識を洗い流し、全てを快楽に置き換える。
入り口をなぞるだけの指の動きが快感の後にさらなる疼きを生み、純の心を掻き乱す。
純の膣壁は痛いほど姫花の指を締め付け、蠢いていた。
「わかった?」
「うんっ♡ わかったけど……体が、変だよぉっ♡」
触れられているのに触れて欲しい。
気持ち良いのに気持ち良くなりたい。
これだけ触れ合っているのに、もっと触れたい。
純の願望は強くなるばかりで、願望に慣れていない純はどうしたら良いかわからない。
「姫花っ……助けてぇ……」
「こういう時はね、治まるまでイくと良いよ?」
「あ、だめっ、やだっ、これっ、イく、イっちゃ、あぁぁぁぁ♡」
姫花は純のナカで指を立て、膣壁をカリカリと掻いた。
ザラザラとした部分を重点的に、優しく解していく。
初めは大きな喘ぎ声を上げながら腰を高くさせていた純も、刺激が続くと大人しくなってくる。
純は絶頂に絶頂を重ね、疲れからも全身に力が入らなくなってしまう。
ひくひくと震えるナカは、今やトロトロに溶けていた。
「段々イくの上手になってきたね。 ちゃんと力を抜いて、気持ち良さに身を委ねてみて」
「うっ……はぁっ……もう、わかんないよっ……」
純の目からは光が消え、虚ろになっている。
もし姫花の手が離れれば、純はお湯へと沈んでいくだろう。
限界を超えた快感を与えられ続け、純はもう何がなんだかわからない。
わかるのはただ、それでも体が快感を求めている事だけだ。
「わかるように説明してあげるね?」
「いっ……やぁぁぁぁ♡」
「ほら、純のあそこの奥、ここが子宮だよ。 ここに直接触っちゃうと痛いから、その下を触るね」
とんとんと、指一本でノックをするように突かれる。
その動きは純の奥に強い快感と疼きを生み、もどかしさがこみ上げてくる。
純のナカは全身を使って姫花の指を咥えこみ、扱き上げていた。
「純、男の人を気持ち良くする才能があるかもね。 こんなに絞られたら、すぐ射精しちゃうんじゃない? あーあ、私が男だったらなぁ」
「わかんないっ、わかんないよぉっ♡ とんとんだめっ♡ ずっとイってるからぁぁ♡」
余裕の無い純の声が心地良く、欲望が満たさせるのを感じる。
純が、全身で感じてくれている、受け入れてくれている。
それだけでも十分なのに、こんな顔をされたら我慢出来ない。
姫花はそっと、二本目の指を挿し入れた。
「あっ、あぁぁぁぁぁ♡」
もう純は話すことすら出来ない。
ナカを自在に掻き回す姫花の指に、頭の中まで掻き混ぜられているようだ。
中身が全部絶頂と一緒にどこかに行ってしまい、空いた所から快楽に染められる。
イき続けた純の心と体は、もう全てが快楽に染まってしまった。
姫花がようやく指を引き抜き純の体を抱きしめた時には、純はもう糸の切れた人形のようになっていた。
「愛してるよ、純」
返事の無い純の体を、姫花はずっと抱きしめていた。
暗いベッドの上で純は目覚めた。
体にはまだ快感と疼きが残っていて、じっとしていてもナカを動き回る姫花の指の感触が感じられる。
終わったはずの行為に蝕まれ、純はパジャマの上からぎゅっと秘部を押さえつけた。
どれだけ手で押さえつけても、存在しない物を止める事は出来ない。
確かに残る姫花の指は、純のナカを掻き混ぜていく。
「ふふっ、ひとりでするの?」
背後から、姫花の甘い声がした。
濃厚な、女の匂いが漂ってくる。
発情した女が発する、濃い女の匂い。
姫花の物だとわかっていても、どうしても少し拒否反応が出てしまう。
抱きしめた純の体がぴくっと跳ねたのを、姫花は見逃さなかった。
「私が怖い?」
「……少しだけ。 全然知らない世界だったから」
「愉しんでたくせに」
姫花の口が耳を食む。
ちゅぱちゅぱという水音が耳元で響き、甘い痺れが背中から全身へと駆け巡る。
「あっ♡ い、やぁっ……♡」
「こんなにエッチになっちゃって、もう戻れないよ?」
「戻れなくて良いから……ずっと一緒に居て……」
心に突き刺さる棘のような純の言葉を受け入れて、姫花は純の胸へと手を伸ばす。
「ずっと一緒だよ。 一緒に、もっとエッチになろ?」
「ひめかぁっ……♡」
蕩けきった純の甘えた声は、一晩中部屋に響いていた。
「姫花、今日講義は?」
「無いよ。 教授が論文発表とかで」
「そうなの? 実は私も休みなんだ」
朝日の差すベッドの上で、純と姫花は向かい合っていた。
純は相変わらず涼しい顔をしていて、まるで昨日の事が夢だったみたいだ。
寝起きだというのに相変わらず美しいばかりで、ある種の神聖さのような物すら感じてしまう。
あれは、本当に夢だったんだろうか。
「起きて損しちゃった」
「はじめから休みだったのになんで起きたの?」
「いってらっしゃいのチュウしたくて」
んーっ、と顔を近づけて、純は唇を重ねてくる。
口内の形を確かめるような、丁寧なキス。
その感触に、昨日の事が夢ではないと気付かされる。
「上手くなったね」
「あれだけされたら上手くもなるよ。 せっかく数、数えてたのに」
「途中から意識無かったもんね。 気持ち良かった?」
「うん、すっごく。 やっぱりエッチは好きな人同士に限るね」
「でしょ? もっと色々教えてあげるから期待しててね」
「ふふっ、耐えられなくて壊れちゃうかも」
「壊さない。 純の事は誰よりも知ってるんだから」
純と姫花は笑い合いながらお互いの体を抱きしめる。
いつもと変わらない朝は、新しい朝になっていた。
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