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第一章 爆速出世街道!蛮族を屠り、陰謀を砕き、巨人の王に認められるまで
第25話 巨人の王を認めさせた騎士の覚悟。己の未来を忠節のために捧げる
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エトナ姫の部屋の中は整えられ、主人の帰りを待ち侘びているようだった。
カミーユは、エトナ姫を丁寧におろし、姫を固定していた縄を解いて行く。
「姫、失礼ながら、お体に触れさせていただきます」
カミーユはエトナ姫の体に触される。
エトナ姫の体についた縄の傷跡が、綺麗に消えて行く。
エトナ姫は、カミーユの治した傷のあたりを愛おしく撫で、カミーユに礼を言った。
カミーユは改めて部屋の中を見る。
造りが皆大きい。
椅子の座面など、カミーユの肩の高さにある。
暖炉の側のサイドボードは、その上でカミーユが寝ることができそうなほどの広さがある。
暖炉にかかる火かき棒は、物干し竿よりも長かった。
天井は高く、ダンスホールと見紛うほどだ。
机も大きいが、その取っ手もまた大きい。
カミーユは、自身が小さな子供になってしまったかのような錯覚を覚えた。
貴婦人の部屋を見回す無礼に気づいたカミーユは、エトナ姫に非礼を詫びる。
「エトナ姫。呆けてしまい申し訳ありませんでした。私は大樹を降りた方がよろしいでしょうか」
カミーユはエトナ姫に問うた。
「いいえ、カミーユ卿。私が戻ったことを親しい者に知らせねばなりません。その際、一緒にいていただきたいのです。ですから、もう少しお側に」
エトナ姫はカミーユの手を取った、その手はカミーユよりも大きなものだったが、もろく心細いもののように感じられた。
「ありがとうございます。エトナ姫。まずはどなたにお知らせいたしましょう」
カミーユはエトナ姫の手を優しく抱くと、言葉を導いた。
「そうですね。私の不在が長く、この部屋の侍女たちはいないでしょうから、父王の衛兵のところへ参りましょう」
エトナはカミーユの手を引き、扉へ向かう。
そして、カミーユの目線の高さにあるドアノブを回し、廊下へ出た。
大樹の内部、その上下移動は外周の豆の蔓の階段を利用するため、大樹の王宮はフロアごとにその機能が分けられている。
カミーユ達がいるフロアは後宮。王の私生活の場となる。
「陛下の居所は近いのですか」
カミーユはエトナ姫に問うた。
「はい。父王、ゾンネ陛下の寝所はすぐそこです」
カミーユは緩やかなカーブを描いた廊下の先に、二人の巨人の心音を聞き取った。
エトナ姫が先行し、その前に姿を示す。
「父王陛下はいらっしゃるか。エトナが帰還いたしました」
二人の巨人の衛兵は、エトナ姫の姿を見て、驚愕する。
「エトナ姫。ご無事に戻られたのですね」
彼女たちはエトナ姫の姿を見ると、駆け寄った。
しかし、カミーユの姿に気づき、警戒する。
「人間。いずこよりこの後宮へ入った。姫を拐かしたのもお前か」
カミーユは朗々たる巨人語で答える。
「私はカミーユ・ロラン。エトナ姫をお国に送り届けた人間の国の騎士であり、男爵の地位にあります。無断の侵入申し訳ありません。されど、姫の失踪は御国の密事と聞き及びましたゆえ、このように参上いたしました」
巨人の衛兵たちは、カミーユの凛々しい姿に見惚れた。
エトナ姫も応じて話す。
「騎士カミーユは私の命の恩人です。私の帰還と共に、急ぎ父王に紹介したいのです」
衛兵たちは、エトナ姫の声に戸惑う。
陛下に王女殿下の帰還をすぐに知らせるべきか。
この時間に寝所を開ける無礼が許されるのかと。
衛兵の困惑は、雷鳴のような声で断ち切られた。
「エトナよ。戻ったか。顔を見せよ」
父王ゾンネは、娘を呼ばわった。
エトナ姫はカミーユを伴い、衛兵が開けた王の寝所の戸をくぐる。
父王ゾンネの寝所もまた、大きかった。
エトナ姫の部屋よりも、更に大きく感じられた。
「父王、エトナです。只今戻りました」
父王ゾンネは駆け付け、娘の体を抱きしめた。
「おお、エトナよ。良く無事に戻った。余は嬉しく思うぞ」
父王は、喜びを爆発させ、娘を更に強く抱きしめた。
そして、違和感を覚える。
娘と自身の間に、一人の人間が挟まっているのだ。
「ふむ。何者だ。人間よ」
父王は、人間の共通語で尋ねた。
「お心遣い感謝します。父王ゾンネ陛下。私は人間の騎士カミーユと申します。エトナ姫をお連れいたしました」
カミーユは、巨人語で答えた。
「言葉を話すか。人間の騎士よ。エトナを連れてきたことには感謝しよう。だが、経緯を説明してもらおうか」
カミーユは父王ゾンネを見つめる。
父王は白い髭を蓄えており、人間で言えば六十歳は優に超えているだろう。
鋭く叡智を湛えた瞳を持ち、その顔の皺の一つ一つから、威厳が溢れるようにカミーユには感じられた。
「お答えいたします。父王ゾンネ陛下」
カミーユは、全てを正直に話すことにした。
この王には、言葉を飾ることは許されない。そう感じたのだ。
「エトナ姫は人間の悪党に拐かされ、ベラルーン王国におりました。そこで、王国貴族ビスタニオ子爵に囚われておりました。私が偶然、その監獄に入れられた故、共に脱出いたしました。その後、姫が落ち着かれるまで私の邸宅に逗まりいただきました」
カミーユは、エトナ姫のこれまでの苦難を、余すことなく父王ゾンネに伝える。
「私は我が王、ゲオルグ・アレクセイ・プラソールの命を受け、こうしてエトナ姫をお連れし、御前に至りました」
父王ゾンネはカミーユから離れ、その姿をまじまじと見つめる。
そして、娘、エトナの様子を見やる。
「ふむ、あらかた事情はわかった。人間の騎士カミーユ、そなたの武名は我が国まで響いておる。まずは姫を連れてきたことに礼を言おう」
父王は娘エトナを椅子に座らせ、自らも椅子に座った。
カミーユは片膝を付き、頭を垂れた。
「されど、人間の国の騎士カミーユよ。我が娘エトナを拐った件について、ベラルーン王国からの謝罪はないのか。その子爵の首も持ってはいないようだが」
父王ゾンネはカミーユに対して畏怖すべき態度で言葉をぶつける。
「我が王より、そのような命は受けてはおりません。されど、姫の名誉の回復。および賠償については、我が身に変えて、我が王へ伝え、誠実に対応させていただきたく存じます」
カミーユの言葉は、父王ゾンネに届いた。
「ふむ、人間の騎士カミーユよ。今、我が身に変えてと申したな。では、余がそなたの身を預かる。異論はないな」
父王は、何かを思いついたのか、カミーユに問うた。
「はい。父王陛下。私の言葉に偽りはございません」
カミーユは、父王ゾンネの言葉に頭を垂れた。
「では、人間の騎士カミーユよ。そなたに戦士の任を与える。余がもう良いと言うその時まで、戦士として働くのだ」
こうして、騎士カミーユは、巨人の王、父王ゾンネに戦士として身柄を預けることとなった。
カミーユは、エトナ姫を丁寧におろし、姫を固定していた縄を解いて行く。
「姫、失礼ながら、お体に触れさせていただきます」
カミーユはエトナ姫の体に触される。
エトナ姫の体についた縄の傷跡が、綺麗に消えて行く。
エトナ姫は、カミーユの治した傷のあたりを愛おしく撫で、カミーユに礼を言った。
カミーユは改めて部屋の中を見る。
造りが皆大きい。
椅子の座面など、カミーユの肩の高さにある。
暖炉の側のサイドボードは、その上でカミーユが寝ることができそうなほどの広さがある。
暖炉にかかる火かき棒は、物干し竿よりも長かった。
天井は高く、ダンスホールと見紛うほどだ。
机も大きいが、その取っ手もまた大きい。
カミーユは、自身が小さな子供になってしまったかのような錯覚を覚えた。
貴婦人の部屋を見回す無礼に気づいたカミーユは、エトナ姫に非礼を詫びる。
「エトナ姫。呆けてしまい申し訳ありませんでした。私は大樹を降りた方がよろしいでしょうか」
カミーユはエトナ姫に問うた。
「いいえ、カミーユ卿。私が戻ったことを親しい者に知らせねばなりません。その際、一緒にいていただきたいのです。ですから、もう少しお側に」
エトナ姫はカミーユの手を取った、その手はカミーユよりも大きなものだったが、もろく心細いもののように感じられた。
「ありがとうございます。エトナ姫。まずはどなたにお知らせいたしましょう」
カミーユはエトナ姫の手を優しく抱くと、言葉を導いた。
「そうですね。私の不在が長く、この部屋の侍女たちはいないでしょうから、父王の衛兵のところへ参りましょう」
エトナはカミーユの手を引き、扉へ向かう。
そして、カミーユの目線の高さにあるドアノブを回し、廊下へ出た。
大樹の内部、その上下移動は外周の豆の蔓の階段を利用するため、大樹の王宮はフロアごとにその機能が分けられている。
カミーユ達がいるフロアは後宮。王の私生活の場となる。
「陛下の居所は近いのですか」
カミーユはエトナ姫に問うた。
「はい。父王、ゾンネ陛下の寝所はすぐそこです」
カミーユは緩やかなカーブを描いた廊下の先に、二人の巨人の心音を聞き取った。
エトナ姫が先行し、その前に姿を示す。
「父王陛下はいらっしゃるか。エトナが帰還いたしました」
二人の巨人の衛兵は、エトナ姫の姿を見て、驚愕する。
「エトナ姫。ご無事に戻られたのですね」
彼女たちはエトナ姫の姿を見ると、駆け寄った。
しかし、カミーユの姿に気づき、警戒する。
「人間。いずこよりこの後宮へ入った。姫を拐かしたのもお前か」
カミーユは朗々たる巨人語で答える。
「私はカミーユ・ロラン。エトナ姫をお国に送り届けた人間の国の騎士であり、男爵の地位にあります。無断の侵入申し訳ありません。されど、姫の失踪は御国の密事と聞き及びましたゆえ、このように参上いたしました」
巨人の衛兵たちは、カミーユの凛々しい姿に見惚れた。
エトナ姫も応じて話す。
「騎士カミーユは私の命の恩人です。私の帰還と共に、急ぎ父王に紹介したいのです」
衛兵たちは、エトナ姫の声に戸惑う。
陛下に王女殿下の帰還をすぐに知らせるべきか。
この時間に寝所を開ける無礼が許されるのかと。
衛兵の困惑は、雷鳴のような声で断ち切られた。
「エトナよ。戻ったか。顔を見せよ」
父王ゾンネは、娘を呼ばわった。
エトナ姫はカミーユを伴い、衛兵が開けた王の寝所の戸をくぐる。
父王ゾンネの寝所もまた、大きかった。
エトナ姫の部屋よりも、更に大きく感じられた。
「父王、エトナです。只今戻りました」
父王ゾンネは駆け付け、娘の体を抱きしめた。
「おお、エトナよ。良く無事に戻った。余は嬉しく思うぞ」
父王は、喜びを爆発させ、娘を更に強く抱きしめた。
そして、違和感を覚える。
娘と自身の間に、一人の人間が挟まっているのだ。
「ふむ。何者だ。人間よ」
父王は、人間の共通語で尋ねた。
「お心遣い感謝します。父王ゾンネ陛下。私は人間の騎士カミーユと申します。エトナ姫をお連れいたしました」
カミーユは、巨人語で答えた。
「言葉を話すか。人間の騎士よ。エトナを連れてきたことには感謝しよう。だが、経緯を説明してもらおうか」
カミーユは父王ゾンネを見つめる。
父王は白い髭を蓄えており、人間で言えば六十歳は優に超えているだろう。
鋭く叡智を湛えた瞳を持ち、その顔の皺の一つ一つから、威厳が溢れるようにカミーユには感じられた。
「お答えいたします。父王ゾンネ陛下」
カミーユは、全てを正直に話すことにした。
この王には、言葉を飾ることは許されない。そう感じたのだ。
「エトナ姫は人間の悪党に拐かされ、ベラルーン王国におりました。そこで、王国貴族ビスタニオ子爵に囚われておりました。私が偶然、その監獄に入れられた故、共に脱出いたしました。その後、姫が落ち着かれるまで私の邸宅に逗まりいただきました」
カミーユは、エトナ姫のこれまでの苦難を、余すことなく父王ゾンネに伝える。
「私は我が王、ゲオルグ・アレクセイ・プラソールの命を受け、こうしてエトナ姫をお連れし、御前に至りました」
父王ゾンネはカミーユから離れ、その姿をまじまじと見つめる。
そして、娘、エトナの様子を見やる。
「ふむ、あらかた事情はわかった。人間の騎士カミーユ、そなたの武名は我が国まで響いておる。まずは姫を連れてきたことに礼を言おう」
父王は娘エトナを椅子に座らせ、自らも椅子に座った。
カミーユは片膝を付き、頭を垂れた。
「されど、人間の国の騎士カミーユよ。我が娘エトナを拐った件について、ベラルーン王国からの謝罪はないのか。その子爵の首も持ってはいないようだが」
父王ゾンネはカミーユに対して畏怖すべき態度で言葉をぶつける。
「我が王より、そのような命は受けてはおりません。されど、姫の名誉の回復。および賠償については、我が身に変えて、我が王へ伝え、誠実に対応させていただきたく存じます」
カミーユの言葉は、父王ゾンネに届いた。
「ふむ、人間の騎士カミーユよ。今、我が身に変えてと申したな。では、余がそなたの身を預かる。異論はないな」
父王は、何かを思いついたのか、カミーユに問うた。
「はい。父王陛下。私の言葉に偽りはございません」
カミーユは、父王ゾンネの言葉に頭を垂れた。
「では、人間の騎士カミーユよ。そなたに戦士の任を与える。余がもう良いと言うその時まで、戦士として働くのだ」
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