異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』

チャチャ

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第1章 転生と牧場のはじまり

第2話「女神様のチュートリアル」

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 朝、鳥のさえずりで目覚めた悠翔──もとい、はるとは、ログハウスのベッドで身を起こした。窓から差し込む光が、昨日耕した畑を照らしている。

「……やっぱり夢じゃないんだな」

 ぬくもりのある木造の部屋、手触りのある寝具、そして現れるステータスウィンドウ。全部が、昨日の続きだった。

【今日の目標】
・出荷箱に作物を入れてみよう!
・村へ行って買い物をしてみよう!

「おお、まるでクエストログ。親切仕様だな」

 畑に向かい、ジョウロを手に水を撒く。早くも小さな芽が顔を出していた。
 成長早っ! と思わず声が出る。スキル「癒しの加護」の効果らしい。



「ふむ、そろそろ出荷箱も試してみるか」

 昨日報酬としてもらった「初心者セット」の中には、試し用に“栽培済み”のハーブと果物も入っていた。それを木箱の中に入れると──

【アイテムを出荷箱に入れました】
【翌朝、売上が反映されます】
【現在の所持金:50G → 出荷予測:+120G】

「おぉ……このリアルさとシステム感のバランスが懐かしい……」

 手応えを感じつつ、はるとは今日のもう一つの目標、“村への訪問”に出かけることにした。



 歩いて30分。一本道を抜けると、小川のせせらぎが聞こえてくる。
 その向こうに見えたのは、こじんまりとした石造りの家々が並ぶリーヴァの村。農業と交易を基盤にした、温かい雰囲気の集落だった。

 まずは目についた青い屋根の雑貨店に入る。中には背の高いカウンターと、奥から聞こえる元気な声。

「いらっしゃいま──って、あんた新人さんでしょ?」

 ぱっと現れたのは、栗色の髪をツインテールに結った快活な女性。エプロン姿にレザーの手袋をはめている。
「私はマリア。行商人もやってるけど、普段はこの雑貨屋の店主ってとこかな。あんたが“牧場の新人さん”だって話、昨日フクロウが知らせてくれたのよ」
「フクロウ……ああ、昨日の配達のやつ」
「そそ。便利だけど、機嫌損ねると一週間スト起こすから注意してね♪」

 どこかゲームっぽい世界観に安心しつつも、リアルな生活感に不思議とワクワクしてくる。
 マリアは棚からいくつかの商品を取り出してきた。

「初心者向けに、うちで特価セット用意してるのよ。今日は特別に“知り合い割引”でいいわよ?」

 マリアはウィンクしながら、小麦の種×5、にんじんの種×5、カゴ、作業手袋のセットを差し出した。

【雑貨セットA:通常価格120G → 特価80G】

「うん、じゃあこれください!」

「まいどあり! あんた、いい表情してるねぇ。ここに来たばかりとは思えない」

 そう言って、彼女はさりげなく追加の情報を教えてくれた。

「そうそう、村の西に鍛冶屋のガイルってのがいてね、家畜小屋とか道具の強化も引き受けてくれるわよ。村の人とも仲良くするの、大事よ~?」

 ──ここで、ステータス画面が自動で更新される。

【新エリア:リーヴァの村 発見!】
【親密度システム解放】
・村人と仲良くなると、特別なイベントが発生します
・一定以上の親密度で“恋愛ルート”に進展可能!

「まさかの恋愛ルートまであるのか……!?」

 と、頭を抱えていると──

「なーに独り言言ってんのさ」

 突然背後からふわっと飛びついてきた誰かがいた。

「うわっ! だれ!?」

 振り向くと、白くてふわふわのウサ耳を揺らした獣人の少女が立っていた。
 もふもふのしっぽ、つり目だけどどこか無邪気な表情。目をきらきらさせながら、はるとに詰め寄る。

「もしかして、あんたが新しい牧場の人? 名前は? 性格は? 特技は?」

「ちょ、ちょっと待って!? 質問多すぎ!」

「私はリンネ! この村の生まれで育ち! あたし、動物大好きだから、あんたが牛とか飼うって聞いて興味津々だったの!」

 ぐいぐい距離を詰めてくるリンネにタジタジになるはると。

 ──その時、ステータスにまたもや通知が。

【リンネとの出会いイベント達成】
【親密度:★☆☆☆☆】
【好感度補正:動物系トークが好き】

「この世界、完全に攻略対象いるんじゃん……!」

 ゲーム的な表示に戸惑いつつも、目の前のリンネの笑顔は、確かに“ゲームの中”ではない温もりを持っていた。

「ねぇ、明日、あんたの牧場に遊びに行ってもいい?」

「……いいよ。まだ全然整ってないけど」

「やった~! じゃ、楽しみにしてるからねっ!」

 リンネが手を振りながら走り去っていく。
 その後ろ姿を見送っていたマリアが、肩をすくめる。

「あの子、動物と同じくらい人の心に懐くのが早いからね。あんた、うっかり落とされないようにね?」

 マリアの言葉に、はるとは思わず苦笑した。
 ──だけど、心はほんの少し、軽くなっていた。



 夕方、牧場へ戻る。出荷箱には小さな光が灯っていた。

【本日売上:120G】
【現在の所持金:90G】

 はるとは空を見上げて、ぽつりとつぶやいた。

「こんなふうに、毎日を積み重ねていけば……きっと、また“何か”が変わっていくのかもしれないな」

 その夜、女神メルグラーナが夢に現れる。

「あなたの歩む道が、静かに未来を動かし始めています。どうかその一歩を、大切に」

 はるとは頷き、また新しい朝を迎える準備を始めるのだった。


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