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第二部 探索編~蛾楽
蛾楽の群れ(6)
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(なんか異様な視線の邑だな)
与えられた部屋で寝床に入った菜をは考えていた。
会見した室から回廊を歩いた処にある、この室に入るまで。菜をは水を浴びるくらいの濃度の視線を浴びてきたのだ。
門のところで蛾楽に取り次いでもらう時からそうだった。
(よそ者に対しての警戒心か?)
最初は思ったのだが、どうも違う。
それでいて、菜をの一挙手一投足を注視しているようなのだ。
そして蛾楽の態度も腑に落ちない。
(確かに爺様ごのみの美女だけど……いくつかな?)
今回の任務の説明の折、時苧は蛾楽のことを悪びれもせず、小指をぴっと伸ばして表現したものだ。
しかし、いくらあの祖父でも諏和賀が土蜘蛛が襲撃されてから、他の邦の女に懇ろになりにいく余裕がなかったと思うのだ。
(爺さまと『蛾楽』どのが懇ろになっていた時期は、少なくとも二十年位は前の筈だ。……すると、今三十手前くらい前に見えるあの女は、いくつなんだろう)
菜をは彼女が自身のことを、「二代目『蛾楽』」だと言ったことを信じてはおらなかった。なぜなら菜をを注視していたあの視線たちから(よくまあぬけぬけと)とでも言ったかのような、はっきりとした気配が伝わってきたのだ。
間違いなく彼女こそが、時苧と昵懇であった『蜘蛛の糸』の『蛾楽』なのだと考えていた。
彼女が『蜘蛛の糸』の『蛾楽』だとして、菜をを受け入れた理由はなんだろう?
(二十年前の爺さまへの忠誠心?まさか。そんなにもほっておかれて、忠義心なんて残っているものだろうか?)
かといって、長年忠義を貫き通す人間が皆無だとは、菜をも思っていない。
最たる者が、兄である疾風であろう。
草太に命じられれば、数十年でも潜伏していそうである。
しかし、蛾楽という女は疾風の同類にはとても思えない。
(損得よりは好悪で判断してそう)
そして、あの粘つくような蛾楽の視線。
あれは企みごとを謀っている目だ。
(何を企んでいる? 秘薬『蛾楽』を外に流出させないことか?)
「明るくなったらその辺を『蛾楽』どのにお願いして歩いてみようっと」
そう菜をは呟くと、健やかな寝息を立て始めた。
戸が静かに開いた。
と同時に男が数人、菜をの寝床に押し寄せてきた。
われ先に菜をが被っていた衾をはいだ。一人は菜をの口をおさえ、一人は胸をまさぐり、一人は下半身を露出させた。
「……!」
菜をは音もなく天井から床に舞い降りると同時に男達を手刀で昏倒させた。衾と貸し与えられた衣に、あらかじめ映し身の術をかけていたのだ。
「あら、流石に忍ぶね?」
戸口に現れたのは蛾楽であった。
「これが、此処の邑の”歓待”か?」
菜をは静かに訊ねた。
「ええ、そうよ」
蛾楽は悪びれもせず、答えた。
「あんたはうちの邑の秘薬『蛾楽』を手に入れるんだもの。
こちらだって見返りがないとね?」
「なるほど」
菜をは油断せず、蛾楽をみつめていた。
「この邑の男どもの子を産んでほしいのよ」
「……他のおなごは?」
蛾楽は肩を竦めて見せた。
「居たら、こんな事させないわよ」
菜をは納得した。
(道理でこの邑に入ってからというもの、蛾楽どのしか女をみかけない訳だ。……男が異様に多い邑、ということか)
「子さえ作って置いていってくれれば、輿入れする必要はないわ。
どうせ、『蛾楽』を作るには、春先まで時間があるんだし、ね?」
蛾楽は妖艶に微笑んだ。
菜をが黙っていると、蛾楽はおもねるように媚びるように言いだしてきた。
「言っておくけど、この邑は公正なのよ?
ここの衆は他の男の情婦には手を出さないの。
だから、最初に『通わせている男は?』って訊ねてあげたじゃないのさ。
安心して、一度拒まれた奴は、二度と名乗りをあげないから」
「…………」
「でも、楽しんでね?あと数百人はいるから。よりどりみどりよ」
蛾楽は楽しそうに告げた。
「この結い髪と桜色の衣が目印ってことか」
「そう」
「面白い」
菜をは不敵に笑った。
「私も好みがある。じっくり吟味させて頂こう」
「流石」
蛾楽はにい、と微笑むと、ひゅっと菜をに紅い香袋のようなものを放った。
「『蛾楽』の半分よ。
残りは邑の男たちの品定めが全て済んでからね?
ああ、それと、『蛾楽』を男達が使うかもしれないことは、あらかじめ言っておくわね?
悪気はないのよ」
そういうと蛾楽は戸を閉めた。
(なんとまあ)
菜をは、悪びれた様子のない蛾楽の態度にむしろ感心しながら眠りについた。
翌日から邑の男たちの猛攻撃が始まった。
「この邑は男ばかりで衆道に走る人はいないの?」
名乗りの合間を見ては、菜をは蛾楽を手伝いながら訊ねた。
「いるさ。だけど、衆道じゃ、子供は作れまい?」
あまりの名乗りのすごさに死人も出ることもあり、今までの女たちは皆、肝を潰しておののいた。そして即座に自分の伴侶を定めて、事なきを得てきた。
まるで日常のような飄々とした菜をの態度を楽しみながら、蛾楽は明快に答えた。
ごく全うに考えれば恋の勝者になる為の名乗り合戦なのだが、よくもここまで女日照りであったと思える程だった。
あの手この手で菜をを人気のない処に呼び出し、抱きついて、押し倒そうとするのは可愛い方だった。落とし穴は仕掛けるわ、夜這いはするわ。湯に浸かっていると湯殿の周りに火を放つわ。
――厠で用を足そうとしている時に背後から突っ込まれそうになった時は流石にキレて、その男を便壷にたたきこんでやった。
ただ、せっかくの女。
死なせては元も子もないのと、そのような風評が立てば、城下町からゆきずりの女も拾ってこれなくなる。蛾楽によれば、一応自重してるらしい。
「あれの、どこが?!」
菜をは心底あきれて叫んだ。
「アラ、多くても三・四人ずつくらいでしょ?
それと、夜明け前は、夜這いはない筈よ」
言われてみれば、夜明けまでの数刻は静かだ。
「もっとも」
蛾楽はニイ、と微笑んだ。
「なかには掟破りの奴もいるかもしれないけどねえ」
……一旬もするとほぼ、邑の男たちの名乗りを全て受け終えたようだった。
これで安らかに眠れると床に入ったとき。少し油断していたのであろう、あっけなく組み敷かれていた。
(あたしとしたことが!)
菜をは舌打ちしたい気分であったが、男を跳ね飛ばそうとした。
通常菜をが男に組み敷かれるなぞ、草太や疾風、時苧や功刀と組み手をした時くらいだ。
それでも、素早く立ち回る為、組み敷かれるということは3回に1回もない。
信じがたいが、組み敷かれてからが菜をの本領発揮なのだ。
大の男を軽く組み敷かれた状態から跳ね飛ばしてしまうのだ。
今晩の男は瘤瀬の四郎よりも力がない。
跳ね飛ばそうと技をかけようとしたが動けなかった。
(なぜ? こいつはあたしのしらない柔の技をかけているとでもいうの! 疾風兄者より剛の者だというの?)
菜をはあらゆる技をかけようとしたが、躯自体に力が入らなかった。
(そうか)
次第に靄がかかる頭で菜をは思い至った。
(これが『蛾楽』か……!)
菜をは本草学を必死に思い出そうとした。
頭が朦朧としてきており、躯からどんどん力が抜け、いまや男の手は好き勝手に菜をの躯を這い回っていた。
力の入らない拳をぎゅっと固め、親指で掌のある1点をおす。
(効かない……!)
力が足りないのだ。
男の唇が、眼前に迫ってきた。
(草太兄者!)
なぜか草太の貌が浮かび、瞬間、指点を圧す拇に力が加わった。
直後、男はふっとび壁にたたきつけられた。
菜をはふらふら、とさまよい出た。
与えられた部屋で寝床に入った菜をは考えていた。
会見した室から回廊を歩いた処にある、この室に入るまで。菜をは水を浴びるくらいの濃度の視線を浴びてきたのだ。
門のところで蛾楽に取り次いでもらう時からそうだった。
(よそ者に対しての警戒心か?)
最初は思ったのだが、どうも違う。
それでいて、菜をの一挙手一投足を注視しているようなのだ。
そして蛾楽の態度も腑に落ちない。
(確かに爺様ごのみの美女だけど……いくつかな?)
今回の任務の説明の折、時苧は蛾楽のことを悪びれもせず、小指をぴっと伸ばして表現したものだ。
しかし、いくらあの祖父でも諏和賀が土蜘蛛が襲撃されてから、他の邦の女に懇ろになりにいく余裕がなかったと思うのだ。
(爺さまと『蛾楽』どのが懇ろになっていた時期は、少なくとも二十年位は前の筈だ。……すると、今三十手前くらい前に見えるあの女は、いくつなんだろう)
菜をは彼女が自身のことを、「二代目『蛾楽』」だと言ったことを信じてはおらなかった。なぜなら菜をを注視していたあの視線たちから(よくまあぬけぬけと)とでも言ったかのような、はっきりとした気配が伝わってきたのだ。
間違いなく彼女こそが、時苧と昵懇であった『蜘蛛の糸』の『蛾楽』なのだと考えていた。
彼女が『蜘蛛の糸』の『蛾楽』だとして、菜をを受け入れた理由はなんだろう?
(二十年前の爺さまへの忠誠心?まさか。そんなにもほっておかれて、忠義心なんて残っているものだろうか?)
かといって、長年忠義を貫き通す人間が皆無だとは、菜をも思っていない。
最たる者が、兄である疾風であろう。
草太に命じられれば、数十年でも潜伏していそうである。
しかし、蛾楽という女は疾風の同類にはとても思えない。
(損得よりは好悪で判断してそう)
そして、あの粘つくような蛾楽の視線。
あれは企みごとを謀っている目だ。
(何を企んでいる? 秘薬『蛾楽』を外に流出させないことか?)
「明るくなったらその辺を『蛾楽』どのにお願いして歩いてみようっと」
そう菜をは呟くと、健やかな寝息を立て始めた。
戸が静かに開いた。
と同時に男が数人、菜をの寝床に押し寄せてきた。
われ先に菜をが被っていた衾をはいだ。一人は菜をの口をおさえ、一人は胸をまさぐり、一人は下半身を露出させた。
「……!」
菜をは音もなく天井から床に舞い降りると同時に男達を手刀で昏倒させた。衾と貸し与えられた衣に、あらかじめ映し身の術をかけていたのだ。
「あら、流石に忍ぶね?」
戸口に現れたのは蛾楽であった。
「これが、此処の邑の”歓待”か?」
菜をは静かに訊ねた。
「ええ、そうよ」
蛾楽は悪びれもせず、答えた。
「あんたはうちの邑の秘薬『蛾楽』を手に入れるんだもの。
こちらだって見返りがないとね?」
「なるほど」
菜をは油断せず、蛾楽をみつめていた。
「この邑の男どもの子を産んでほしいのよ」
「……他のおなごは?」
蛾楽は肩を竦めて見せた。
「居たら、こんな事させないわよ」
菜をは納得した。
(道理でこの邑に入ってからというもの、蛾楽どのしか女をみかけない訳だ。……男が異様に多い邑、ということか)
「子さえ作って置いていってくれれば、輿入れする必要はないわ。
どうせ、『蛾楽』を作るには、春先まで時間があるんだし、ね?」
蛾楽は妖艶に微笑んだ。
菜をが黙っていると、蛾楽はおもねるように媚びるように言いだしてきた。
「言っておくけど、この邑は公正なのよ?
ここの衆は他の男の情婦には手を出さないの。
だから、最初に『通わせている男は?』って訊ねてあげたじゃないのさ。
安心して、一度拒まれた奴は、二度と名乗りをあげないから」
「…………」
「でも、楽しんでね?あと数百人はいるから。よりどりみどりよ」
蛾楽は楽しそうに告げた。
「この結い髪と桜色の衣が目印ってことか」
「そう」
「面白い」
菜をは不敵に笑った。
「私も好みがある。じっくり吟味させて頂こう」
「流石」
蛾楽はにい、と微笑むと、ひゅっと菜をに紅い香袋のようなものを放った。
「『蛾楽』の半分よ。
残りは邑の男たちの品定めが全て済んでからね?
ああ、それと、『蛾楽』を男達が使うかもしれないことは、あらかじめ言っておくわね?
悪気はないのよ」
そういうと蛾楽は戸を閉めた。
(なんとまあ)
菜をは、悪びれた様子のない蛾楽の態度にむしろ感心しながら眠りについた。
翌日から邑の男たちの猛攻撃が始まった。
「この邑は男ばかりで衆道に走る人はいないの?」
名乗りの合間を見ては、菜をは蛾楽を手伝いながら訊ねた。
「いるさ。だけど、衆道じゃ、子供は作れまい?」
あまりの名乗りのすごさに死人も出ることもあり、今までの女たちは皆、肝を潰しておののいた。そして即座に自分の伴侶を定めて、事なきを得てきた。
まるで日常のような飄々とした菜をの態度を楽しみながら、蛾楽は明快に答えた。
ごく全うに考えれば恋の勝者になる為の名乗り合戦なのだが、よくもここまで女日照りであったと思える程だった。
あの手この手で菜をを人気のない処に呼び出し、抱きついて、押し倒そうとするのは可愛い方だった。落とし穴は仕掛けるわ、夜這いはするわ。湯に浸かっていると湯殿の周りに火を放つわ。
――厠で用を足そうとしている時に背後から突っ込まれそうになった時は流石にキレて、その男を便壷にたたきこんでやった。
ただ、せっかくの女。
死なせては元も子もないのと、そのような風評が立てば、城下町からゆきずりの女も拾ってこれなくなる。蛾楽によれば、一応自重してるらしい。
「あれの、どこが?!」
菜をは心底あきれて叫んだ。
「アラ、多くても三・四人ずつくらいでしょ?
それと、夜明け前は、夜這いはない筈よ」
言われてみれば、夜明けまでの数刻は静かだ。
「もっとも」
蛾楽はニイ、と微笑んだ。
「なかには掟破りの奴もいるかもしれないけどねえ」
……一旬もするとほぼ、邑の男たちの名乗りを全て受け終えたようだった。
これで安らかに眠れると床に入ったとき。少し油断していたのであろう、あっけなく組み敷かれていた。
(あたしとしたことが!)
菜をは舌打ちしたい気分であったが、男を跳ね飛ばそうとした。
通常菜をが男に組み敷かれるなぞ、草太や疾風、時苧や功刀と組み手をした時くらいだ。
それでも、素早く立ち回る為、組み敷かれるということは3回に1回もない。
信じがたいが、組み敷かれてからが菜をの本領発揮なのだ。
大の男を軽く組み敷かれた状態から跳ね飛ばしてしまうのだ。
今晩の男は瘤瀬の四郎よりも力がない。
跳ね飛ばそうと技をかけようとしたが動けなかった。
(なぜ? こいつはあたしのしらない柔の技をかけているとでもいうの! 疾風兄者より剛の者だというの?)
菜をはあらゆる技をかけようとしたが、躯自体に力が入らなかった。
(そうか)
次第に靄がかかる頭で菜をは思い至った。
(これが『蛾楽』か……!)
菜をは本草学を必死に思い出そうとした。
頭が朦朧としてきており、躯からどんどん力が抜け、いまや男の手は好き勝手に菜をの躯を這い回っていた。
力の入らない拳をぎゅっと固め、親指で掌のある1点をおす。
(効かない……!)
力が足りないのだ。
男の唇が、眼前に迫ってきた。
(草太兄者!)
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