『スキル〈お片付け〉で世界最強!? 掃除するだけで経験値25倍生活』

チャチャ

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第68話 王都印刷所・活版室——鉛粉と紙粉を“重く・軽く”分ける

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活版室は、インクと鉛と紙の匂い。
圧胴が低く唸り、活字が箱の中で小さく鳴る。
重い粉(鉛粉)と、軽い粉(紙粉)が、同じ白で混ざっていた。

工長が指先を拭きながら眉を寄せる。

「咳が出る。紙粉は舞う、鉛粉は溜まる。掃いても“混ぜて”動かすばかりで」

「段取りは三つ。分ける→拭く→風。
重い粉は“下へ・横へ”、軽い粉は“上へ・逃がす”。——白を二種類に戻します」

ノラが配置図を指で叩く。
「理論上、組版帯=黄/印刷帯=青(触禁)/搬出=赤。
排気は一本、吸い込み位置が“逆”だから紙粉が戻る」

カイルが通路で体を落とす。
「通路、任せろ。赤=通過、黄=待機、青=機械周り。……へっ、我慢」

「ナイス克己」

まず、分ける。
〈会場設計〉を印刷所モードへ。
赤=搬出幹線、黄=組版前・紙積みの手前、青=圧胴・活字箱の周り(触禁)。
〈現場放送〉は短く低く。

『赤はまっすぐ、黄は棚の手前だけ。青は触れない——“紙をはたく”は黄内で』

足元に**鉛受け線(仮)を青の外縁へ、
天井梁に紙粉逃がし(仮)**の印を一枚。

【清浄度:室内 27→48/滞留 -15%】

次に、拭く。
床の“つまずき帯”と活字箱の縁を光磨布で縦に通す。
きゅっ、きゅっ。
活字油のすべり膜は重曹割り→横拭き→縦拭きで切る。
鉛粉は点湿潤で“重さ”を戻してから縦で線へ。
紙粉は触らず——あとで風で拾う。

【清浄度:48→75/行動 -7%/滑り -30%】

見当器の影で、鈍い灰がむくむく。
**鉛粉ゴーレム(微)**が磁気の顔で寄って来る。

「“洗って”から下げる。——清水霧→縦拭き→横寄せ」

芯に霧を点で置き、縦に一枚。
重さが戻った粉は素直に鉛受け線へ落ちた。

【鉛粉浮遊 -50%(短時間)】

給紙台の上で、白い房がふよふよ。
紙粉クラゲが静電で舞い上がり、組版の喉を詰まらせる。

「順番で勝つ。落とす→縦拭き→風」

帯電を霧で落とし、台端を縦に一枚。
のちほど“上で抜く”準備だけ残す。

青帯の陰で、赤い舌がひらり。
逆回転インプが吸気札を舐め、“逆向き”に回そうとする。

「仮の一生、短命。黒タグ、正方向で差し替え」

〈封緘解析〉→〈記録封緘〉がぱちん。
吸い込みは“上から”、吐き出しは“下へ”に戻る。

【滞留 -26%】

活字拾いの棚で、細い影が活字をかちり。
活字ネズミが“近い箱”へ勝手に横持ちする。

「横行は“棚の前”で止める。——横拭き→縦拭き、〈背ラベル生成〉で箱番/段/書体を背へ」

横で貼りつきを剥がし、縦で一枚、正棚へ返す。
列が一本に揃う。

【取り違えの芽 -35%(短時間)】

「仕上げ、風。——“鉛は下・紙は上・匂いは手前”の三段+二重通し」

風路扇を胸の前で水平。
横の糸は床沿いに薄く、鉛粉を鉛受け線へ押す。
上の糸は梁へ、紙粉を**紙粉逃がし(仮)**へ吸い上げる。
斜上は灯列と見当マークを避け、匂いは“手前”で抑える。
〈風紋表示〉に濃灰(鉛)・白(紙)・薄金(匂)の三線——交わらず並ぶ。

【清浄度:75→100】
【清浄波:小スタン1.5秒/再付着(鉛) -60%・(紙) -45%(短時間)】
【咳の訴え -30%(体感)】

黄の仕分け箱を赤/青/黄で分ける。
黄の底から、黒い薄板と乳白の小珠がころり。

ノラが目を細める。
「“重軽(じゅうけい)板(古)”。理論上、重い粉=横下/軽い粉=上を助ける偏向板」
「“版拍(はんびょう)珠(小)”。紙送りの揺れを一拍遅らせて整える」

工長が息をもらす。
「祖父の棚に話だけ残っていた……“重軽板”。——効くのか?」

「効きます。貼り替えずに使うで。“鉛は横下、紙は上”を固定します」

その時、インキ壺の縁で白い粉がぱっと舞った。
封緘粉。偶然の顔で、偶然じゃない。

「仮の一生、短命。——落とす→縦拭き→風」

霧で静電気を殺し、縦で切り、横で寄せ、上で捨てる。
記録がもう一つ、ぱちん。

【妨害粉 1件(無害化)】

――――
【運用ログ(活版室・重軽分流)】
清浄度:27→100(所要 18分)
方式:印刷ゾーニング(搬出=赤/組版=黄/機械周り=青)→拭く(光磨布・縦/点湿潤/重曹割り)→風(三段:鉛下横/紙上/匂手前)
効果:再付着(鉛) -60%(短時間)/再浮遊(紙) -45%(短時間)/咳の訴え -30%(体感)/取り違え -35%(短時間)/転倒 0件
妨害:鉛粉ゴーレム 1(沈静)/紙粉クラゲ 1(除去)/逆回転インプ 1(是正)/活字ネズミ 1(回収)/封緘粉 1(無害化)
発掘:重軽板(古)/版拍珠(小)
――――

視界にお知らせが灯る。

【ステータス】
名前:ミナ・ハルノ/職業:清掃士/レベル:66
体力:242/242 魔力:212/212 運:76(↑)
固有スキル〈お片付け〉Lv6
新規:〈重軽分流〉(重=横下/軽=上/匂=手前の三分流を自動提案/粉種の混在を色分離表示)
既存:光磨布/〈氷室分流〉〈澄泡分流〉〈下水整流〉〈火舞分流〉〈無音整流〉〈音路整流〉〈塩気整流〉〈在庫整流〉ほか
相棒:洗剤スライム・ポンポン(満腹度 58%/鉛は“食べない”主義)

工長が重軽板を圧胴脇に立て、版拍珠を紙送りの紐に吊るす。
圧胴の唸りが、わずかに“なめらか”へ寄る。
白は二種類に戻り、道も二本に分かれた。

カイルが肩で合図する。
「赤は通った。黄は組版整列。……へっ、我慢」

ノラが見当マークを指で叩く。
「理論上、重下横・軽上で呼吸が揃う」

「現実上も。——文字は重く、紙は軽く。どちらも、まっすぐ通る」

私は光を縦に一度だけ通した。
床には濃い灰の線、梁には薄い白の線。
交わらず、揺れも揃った。

次は、郵便局・仕分け室の“流れと誤配”。
人と封書と小包——三つを、数字でまっすぐに。


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