蒼天の城

飛島 明

文字の大きさ
59 / 142
第一部 再興編

逆襲

しおりを挟む
 寝てまつこと、暫し。

 時苧の小屋を、一人の娘がおとずれた。娘の訥々とした、だが一生懸命な報告に耳と傾ける。
「たしか、か。阿蛾」
 時苧の声は満足気であった。

 武具を磨き、馬を整え。
 密やかに、瘤瀬の里は闘気に包まれた。
 土雲に先じねばならない。事は迅速と、隠密を必要とした。しかし、里の意気は高揚していた。


 征伐隊が出立しようとする、まさに其のとき。
「あたしも連れていけっ、兄者!これはあたしの戦いだっ」
 戦装束に身を固めた娘の一人が進み出た。
 菜をの頬が戦気で上気し、目がくるめいた。

 菜をが正体を明かさぬよう気を配っていた時苧と草太であったが、このときばかりは油断した。
 もう、時苧の術もきかない。最大の不覚であった。

 しかし、草太は予想していた。
 いや、いつか。菜をは言うだろうと無意識のうちに知っていた。

「あたしは諏和賀の諏名姫だっ! いつまでも、皆の後ろに隠れていることは出来ないッ」

「菜をが……、諏名姫……?」
「お館様亡きあと。それでは諏和賀のご領主は。……菜を、ということ、か?」

 里の者の気が揺れた。

 そこに菜をは、いや諏名姫は声を張り上げた。
「皆を護るのが領主の勤めであるならば、あたしこそが土雲と戦う!」


「只者ではないと思っていたが、まさかご領主の血筋とは!」
「オレは菜をなら、ついていくぜ!」
「皆!土雲を倒すぞ!」
「断じて瘤瀬には奴らを入れねェ!」
「オレ達の姫君を護るんだっ!」
「応!」

 初めは歓声であった。

 しかし。
 里の者の気が揺れ始めた。
 納得から困惑、狼狽。
 そして憎悪へ。

 草太が土雲襲撃の出立を促したが。

 菜をの周囲には、猜疑の眼が渦巻いていた。
 信じていいのか、受けいれてよいのか。自分自身の感情がわかっておらぬような、みなの眼差し。
 それは、里に残る者も征伐隊の者も、等しく同じであった。
 燻っていたものが、爆発した。

「何を言ってるんだ、お前ら?オレ達は、土雲に家族を殺されたんだぞ!」
「そうだっ。土雲の狙いはご領主一族だった。いわば、オレ達はご領主に家族を殺されたんだ!」
「今のやりとり……、小鷲は知ってたんだな? ということは頭領もっ!」
「菜をは、おめおめとその事実を隠していた!」
「オレ達は、じい様と小鷲兄者にもずっと謀られていたんだぞ!」

 次第に怒号が歓声を凌駕していった。ついには、怒号のみが交差した。
 時苧は密かに、これを恐れていたのだ。


「でも!」
 一人の声が決意したようにさえぎった。
 普段あまり喋らない男の声であったので、皆が鎮まった。その声は、最後に征伐隊に名乗りをあげた、羅生丸の四郎であった。
 後ろに八雲もいる。
 二人とも、今の衝撃から顔は青ざめていたが、瞳には強い光があった。

「羅生丸?
 お前、八雲に子が出来たから、護衛で瘤瀬に残るのではなかったか?」
 仲間も彼が征伐隊に加わっていることを初めて知った者もいたぐらいであった。

「だからだ。オレは、土雲を倒す。オレの力でこの里を、八雲を護るんだ」
 羅生丸の言葉に誰かが首を振った。

「だが、羅生丸。オレ達は確かに城下から頭領に連れてこられた。
それは感謝しているが、そもそもご領主と土雲の戦いのとばっちりを食ったんだ」
「そうだ!」
「そうと知ったからにはオレ達は、この戦いに参戦しない」
「俺達はいわば、諏和賀の御家の犠牲者だ。瘤瀬に残って当然なんだぜ?
戦いたいなら、頭領と小鷲が戦えばいい」

 同意者がばらばらと隊列から抜けていく。
 そうだ、そうだという同意の中、羅生丸は必死にかぶりを振った。

「違う!
 オレも、八雲とこの里から逃げようと思ってた。
諏和賀への想いにつまったこの里に、押しつぶされそうで。
でも、違うんだ。
きっかけは、ご領主一族の殲滅だったかもしれない。
でも、もう事はオレ達にも及んでいるんだ」

「だからっ」
 俺達には関わりがない、と言いかけた者達に羅生丸は押し被せるように言葉を叫んだ。

「俺達はもう巻き込まれてるんだと、何故わからないんだっ!
あの戦乱は、誰かをえり好みしてくれていたか?!」
「……」

「それとも今度は菜をの首を差し出したら……、土雲はオレ達を見逃してくれるとでも?」
「!」
 何人かはそう考えていたのだろう、読まれた事で押し黙った。
 激情がさり、羅生丸は弱々しく呟いた。

「諏和賀の里の徹底的な殲滅を見たら、そんな事をしてくれる訳ないだろう……?」
 屈強の青年たちが、幼少の頃に骨身の髄まで沁み込まされた恐怖に、ぶるりと震えた。

 羅生丸は、気弱な男であった。
 それが、惚れた女と、その体内の子供を護ろうと決めた時、勁くなったのだ。
「……」
 羅生丸の気迫に、反対していた者達も気おされた。




「……お前達を置いて、八雲を連れて逃げ出そうと思っていた。
菜をはそんな俺達に『一刻も早く逃げ出せ』と勧めてくれた」
 羅生丸はぽつりと言った。
「『この里は諏和賀の亡霊にとりつかれている。この瘤瀬にいなくていい。
皆には諏和賀を忘れて幸せになる権利があるのだから』と」

「おためごかしだ」
 くすぶっていた者の一人が、苦し紛れに言った。

 羅生丸は構わず続けた。
「『ただ、くれぐれも土雲の脅威の及ばぬ処を探して』と」

「……」

「『生まれてくる子に、幸せな人生を送らせてあげて』と。
 オレは……、オレはそれを聞いて、恥ずかしくなった。
今まで一緒に暮らしてきた兄姉弟妹を見捨てようとしたことにも。
あんなに土雲の事を憎んでいたにも関わらず一矢も報いぬまま、別の土地で暮らそうとしたことにも」

 羅生丸は一瞬、口を噤み、そして、その言葉を口にした。

「これからも、ずっと土雲の影に怯えながら、生きようとしたことにも」



「……」
「今なら、わかる。何故、あんなに菜をの顔が辛そうだったのか。
皆、忘れたのか?
菜をが今まで、どんなにオレ達のことを大事に思っていたか。
あれは、あれは。おためごかしなんかじゃない!」

(そうだ、菜をはいつだって、俺達の事を大事に思っていた)
 だからこそ、裏切られたと思ったのだ。
 だからこそ、許せなかったのだ。

「オレは、諏和賀の為じゃない。
オレの為に……、おみつと子供の為に土雲を倒すんだ!」
 反対していた者たちの表情から、燻っていたたものが消えた。



 緊迫した空気のなか、草太がのんびりと場を遮った。

「そんなことだから、行ってくるな。
いい子で留守居役を頼むぞ」
 菜をの頭に、ポンと手を載せた。

 いたただしげに、菜をは兄の手を払った。
「子供扱いするなッ」

「してるか、このたわけ猿。
いいか? 自分の命を盾にしても意味はないと教えただろう。
そんなもん使えば使う程、安くなる。
お前まで土雲襲撃に行ったら、誰がこの里を護るんだ?
残りは年寄りと子供だけだ、あとはまかせたからな」

「それは、兄者たちは生きて還ってこないということかッ!!」
 菜をが吠えた。


「……飯炊いておいてくれ」
 およそ緊迫感に欠けたやりとりだったが、目にみえて菜をは緊張を解いた。
 それでも、言い募る。まだ殺気の充分残った瞳で。

「わかってるだろうな、兄者。
一人でも欠けて還ってみろ。地の果てまでも土雲を追い、みなの仇を討つぞ。
諏和賀の再興など、関係ない。命の限り、奴らを追うからな!」

 後ろも振り返らず、草太は手をひらひらと振った。
「おう、好きにしろ。念を押しておくが、うまい飯だからな。不味かったら、承知せんぞ」
「わかった」
 言うなり菜をは、くるりと踵を返した。


「出立する!」
 草太が号した。




「兄者」
 疾風が馬を駆りながら、隣をやはり馬で疾走している草太に声をかけた。
「なんだ」
 草太は、疾風を見ない。
 ただ、その先に目指す土雲を見ていた。

「殴っていいから、とりあえず、聞いてくれ」
「……?」
 何を言い出すのか。
 草太はちらっと疾風をみた。

「兄者は、本当にこはとが好きだったのか」
「?」
「菜をのかわりに、こはとを選んだのじゃないのか」
「!」

 疾風がいいはてぬうち、草太から刀子がとんだ。
 いつもなら、まともに疾風に入って馬からもんどりうって落馬するのがお約束なのだが。
 疾風は眉間の前でがっちりと、刀子を受けとめた。

 弟の、いつも楽しそうに踊っている瞳が、今は真剣であった。
 草太が、あらためて面を糺し、疾風をみた。

「菜をへの想いを叶えてはいけないと思ったからこそ、かわりの幸せを見い出そうとしたんじゃないのか?
なんで、そんなふうに思い込むんだ、兄者。
あんなにいつも、菜をのことを見つめてるのによ!」

 疾風が吠えた。
 菜をを諫めた草太の瞳は、慈しみに満ちていた。

 刺し違えても、土雲を倒す。
 おそらく、時苧と草太だけはそう考えている筈だ。
 だから、菜をを連れて行かない。
 旗印であり、諏和賀の血を残す為に。
 普段の草太であれば、時苧が反対しようとも、皆の志気を高揚させる為に菜をを同行させている筈だ。

 今回、思い人を残して戦地に赴く男達がいた。
 八雲のように、愛する男の子種を宿らせている者もいた。
 中には愛する男と共に戦うことを望んだ女もいたが、一様に男達は女を瘤瀬の地に残すことを希望した。
 ――それが、忍ぶとしての愛なのかもしれぬ。
 己こそが身をもって楯となり。
 次世代へと血を繋ぐ為に。

 疾風には兄の行動も、男たちのそれと同じに思えたのだ。

「なにかあってからじゃ、遅いからだ!
あれは、諏和賀の諏名姫だ!
オレは、再興の切り札を護っているだけだ!」
 草太も叫び返す。

(諏和賀の、諏名姫……!)
 疾風は、先程の驚愕を思い出した。
 以前の、菜をと草太の激しい言い争いは、疾風は憶えていない。
 菜をのかけた暗示によって、一切疾風の記憶からなくなっていたのだ。

「兄者……。それで、自分に暗示をかけてしまったのか?」
 疾風が悲しそうにいった。

「身分違いて、なんだ?諏名姫であろうが、菜をは女だ。
 惚れた女の為に、その女を護るのに四の五の言い訳をつけねぇと、傍にいられねぇのかよ!」
 疾風の魂からの叫び。



「あいつとオレは、本当の兄妹だ……」
 草太が口の中で呟いた。
 その言葉は、疾風にまで届かない。自分にすら、聞こえるのを恐れているかのようであった。
 あの痣。
(なんで、俺達にあの痣があるんだ……ッ!)




「オレの任務は土雲を倒すこと! 諏和賀の再興だ!」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

日露戦争の真実

蔵屋
歴史・時代
 私の先祖は日露戦争の奉天の戦いで若くして戦死しました。 日本政府の定めた徴兵制で戦地に行ったのでした。  日露戦争が始まったのは明治37年(1904)2月6日でした。  帝政ロシアは清国の領土だった中国東北部を事実上占領下に置き、さらに朝鮮半島、日本海に勢力を伸ばそうとしていました。  日本はこれに対抗し開戦に至ったのです。 ほぼ同時に、日本連合艦隊はロシア軍の拠点港である旅順に向かい、ロシア軍の旅順艦隊の殲滅を目指すことになりました。  ロシア軍はヨーロッパに配備していたバルチック艦隊を日本に派遣するべく準備を開始したのです。  深い入り江に守られた旅順沿岸に設置された強力な砲台のため日本の連合艦隊は、陸軍に陸上からの旅順艦隊攻撃を要請したのでした。  この物語の始まりです。 『神知りて 人の幸せ 祈るのみ 神の伝えし 愛善の道』 この短歌は私が今年元旦に詠んだ歌である。 作家 蔵屋日唱

織田信長 -尾州払暁-

藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。 守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。 織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。 そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。 毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。 スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。 (2022.04.04) ※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。 ※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

魔王の残影 ~信長の孫 織田秀信物語~

古道 庵
歴史・時代
「母を、自由を、そして名前すらも奪われた。それでも俺は――」 天正十年、第六天魔王・織田信長は本能寺と共に炎の中へと消えた―― 信長とその嫡男・信忠がこの世を去り、残されたのはまだ三歳の童、三法師。 清須会議の場で、豊臣秀吉によって織田家の後継とされ、後に名を「秀信」と改められる。 母と引き裂かれ、笑顔の裏に冷たい眼を光らせる秀吉に怯えながらも、少年は岐阜城主として時代の奔流に投げ込まれていく。 自身の存在に疑問を抱き、葛藤に苦悶する日々。 友と呼べる存在との出会い。 己だけが見える、祖父・信長の亡霊。 名すらも奪われた絶望。 そして太閤秀吉の死去。 日ノ本が二つに割れる戦国の世の終焉。天下分け目の関ヶ原。 織田秀信は二十一歳という若さで、歴史の節目の大舞台に立つ。 関ヶ原の戦いの前日譚とも言える「岐阜城の戦い」 福島正則、池田照政(輝政)、井伊直政、本田忠勝、細川忠興、山内一豊、藤堂高虎、京極高知、黒田長政……名だたる猛将・名将の大軍勢を前に、織田秀信はたったの一国一城のみで相対する。 「魔王」の血を受け継ぐ青年は何を望み、何を得るのか。 血に、時代に、翻弄され続けた織田秀信の、静かなる戦いの物語。 ※史実をベースにしておりますが、この物語は創作です。 ※時代考証については正確ではないので齟齬が生じている部分も含みます。また、口調についても現代に寄せておりますのでご了承ください。

別れし夫婦の御定書(おさだめがき)

佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★ 嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。 離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。 月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。 おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。 されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて—— ※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

アブナイお殿様-月野家江戸屋敷騒動顛末-(R15版)

三矢由巳
歴史・時代
時は江戸、老中水野忠邦が失脚した頃のこと。 佳穂(かほ)は江戸の望月藩月野家上屋敷の奥方様に仕える中臈。 幼い頃に会った千代という少女に憧れ、奥での一生奉公を望んでいた。 ところが、若殿様が急死し事態は一変、分家から養子に入った慶温(よしはる)こと又四郎に侍ることに。 又四郎はずっと前にも会ったことがあると言うが、佳穂には心当たりがない。 海外の事情や英吉利語を教える又四郎に翻弄されるも、惹かれていく佳穂。 一方、二人の周辺では次々に不可解な事件が起きる。 事件の真相を追うのは又四郎や屋敷の人々、そしてスタンダードプードルのシロ。 果たして、佳穂は又四郎と結ばれるのか。 シロの鼻が真実を追い詰める! 別サイトで発表した作品のR15版です。

処理中です...