46 / 79
第46話 王都北水門・潮騒の逆鳴り——水の拍と風の拍を合わせる
しおりを挟む
北水門の外は、潮の音が低く響く。
夕暮れの海風は重く、石の壁に当たって返ってきた。
水が逆に鳴る——まるで街が、耳鳴りを起こしているようだった。
港管理官が水門のレバーに手をかけながら言う。
「潮が高い日は“逆鳴り”が起こる。水も風も、出たがらない」
「段取りは三つ。分ける→洗う→風。
今日は“潮騒の拍”を整えて、街の呼吸を静めます」
ノラが骨格版を指でなぞる。
「理論上、この水門の下には“風路の副管”がある。
潮が上がるたびに空気が詰まり、音が反射する構造」
カイルが壁際で槍を立てる。
「通路、任せろ。青帯は作業、水面は黄。……へっ、我慢」
「ナイス克己」
まず、分ける。
〈会場設計〉を水門仕様に。
赤=通過禁止、黄=観測、青=作業。
〈現場放送〉で短く流す。
『赤は上層、青は下層。黄は波打ち際に立ち止まらないこと』
【清浄度:水門外 21→42/滞留 -14%】
次に、洗う。
〈水路調律〉を発動。
扉の蝶番と排水口の縁を光磨布で縦に通す。きゅっ、きゅっ。
塩が白くはぜ、金属が鳴る。
霧のような潮を受け止め、除塩拭き→横拭き→縦拭き。
【清浄度:42→69/行動 -8%/塩膜 -60%(短時間)】
その時、水面がぐらりと盛り上がった。
潮騒ウナギ。
長い体で水路を塞ぎ、呼吸の隙間を奪う。
「洗って通す。——微温湯霧→縦拭き→風」
泡立ちを落とし、体のぬめりを縦に一枚。
風路扇を胸の前にかざし、横→上→斜上の三段。
風がウナギの滑膜を剥がし、水が道を思い出す。
【逆流 -62%(短時間)】
波の隙間から、金属のきらめきがのぞく。
細い円盤と、透明な欠片。
ノラが指先で拾い上げた。
「“潮音板(古)”。理論上、潮の響きを“打音”で調律する装置」
「“清澄核(中)”。——さっきの小型よりも強い。水の濁りを沈める」
【発掘判定】
清浄度:69→100/整理度:A/タグ精度:A → レア⭐︎⭐︎⭐︎
【発見】
・潮音板(古)(品質A/潮鳴り抑制・水響安定)
・清澄核(中)(品質A+/水封安定・濁り沈静)
水門の奥で、風の糸がよじれている。
ノラが目を細めた。
「理論上、潮音板と風音同期を合わせれば“逆鳴り”が止まる」
「現実上も」
〈風音同期〉を展開。潮音板を蝶番下に設置し、清澄核を水面へ沈める。
鐘の代わりに、潮が“ひと呼吸”した。
風が門をくぐり、水が返す。拍が一つになった。
【清浄度:100→120(短時間)/逆鳴り音 -90%/潮圧安定 ±2%】
港管理官が目を丸くする。
「……街が静かだ。あの耳鳴りみたいな音が、なくなった」
「水と風の拍を揃えただけです。数字が通れば、音も通る」
「ログ、締めます」
――――
【運用ログ(北水門・潮騒の逆鳴り)】
清浄度:21→120(短時間)
方式:ゾーニング→拭く(光磨布・縦)→風(三段)+潮音板・清澄核設置
効果:逆流 -90%/潮鳴り音 -90%/水圧安定 ±2%(安定域)
妨害:潮騒ウナギ 1(洗い→退避)
発掘:潮音板(古)/清澄核(中)
――――
【ステータス】
名前:ミナ・ハルノ/職業:清掃士/レベル:44
体力:198/198 魔力:168/168 運:54(↑)
固有スキル〈お片付け〉Lv6
新規:〈潮音調律〉(水路の拍を風音同期と合わせ、逆鳴りを消去/潮位変動の自動補正)
既存:光磨布/〈退場設計〉〈風音同期〉〈花粉分別〉〈二重通し〉〈肋路設計〉〈塞板調律〉〈骨格起図〉〈灯標同期〉〈水路調律〉〈熱整流〉〈発掘補正〉〈問答整理〉〈筆跡照合〉〈透読〉〈封緘解析〉〈撤収導線〉〈逆流検知〉〈現場放送〉〈案内標生成〉〈群衆整理〉〈書類整頓〉〈記録封緘〉〈除塩拭き〉〈消臭調合〉〈結束術〉〈背ラベル生成〉〈仕分けタグ〉〈除菌配分〉〈動線マップ〉
相棒:洗剤スライム・ポンポン(満腹度 58%/潮水は苦手)
カイルが槍の柄で壁を軽く叩く。
「音が消えると、風が聞こえる。……へっ、我慢」
ノラが静かに笑う。
「理論上、これで王都の呼吸は“潮と風”で完結」
「現実上も。数字で守って、街が立った」
水門の上で、潮が静かに光る。
それは“終わりの音”ではなく、“はじまりの拍”だった。
次は——王立ギルドの清算日。
数字と紙と机を、静かに整える日。
---
📖ここまで読んでくださってありがとうございます!
もし少しでも「面白い」と思ってもらえたら、
お気に入り登録・応援ポチっとしてもらえると励みになります✨
夕暮れの海風は重く、石の壁に当たって返ってきた。
水が逆に鳴る——まるで街が、耳鳴りを起こしているようだった。
港管理官が水門のレバーに手をかけながら言う。
「潮が高い日は“逆鳴り”が起こる。水も風も、出たがらない」
「段取りは三つ。分ける→洗う→風。
今日は“潮騒の拍”を整えて、街の呼吸を静めます」
ノラが骨格版を指でなぞる。
「理論上、この水門の下には“風路の副管”がある。
潮が上がるたびに空気が詰まり、音が反射する構造」
カイルが壁際で槍を立てる。
「通路、任せろ。青帯は作業、水面は黄。……へっ、我慢」
「ナイス克己」
まず、分ける。
〈会場設計〉を水門仕様に。
赤=通過禁止、黄=観測、青=作業。
〈現場放送〉で短く流す。
『赤は上層、青は下層。黄は波打ち際に立ち止まらないこと』
【清浄度:水門外 21→42/滞留 -14%】
次に、洗う。
〈水路調律〉を発動。
扉の蝶番と排水口の縁を光磨布で縦に通す。きゅっ、きゅっ。
塩が白くはぜ、金属が鳴る。
霧のような潮を受け止め、除塩拭き→横拭き→縦拭き。
【清浄度:42→69/行動 -8%/塩膜 -60%(短時間)】
その時、水面がぐらりと盛り上がった。
潮騒ウナギ。
長い体で水路を塞ぎ、呼吸の隙間を奪う。
「洗って通す。——微温湯霧→縦拭き→風」
泡立ちを落とし、体のぬめりを縦に一枚。
風路扇を胸の前にかざし、横→上→斜上の三段。
風がウナギの滑膜を剥がし、水が道を思い出す。
【逆流 -62%(短時間)】
波の隙間から、金属のきらめきがのぞく。
細い円盤と、透明な欠片。
ノラが指先で拾い上げた。
「“潮音板(古)”。理論上、潮の響きを“打音”で調律する装置」
「“清澄核(中)”。——さっきの小型よりも強い。水の濁りを沈める」
【発掘判定】
清浄度:69→100/整理度:A/タグ精度:A → レア⭐︎⭐︎⭐︎
【発見】
・潮音板(古)(品質A/潮鳴り抑制・水響安定)
・清澄核(中)(品質A+/水封安定・濁り沈静)
水門の奥で、風の糸がよじれている。
ノラが目を細めた。
「理論上、潮音板と風音同期を合わせれば“逆鳴り”が止まる」
「現実上も」
〈風音同期〉を展開。潮音板を蝶番下に設置し、清澄核を水面へ沈める。
鐘の代わりに、潮が“ひと呼吸”した。
風が門をくぐり、水が返す。拍が一つになった。
【清浄度:100→120(短時間)/逆鳴り音 -90%/潮圧安定 ±2%】
港管理官が目を丸くする。
「……街が静かだ。あの耳鳴りみたいな音が、なくなった」
「水と風の拍を揃えただけです。数字が通れば、音も通る」
「ログ、締めます」
――――
【運用ログ(北水門・潮騒の逆鳴り)】
清浄度:21→120(短時間)
方式:ゾーニング→拭く(光磨布・縦)→風(三段)+潮音板・清澄核設置
効果:逆流 -90%/潮鳴り音 -90%/水圧安定 ±2%(安定域)
妨害:潮騒ウナギ 1(洗い→退避)
発掘:潮音板(古)/清澄核(中)
――――
【ステータス】
名前:ミナ・ハルノ/職業:清掃士/レベル:44
体力:198/198 魔力:168/168 運:54(↑)
固有スキル〈お片付け〉Lv6
新規:〈潮音調律〉(水路の拍を風音同期と合わせ、逆鳴りを消去/潮位変動の自動補正)
既存:光磨布/〈退場設計〉〈風音同期〉〈花粉分別〉〈二重通し〉〈肋路設計〉〈塞板調律〉〈骨格起図〉〈灯標同期〉〈水路調律〉〈熱整流〉〈発掘補正〉〈問答整理〉〈筆跡照合〉〈透読〉〈封緘解析〉〈撤収導線〉〈逆流検知〉〈現場放送〉〈案内標生成〉〈群衆整理〉〈書類整頓〉〈記録封緘〉〈除塩拭き〉〈消臭調合〉〈結束術〉〈背ラベル生成〉〈仕分けタグ〉〈除菌配分〉〈動線マップ〉
相棒:洗剤スライム・ポンポン(満腹度 58%/潮水は苦手)
カイルが槍の柄で壁を軽く叩く。
「音が消えると、風が聞こえる。……へっ、我慢」
ノラが静かに笑う。
「理論上、これで王都の呼吸は“潮と風”で完結」
「現実上も。数字で守って、街が立った」
水門の上で、潮が静かに光る。
それは“終わりの音”ではなく、“はじまりの拍”だった。
次は——王立ギルドの清算日。
数字と紙と机を、静かに整える日。
---
📖ここまで読んでくださってありがとうございます!
もし少しでも「面白い」と思ってもらえたら、
お気に入り登録・応援ポチっとしてもらえると励みになります✨
10
あなたにおすすめの小説
10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)
犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。
意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。
彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。
そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。
これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。
○○○
旧版を基に再編集しています。
第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。
旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。
この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身、動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物や魔法、獣人等が当たり前に存在する異世界に転移させられる。
彼が送るのは、時に命がけの戦いもあり、時に仲間との穏やかな日常もある、そんな『冒険者』ならではのスローライフ。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練とは如何なるものか。
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
隠れ居酒屋・越境庵~異世界転移した頑固料理人の物語~
呑兵衛和尚
ファンタジー
調理師・宇堂優也。
彼は、交通事故に巻き込まれて異世界へと旅立った。
彼が異世界に向かった理由、それは『運命の女神の干渉外で起きた事故』に巻き込まれたから。
神々でも判らない事故に巻き込まれ、死亡したという事で、優也は『異世界で第二の人生』を送ることが許された。
そして、仕事にまつわるいくつかのチート能力を得た優也は、異世界でも天職である料理に身をやつすことになるのだが。
始めてみる食材、初めて味わう異世界の味。
そこは、優也にとっては、まさに天国ともいえる世界であった。
そして様々な食材や人々と出会い、この異世界でのライフスタイルを謳歌し始めるのであった。
※【隠れ居酒屋・越境庵】は隔週更新です。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。
我が家と異世界がつながり、獣耳幼女たちのお世話をすることになった件【書籍化決定!】
木ノ花
ファンタジー
【第13回ネット小説大賞、小説部門・入賞!】
マッグガーデン様より、書籍化決定です!
異世界との貿易で資金を稼ぎつつ、孤児の獣耳幼女たちをお世話して幸せに! 非日常ほのぼのライフの開幕!
パワハラに耐えかねて会社を辞め、独り身の気楽な無職生活を満喫していた伊海朔太郎。
だが、凪のような日常は驚きとともに終わりを告げた。
ある日、買い物から帰宅すると――頭に猫耳を生やした幼女が、リビングにぽつんと佇んでいた。
その後、猫耳幼女の小さな手に引かれるまま、朔太郎は自宅に現れた謎の地下通路へと足を踏み入れる。そして通路を抜けた先に待ち受けていたのは、古い時代の西洋を彷彿させる『異世界』の光景だった。
さらに、たどり着いた場所にも獣耳を生やした別の二人の幼女がいて、誰かの助けを必要としていた。朔太郎は迷わず、大人としての責任を果たすと決意する――それをキッカケに、日本と異世界を行き来する不思議な生活がスタートする。
最初に出会った三人の獣耳幼女たちとのお世話生活を中心に、異世界貿易を足掛かりに富を築く。様々な出会いと経験を重ねた朔太郎たちは、いつしか両世界で一目置かれる存在へと成り上がっていくのだった。
※まったり進行です。
異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~
黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!
できない子に転生しましたが、家族と食卓があれば十分です ―人間不信だった私が、ゆっくり育つ異世界生活―
愛朱ひいろ
ファンタジー
人の顔色ばかり伺い、心を壊した26歳の会社員女性。
彼女は死後、異世界で「できない子」として転生する。
魔法は使えない。
体は不器用で、成長も人より遅い。
前世の記憶のせいで、人と関わることが少し怖い。
けれどこの世界には、
見守り支えてくれる両親と、
あたたかい食卓があった。
泣いて、つまずいて、できないことに落ち込みながら、
彼女は少しずつ「できないままでも、生きていていい」と知っていく。
これは、
最強でもチートでもない主人公が、
家族と食事に支えられながら、ゆっくり育ち直す
生活密着型・異世界転生×成長×グルメファンタジー。
……の、予定です。
毎日更新できるように執筆がんばります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる