異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』

チャチャ

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第9章 最後の大収穫

第83話『黒き中心へ、対峙の刻』

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森の奥へと進むにつれ、空気はどんどん重たくなっていった。
風は止み、木々は黒く変色し、まるで何かに腐らされているかのようだった。

「……ここが、ナグールの本体が潜む場所……」

悠翔が立ち止まった先には、巨大な黒い裂け目のような空洞が口を開けていた。地面から這い出るように瘴気が立ち上り、異臭が鼻をつく。

「戻りたい気持ちは山ほどあるけど……行こう、みんな」

悠翔の言葉に、仲間たちがうなずいた。
彼らの目に、恐れはあっても、逃げる意志はなかった。

そのとき——

「ようやく来たか、人の子よ」

どこからともなく、低く湿った声が響いた。
空洞の奥から現れたのは、人の形を模した異形の影。目のようなものが無数に蠢き、黒い粘液を滴らせている。

「ナグール……!」

「我は忌まれし影。生命を喰らい、世界を蝕むもの。だが、お前だけは、特別だ。天城悠翔」

悠翔の名前を呼ばれ、彼は身を固くした。

「……俺を、知ってる?」

「加護を受けし者よ。女神の残した《鍵》を持つ者……その力、我がものとせん」

「そんなこと、させるもんか!」

悠翔は結界スキルを再発動。光の盾が仲間たちを包み、ナグールの瘴気の波を防いだ。

ナグールの本体はゆっくりと形を変え、巨大な獣のような姿へと変貌する。黒い触手が地を這い、瘴気が激しく渦巻いた。

「ここで終わらせる!」

悠翔はスキル画面を開いた。

【スキルポイント:5】
残りはわずか。しかし、変換用の〈中級魔石〉が一つだけ残っていた。

《中級魔石をスキルポイントに変換しますか?(15ポイント)》
「はい!」

【スキルポイント:20】

《購入スキル:閃光の矢(20ポイント)》

選択した瞬間、彼の掌にまばゆい光の矢が現れた。
女神の加護に呼応するかのように、矢は脈動し、ナグールの瘴気をはじく。

「悠翔、今しかない!」

仲間たちが支援の魔法をかけ、レオンが斧で触手を払いのける。ミアは祈りの言葉で悠翔に力を注いだ。

「みんな、ありがとう——!」

悠翔は光の矢を引き絞り、全身の力を込めて放った。

「消えろ、ナグールッ!!」

放たれた矢は空気を裂き、ナグールの中心核へ一直線に突き刺さる。
轟音が森を揺るがし、眩い閃光が一帯を飲み込んだ。

眩しさの中で、悠翔は確かに感じた。
ナグールの存在が、音もなく霧散していく感覚を。

——静寂。
あれほど濃かった瘴気が、嘘のように消えていく。

「……終わった、のか……?」

膝をついた悠翔のもとに、仲間たちが駆け寄ってきた。

「やった、やったよ……!」

「本当に、終わったんだね……!」

涙ぐむミアの背を、悠翔はそっと支えた。
誰もが無事だった。それが何よりも嬉しかった。

森に光が戻り始めた。枯れていた草が芽吹き、小鳥のさえずりがかすかに戻る。
まるで、世界が呼吸を取り戻したかのようだった。

「……俺たちの力で、守れたんだな」

悠翔は、空を仰いでつぶやいた。
そこには、どこまでも透き通る青が広がっていた。


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【イベントログ】

イベント:ナグール本体との決戦(成功)

スキル獲得:
 ・《閃光の矢》……女神の加護と連動する光属性の一撃スキル。瘴気を浄化する力を持つ。

スキルポイント消費:20(中級魔石1個=15P+残5P)

仲間との連携:戦闘支援による被害軽減(成功)

森と村の安全:確保

次の目標:
 →「瘴気の残滓を封印し、村を復興せよ」



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