『今日も平和に暮らしたいだけなのに、スキルが増えていく主婦です』

チャチャ

文字の大きさ
9 / 138

9話「はじめてのカフェ勤務!“予想外のスキル暴走”と、新しい出会い」

しおりを挟む
ついに、麻衣のカフェ勤務初日がやってきた。
制服のエプロンをつけ、名札を見ながら深呼吸。

「よし……田仲麻衣、がんばる!」

カフェは木のぬくもりを感じる落ち着いた雰囲気。
同じ時間に入ったのは、先輩パートの石田さん(40代・テキパキ系)。

「田仲さん、よろしくね。うちはピークが昼前からだから、最初の1時間は準備と接客の練習ね」

「よろしくお願いします!」


---

最初は緊張していた麻衣。だけど……

📱《スキル「周囲ほんわかオーラ Lv1」発動中》
▶ 緊張してるはずなのに、なぜか店内の空気がほんわかする

石田さん:「……なんか、この時間ってこんなに穏やかだったっけ?」

「えっ、そ、そうなんですか?」

「いや、悪い意味じゃないのよ。なんか、お店が“和む”っていうか……ふふっ」


---

10時半ごろ、最初のお客さんが来店。

大学生くらいの女性2人組。

「すみません~、マロンカフェラテ2つと、レモンタルトください」

「はい!マロン……カフェタレ……あっ、ラテ!ですねっ!」

📱《スキル「言い間違いフォロー補正」発動》
▶ 言い間違えても、相手がむしろ笑ってくれる

学生A:「カフェタレって!それ新メニュー?(笑)」

学生B:「絶対バズるやつ~!」

麻衣:「あわわ……初日なので、ちょっと頭がフワついてまして~!」

石田さん:「……ふふっ。田仲さん、いいキャラしてるわね」


---

そんな中、お昼前になって事件が起こった。

サラリーマン風の男性客が注文を終えたあと、席に向かう途中で何かに引っかかって——

「うわっ……!」

コーヒーが宙を舞った。

(やばい!こぼれる!誰かにかかる!)

その瞬間、麻衣の脳内に響く機械音。

📱《緊急対応スキル「瞬間回避サポート」発動》
▶ 咄嗟に動けない状況でも、スキルでフォローされる

「とととっ……!」

コーヒーが落ちるより一瞬早く、麻衣はお盆で受け止めた。

石田さん:「えっ、はやっ!? ていうか、反応……今のすごくなかった!?」

麻衣:「あれっ?私、動いてました?!」

お客さん:「す、すみません……でも、おかげで助かりました……」

📱《スキル「ちょっとしたヒーロー感」取得》
▶ さりげない活躍で、周囲の評価が少し上がる


---

昼休憩。
石田さんと控室でおにぎりを食べながら話す。

「田仲さん、なんていうか“目立たないけど印象に残る人”って感じね」

「えっ、私そんなに印象あります?」

「あるある。“カフェタレ”も含めてね(笑)」

麻衣:「うわ~、恥ずかしい~~」


---

その日の帰り道、石田さんがぽつりと。

「……私さ、最近ちょっと仕事疲れてたんだけど。今日、なんだか元気出たかも」

「えっ、ほんとですか?」

「うん。たぶん、田仲さんのおかげ。なんか、いい空気が流れてた」

「わぁ……嬉しいです。私、特に何もしてないですけど」

(……いや、してるのかも? スキル的に)


---

家に帰ると、玄関でひなのが飛びついてきた。

「まま!きょうね、きょうね、おえかきでうさぎ描いたの!」

「ほんと!?ママも今日は、おにぎり食べてコーヒー守ったよ~!」

「???」

夕飯時、雄一にその話をすると笑われた。

「なんか麻衣らしい一日だったね」

「だよねぇ。でもさ、私のスキル、地味に役立ってるかも?」

「うん、きっと。……ていうか、俺にも“空気和ませスキル”欲しい」

「私は“パパの洗濯もの自動でたたむスキル”がほしい!」

「それ、現実で覚えたら超最強……」

ふたりで、またいつもの笑い合う夜。


---
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

不遇スキル『動物親和EX』で手に入れたのは、最強もふもふ聖霊獣とのほっこり異世界スローライフでした

☆ほしい
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺が異世界エルドラで授かったのは『動物親和EX』という一見地味なスキルだった。 日銭を稼ぐので精一杯の不遇な日々を送っていたある日、森で傷ついた謎の白い生き物「フェン」と出会う。 フェンは言葉を話し、実は強力な力を持つ聖霊獣だったのだ! フェンの驚異的な素材発見能力や戦闘補助のおかげで、俺の生活は一変。 美味しいものを食べ、新しい家に住み、絆を深めていく二人。 しかし、フェンの力を悪用しようとする者たちも現れる。フェンを守り、より深い絆を結ぶため、二人は聖霊獣との正式な『契約の儀式』を行うことができるという「守り人の一族」を探す旅に出る。 最強もふもふとの心温まる異世界冒険譚、ここに開幕!

元Sランク受付嬢の、路地裏ひとり酒とまかない飯

☆ほしい
ファンタジー
ギルド受付嬢の佐倉レナ、外見はちょっと美人。仕事ぶりは真面目でテキパキ。そんなどこにでもいる女性。 でも実はその正体、数年前まで“災厄クラス”とまで噂された元Sランク冒険者。 今は戦わない。名乗らない。ひっそり事務仕事に徹してる。 なぜって、もう十分なんです。命がけで世界を救った報酬は、“おひとりさま晩酌”の幸福。 今日も定時で仕事を終え、路地裏の飯処〈モンス飯亭〉へ直行。 絶品まかないメシとよく冷えた一杯で、心と体をリセットする時間。 それが、いまのレナの“最強スタイル”。 誰にも気を使わない、誰も邪魔しない。 そんなおひとりさまグルメライフ、ここに開幕。

金貨増殖バグが止まらないので、そのまま快適なスローライフを送ります

桜井正宗
ファンタジー
 無能の落ちこぼれと認定された『ギルド職員』兼『ぷちドラゴン』使いの『ぷちテイマー』のヘンリーは、職員をクビとなり、国さえも追放されてしまう。  突然、空から女の子が降ってくると、キャッチしきれず女の子を地面へ激突させてしまう。それが聖女との出会いだった。  銀髪の自称聖女から『ギフト』を貰い、ヘンリーは、両手に持てない程の金貨を大量に手に入れた。これで一生遊んで暮らせると思いきや、金貨はどんどん増えていく。増殖が止まらない金貨。どんどん増えていってしまった。  聖女によれば“金貨増殖バグ”だという。幸い、元ギルド職員の権限でアイテムボックス量は無駄に多く持っていたので、そこへ保管しまくった。  大金持ちになったヘンリーは、とりあえず念願だった屋敷を買い……スローライフを始めていく!?

僕だけレベル1~レベルが上がらず無能扱いされた僕はパーティーを追放された。実は神様の不手際だったらしく、お詫びに最強スキルをもらいました~

いとうヒンジ
ファンタジー
 ある日、イチカ・シリルはパーティーを追放された。  理由は、彼のレベルがいつまでたっても「1」のままだったから。  パーティーメンバーで幼馴染でもあるキリスとエレナは、ここぞとばかりにイチカを罵倒し、邪魔者扱いする。  友人だと思っていた幼馴染たちに無能扱いされたイチカは、失意のまま家路についた。  その夜、彼は「カミサマ」を名乗る少女と出会い、自分のレベルが上がらないのはカミサマの所為だったと知る。  カミサマは、自身の不手際のお詫びとしてイチカに最強のスキルを与え、これからは好きに生きるようにと助言した。  キリスたちは力を得たイチカに仲間に戻ってほしいと懇願する。だが、自分の気持ちに従うと決めたイチカは彼らを見捨てて歩き出した。  最強のスキルを手に入れたイチカ・シリルの新しい冒険者人生が、今幕を開ける。

チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活

仙道
ファンタジー
リメイク先:「視線が合っただけで美少女が俺に溺れる。異世界で最強のハーレムを作って楽に暮らす」  ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。  彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

【アイテム分解】しかできないと追放された僕、実は物質の概念を書き換える最強スキルホルダーだった

黒崎隼人
ファンタジー
貴族の次男アッシュは、ゴミを素材に戻すだけのハズレスキル【アイテム分解】を授かり、家と国から追放される。しかし、そのスキルの本質は、物質や魔法、果ては世界の理すら書き換える神の力【概念再構築】だった! 辺境で出会った、心優しき元女騎士エルフや、好奇心旺盛な天才獣人少女。過去に傷を持つ彼女たちと共に、アッシュは忘れられた土地を理想の楽園へと創り変えていく。 一方、アッシュを追放した王国は謎の厄災に蝕まれ、滅亡の危機に瀕していた。彼を見捨てた幼馴染の聖女が助けを求めてきた時、アッシュが下す決断とは――。 追放から始まる、爽快な逆転建国ファンタジー、ここに開幕!

異世界でまったり村づくり ~追放された錬金術師、薬草と動物たちに囲まれて再出発します。いつの間にか辺境の村が聖地になっていた件~

たまごころ
ファンタジー
王都で役立たずと追放された中年の錬金術師リオネル。 たどり着いたのは、魔物に怯える小さな辺境の村だった。 薬草で傷を癒し、料理で笑顔を生み、動物たちと畑を耕す日々。 仲間と絆を育むうちに、村は次第に「奇跡の地」と呼ばれていく――。 剣も魔法も最強じゃない。けれど、誰かを癒す力が世界を変えていく。 ゆるやかな時間の中で少しずつ花開く、スロー成長の異世界物語。

処理中です...