異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』

チャチャ

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第10章 エピローグと新たな季節

第98話「帰郷と、冬のはじまり」

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アレストリアの雪を後にして、悠翔とイレナは、再び村への帰路についていた。
 馬車の窓から見える景色は、真っ白な大地と、遠くまで広がる冬の空。

「……あっという間だったね。まるで夢みたい」

 イレナが膝の上の荷物を整えながら呟く。

「夢じゃないよ。ちゃんと、俺たちの足跡が残ってる」

 悠翔が微笑む。思い出の詰まった数日間。王都への推薦、他地域とのつながり、そして何より――「帰る場所」の大切さを知った時間だった。

「でも……村、今頃どうなってるかな。雪、積もってるかも」

「ひなのが心配してるかもな。急いで帰らないと」

「ふふっ、また“にーに!”って飛びついてくるかな?」

「確定だな」

 雪解けのように、馬車の中にはやさしい笑い声が響いた。

 *

 村に戻ったのは、午後の日差しが赤く染まりかけたころだった。
 案の定、村はすっぽりと雪に覆われていて、屋根の上には白い帽子。木々には霜がきらめき、煙突からはあたたかな煙が立ちのぼっている。

 村人たちは、道の雪かきをしながら「おかえり!」と声をかけてくれた。

「にーにっ!」

 駆け出してきたひなのが、いつものように勢いよく飛びついてきた。厚手のマントを着て、手には雪玉がひとつ。

「ただいま、ひなの」

「さむかった? ちゃんとごはん食べた? てがみいっぱい書いたのに!」

「うん、全部読んだよ。ひなのの絵、王都でも人気だったよ」

「えへへ~」

 ひなのは得意げに胸を張りながらも、くっついて離れない。悠翔は、その小さな温もりをしっかりと抱きしめた。

 それは“帰ってきた”ことを実感させてくれる、何よりの贈り物だった。

 *

 その夜、村の集会所で小さな報告会が開かれた。

 イレナが代表して、アレストリアで得た成果や繋がりについて話し、悠翔は模型や資料を使って、次の計画――「地域循環型農業モデル」について説明した。

「これがその、王都研究庁の推薦状です」

 会場にはざわめきと驚きの声。

「王都……!」「うちの村が……」「すごいじゃないか、悠翔くんたち!」

 素直に喜んでくれる村人たちの反応に、悠翔も思わず笑みがこぼれた。

 そして、報告会の最後にこう締めくくった。

「次の春から、村の北側を試験区として、新しい耕作方法を取り入れます。外部の支援も受けながら、村の力で未来を作っていきたいと思っています」

 静かに、だが力強く拍手が広がっていった。

 それは、村が“未来に向かって動き出す”合図だった。

 *

 帰り道、イレナと並んで歩く雪の小道。空には星がまたたき、白い息が夜に溶けていく。

「帰ってきたな、って感じする?」

「うん。……でも、もう“戻る”んじゃなくて、“始める”って気持ちかも」

「……私も、そう思う」

 ふたりは足を止め、村の家々を見渡す。そこには光があり、温もりがあった。

 きっと、これからも大変なことはあるだろう。だけど――

「一緒に、春を迎えよう」

「うん。約束」

 手と手がそっと重なった。
 雪は静かに降り続けている。
 でもその下には、確かに次の芽が息づいていた。


---

【イベントログ】

  イベント達成:「王都報告会」開催成功
  獲得:「地域循環型農業モデル」村承認
  信頼レベル:ひなの+1(再会の抱擁)
  次の目標:「試験耕作エリア」整備開始(春まで)


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