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8 お酒が飲みたい
フェンリルが村に住み着いてから、魔物も魔獣もぱったり来なくなった。
「いやぁ、番犬の仕事してくれて助かるな~」
さすがに自分が育てた野菜や穀物を食い荒らされるのはつらい。
魔獣除けがフェンリルというのはなんとも言えないが、効果は絶大だった。
だが――
「……おい、フェンリル。どんだけ食うんだよ……」
「……………」
もぐもぐ。もぐもぐ。
「なんか言えよ!!」
「ゴクッ。妾はいくらでも食えるのだ!」
「まだ食う気かよ……!」
この狼、倉庫に保管していた非常食まで平らげやがった。
冬を迎える前に、保存食がほぼ壊滅状態。
「もう終わり!村の食料がなくなっちまう!!」
「……あの~」
「ん? どうした、ステイ?」
ステイの顔がほんのり赤い。息がちょっと荒いような……?
「すみませんっ! 私も最後にもう一杯だけ、おかわりを……!」
顔がどんどん赤くなっていく。
……ああ、酔ってるんだな、これ。
「ふふっ。ステイは可愛いな。ほら、おかわりどうぞ」
「ありがとうございます!」
「なぜだ! なぜ妾にはおかわりがなくて、ステイだけ許されるのだ!!」
「お前が食いすぎだからだよ!!」
冬越し用の保存食を根こそぎ消費したくせに、まだ文句言うのかこの番犬は。
「もう仕方がない。フェンリル、お前が食った分、狩って補充してこい!」
「妾に働けと!? この偉大なるフェンリル様に!」
「イラッ。おい、フェンリル……殺されたいのか?」
俺が睨みつけると、フェンリルはぴしっと敬礼し、即座に森へ飛び込んでいった。
「はぁ……それにしても、肉って……やっぱり酒が欲しくなるよなぁ~」
その一言に、ステイがピクリと反応した。
「じゃあ、村でお酒を作りましょうよ!!」
「おお、いいじゃん! ステイも酒好きか?」
「ええ、大好きですとも。ふふふ……お酒があれば、冬でも楽しく過ごせますし!」
「じゃあ今あるもので作れるのは……ワインかな?」
村の片隅には、ジークが持ち帰ったブドウの木が育っていた。
「ジーク、樽の準備お願いね! 私はブドウの収穫してくる!」
「よっしゃ、任せろ!」
こうして、村の初めての“酒造り”が始まった。
* * *
一方、村から数キロ離れた森の中――
「ここに……本当にあるんだろうな?」
「当たり前だ! ブドウはこの森でしか取れない貴重品なんだから!」
ドワーフのロイとテイ。二人は噂を聞きつけて、ブドウを探していた。
……が、いっこうに見つからない。
「ロイ! 全然ないじゃないか! このままだと、魔獣のエサに――」
「うるさい! それはテイが勝手にあっちこっち行くからだろ!」
その時。
〈ワオーーーーン……〉
「「!?」」
「今の、何の声だ……?」
「あっちから何か来るぞ!」
「取りあえず――逃げるぞ!!」
* * *
【村】
「ジークさん。フェンリル様が出てから、もうだいぶ経ちますけど……戻ってきませんね」
「狩りすぎて、運べなくなってるんじゃないか?」
〈ワオーーーーン〉
「来た!!」
「番犬の帰還か……」
「どうしたんですか?」
「狩りすぎて、一人じゃ持って帰れないってさ」
「どんだけ狩ったんですか……」
「ちょっと行ってくる」
ジークはひょいと立ち上がり、森へと向かった。
* * *
「ロイ! 見ろよ、あれ……建物だぞ! まさか、こんな場所に……!」
「テイ! あそこに行くぞ! なんかこう……魂が訴えてる!」
「「突撃ぃぃぃ!!」」
* * *
ジークが村に戻ると、なぜか見知らぬ二人のドワーフが酒の仕込みをしていた。
「……お酒、飲めるかな?」
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「いやぁ、番犬の仕事してくれて助かるな~」
さすがに自分が育てた野菜や穀物を食い荒らされるのはつらい。
魔獣除けがフェンリルというのはなんとも言えないが、効果は絶大だった。
だが――
「……おい、フェンリル。どんだけ食うんだよ……」
「……………」
もぐもぐ。もぐもぐ。
「なんか言えよ!!」
「ゴクッ。妾はいくらでも食えるのだ!」
「まだ食う気かよ……!」
この狼、倉庫に保管していた非常食まで平らげやがった。
冬を迎える前に、保存食がほぼ壊滅状態。
「もう終わり!村の食料がなくなっちまう!!」
「……あの~」
「ん? どうした、ステイ?」
ステイの顔がほんのり赤い。息がちょっと荒いような……?
「すみませんっ! 私も最後にもう一杯だけ、おかわりを……!」
顔がどんどん赤くなっていく。
……ああ、酔ってるんだな、これ。
「ふふっ。ステイは可愛いな。ほら、おかわりどうぞ」
「ありがとうございます!」
「なぜだ! なぜ妾にはおかわりがなくて、ステイだけ許されるのだ!!」
「お前が食いすぎだからだよ!!」
冬越し用の保存食を根こそぎ消費したくせに、まだ文句言うのかこの番犬は。
「もう仕方がない。フェンリル、お前が食った分、狩って補充してこい!」
「妾に働けと!? この偉大なるフェンリル様に!」
「イラッ。おい、フェンリル……殺されたいのか?」
俺が睨みつけると、フェンリルはぴしっと敬礼し、即座に森へ飛び込んでいった。
「はぁ……それにしても、肉って……やっぱり酒が欲しくなるよなぁ~」
その一言に、ステイがピクリと反応した。
「じゃあ、村でお酒を作りましょうよ!!」
「おお、いいじゃん! ステイも酒好きか?」
「ええ、大好きですとも。ふふふ……お酒があれば、冬でも楽しく過ごせますし!」
「じゃあ今あるもので作れるのは……ワインかな?」
村の片隅には、ジークが持ち帰ったブドウの木が育っていた。
「ジーク、樽の準備お願いね! 私はブドウの収穫してくる!」
「よっしゃ、任せろ!」
こうして、村の初めての“酒造り”が始まった。
* * *
一方、村から数キロ離れた森の中――
「ここに……本当にあるんだろうな?」
「当たり前だ! ブドウはこの森でしか取れない貴重品なんだから!」
ドワーフのロイとテイ。二人は噂を聞きつけて、ブドウを探していた。
……が、いっこうに見つからない。
「ロイ! 全然ないじゃないか! このままだと、魔獣のエサに――」
「うるさい! それはテイが勝手にあっちこっち行くからだろ!」
その時。
〈ワオーーーーン……〉
「「!?」」
「今の、何の声だ……?」
「あっちから何か来るぞ!」
「取りあえず――逃げるぞ!!」
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「番犬の帰還か……」
「どうしたんですか?」
「狩りすぎて、一人じゃ持って帰れないってさ」
「どんだけ狩ったんですか……」
「ちょっと行ってくる」
ジークはひょいと立ち上がり、森へと向かった。
* * *
「ロイ! 見ろよ、あれ……建物だぞ! まさか、こんな場所に……!」
「テイ! あそこに行くぞ! なんかこう……魂が訴えてる!」
「「突撃ぃぃぃ!!」」
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ジークが村に戻ると、なぜか見知らぬ二人のドワーフが酒の仕込みをしていた。
「……お酒、飲めるかな?」
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