大阪人の俺と異世界人の美少女が組んだら最強。-レクイエム-

ただの女子高生

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勇者の国 編

「吸血鬼」 前半

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 ヴァナルガンドが王室へ文字通り突撃した。
 書記室にケイトがいなかったので、近くの団員に聞くと、震えながら「王室で王女様と謁見している」と教えてくれたのだ。
 大きな音を立てて扉が開く。

「なんだ!?」

 ケイトは驚いてそちらを見る。
 王女は凛として動かない。
 すると、ケイトの目に2人の子供をくわえたオオカミが映る。

「うわああ!?!?」
『うるさいぞ』
「え!!神獣って人食うのか!?」
『失敬な!食わんわ!!』

 王女が口を開いた。

「その子たち、オリバーとリカだな。保護してくれたのか」

 ケイトは、その2人に見覚えがあることに気づいた。
 書類を漁る。

「あった…。この子達、先日から行方不明届が出てる!!」
『そうなのか。帰路で倒れているところを見つけたのだ』
「というか、王女様よくご存知でしたね」
だけだ」

 彼女は金色の髪をふわりと揺らし、微笑む。

 ヴァナルガンドは街での出来事や、リアンが森に入ったことを説明した。

「そういうことだったのか」

 ミラから、リアンがどこかへ行ったと言う旨は聞いていたが、どこへ行ったのか聞いても「知りません」と言うのでよく分からなかったのだ。
 しかも勝手にどこかへフラフラ行ってしまうことがよくあるので、全く心配していなかった。

 王女はあごに手を当てる。

「そう言えば連合軍軍長が────

 

 団長会議2日目。

「あれ、リアン君は今日来てないね」
「どうせまだ寝てるんだろ~」
「アナタじゃないんだから」

 団長会議3日目。

「今日はフォル君も来てないね」
「…寝てるんだろう」
「多分そうね」

 団長会議4日目。

「…今日は高虎もいないね?」
「もう帰っていいかしら…」
「(最終日には誰もいないんじゃないだろうか…)」

 

 ────と言っていたな」
「・・・・・」

 その時、オリバーとリカが起きた。

「う、うーん」

 ヴァナルガンドは怖がらせないために小さい姿になる。
 ケイトは駆け寄る。

「大丈夫か?」
「あ、あれ…。白竜団のお兄さん…?」

 すると、2人はハッとして目を開く。
 そしてケイトにしがみつく。

「お兄さん!!助けて!!サムお兄ちゃんが!!」

 オリバーは涙を浮かべ、震えながらケイトを見る。



 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



「私、行かなきゃ」

 リアンの言葉に、カーミラはゆっくりと振り返る。
 その目は冷たく、鋭い。

「…どうしてじゃ?ここにいれば衣食住、何も困らぬじゃろ?ずっと…ずっとここにいろ」
「それは出来ない。助けを待ってる人が‪いるから」
「……そうか、お主ここから出ていこうとするのか…」

 すると、カーミラの姿が複数のコウモリに分かれる。
 バサバサと羽音がし、目の前がコウモリの大群で暗くなる。
 視界が開けると、空中にコウモリの羽を生やしたカーミラがいた。
 彼女はふわりと浮いていて、足を組む。

「あの二人はコイツが逃がしてしもうた…」

そう言ってサムを睨む。
その瞬間、カーミラはサムの目の前に移動する。
そして「お主のせいで」と今にも殺しそうな目で睨む。
サムはパニックになり、そばにあった枝を投げる。
しかし、カーミラの脇腹が複数のコウモリに分かれ、枝が通り抜けていく。
そして、彼女の姿は元に戻る。

「無駄なことを」
「バ、バケモノ…」

サムは足がこわばって動けない。
しかしカーミラの爪が迫った瞬間、リアンが彼をお姫様抱っこで移動させた。
カーミラは舌打ちをする。

彼女は鋭い目でリアンを見、

「お主は逃がさぬ。力づくでもここにいてもらう」

と、先程遊んでいた時の無邪気な様子を微塵も感じさせない恐ろしさで言う。

 リアンは『鎮魂歌レクイエム』と手をのばす。
 周囲に黒炎が舞い、死神のような大鎌を形成する。
 彼女はそれを握りサムを庇うように立ち、カーミラを見据える。

「私は逃げないよ!!」

リアンは跳び上がった。
空中で浮遊するカーミラに向かい、一回転、二回転。

「〈永遠の安息アニュス・デイ〉!!!」

大鎌を振ると、黒い炎が円状に描かれる。
カーミラは羽を1振りして右に避ける。
そして、口をゆっくりと動かした。

「『交声曲カンタータ』────【落ちろ】」
「!!!」

リアンは何故か重力を強く感じる。
その瞬間、何かに押されたように地面に叩きつけられる。

「あっっぶない!!」

リアンは手をついて着地する。
彼女が地面に降りた瞬間、そこにヒビが入る。

「びっくりした…。楽曲ギフトだね!」

すると、リアンの背後に隠れていたサムが震えながら話し始める。

「あの子の能力は、多分“言葉通りに人を動かす”ことだと思う────

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


サムは、食堂の新しいメニューの開発のために必要な果実を取りに、帰らずの森にやって来た。
目当ての果実は見つけたものの、何故か森から出ることが出来ず、そんな中カーミラの屋敷を見つけた。

しかし、そこでは同じく森から出ることが出来ず、屋敷にたどり着いたリカとオリバーがいた。
カーミラと同い年くらいの2人は、初めは楽しく遊んでいたものの、「そろそろ帰る」と伝えた瞬間。
カーミラが豹変して「【帰るな】」と言ってから、何故か屋敷を出ることが出来ないと言う。

そこでようやくカーミラが危険だということに気づいたサムは、

“彼女の能力は重複できる回数に限りがある”
つまり、【Aをしろ】と言った後に【Bをしろ】と言った場合、前者の効果が無くなる。
(その重複可能数は不明)

という仮説をたて、2人を屋敷から逃がすことに成功した。
しかしその瞬間をカーミラに見られてしまい、サムは【一生ここで働け】と言われてしまったのだった。

彼は、自分に能力を使ったおかげで、2人を逃がさないことに能力を使わなかったことは幸運だったと思っている。
実際、カーミラは2人の逃げていく背中を見ているだけだった。

その後リアンが尋ねてきた際、【わしのことを喋るな】と言われたため、情報を伝えることが出来なかったのだった。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

────いくら死神ちゃんでも…」

サムは下を向く。
一方リアンは上に浮いているカーミラを見ていた。

「じゃあ、カーミラが羽で飛べたり、コウモリに分かれて攻撃を避けてるのは楽曲ギフトじゃないってこと…?」

カーミラは不敵に笑う。

「くっく…。サム、半分正解じゃ。そしてリアン、その答えは単純じゃよ────

彼女は口角を上げ、目を細める。
月明かりが彼女を照らし、森の木々が怪しく揺らめく。

────わしが“吸血鬼”だからじゃ」

バサバサと、周囲のコウモリが騒ぎ立てる。
リアンは「吸血鬼…」と呟いた。
────勇者伝説の1つに吸血鬼をやっつける話があったけど、本当に存在する生き物だったんだ…!

カーミラは高笑いする。

「吸血鬼のわしは攻撃が効かぬし、死ぬ事もない」
「え、すごい!!でも、相手が誰だろうと関係ないや」

リアンは手に力を込める。
大鎌がさらに黒炎を強く纏う。
彼女は木を駆け上がり、トン、と空へ跳ぶ。
カーミラより高い位置に浮かぶ。
カーミラから見ると、月を背にしたリアンはまさに死神。

彼女は鎌を振る。

しかし、カーミラはそれを片手で止める。
しばらく2人は互いの力で押し合った。

力の差を感じたリアンは、鎌を持つ手に力を込め、クルっとカーミラの後ろへ回り、背後を狙う。
しかし彼女はふわりと大鎌を避け、顔を近づける。

「【ぶっ飛べ】」
「……ッ!!」

リアンは構えたものの、呆気なく飛んでゆく。
しかし木にぶつかる直前に宙返り。
そして両足で木を蹴り、再びカーミラを狙う。

「お主、本当に人間か!?!?」

カーミラは驚きの表情を見せる。
しかし彼女の敵では無い。
冷たい表情に変わり、

「【落ちろ】」

と吐き捨てる。
リアンは重力を強く感じる。
カーミラのもとに向かう動きに逆らうように、下へ下へと圧がかかる。

リアンは地面に押し付けられるように落ちた。
左手と両足を支点に着地できたものの、ダメージを受けている。
彼女の長い脚に傷ができ、血が流れていた。

カーミラは空中からリアンを見下ろし、彼女の傷口を指さす。

すると傷口から、血がカーミラの手元へと移動していく。
シュルシュル…と、彼女はリアンの血を弄ぶようにしている。

見ていたサムは恐怖に襲われた。

「死神ちゃん!!!!」

このまま血が抜かれてしまえば、大量出血で死んでしまう。

リアンは黒炎の鎌で自らを斬った。
血の流れが、

カーミラとサムは目を見開いた。

「お主…そんなことも出来るのか」

リアンはこの一連の間、2人の声が聞こえていなかった。
集中していたのだ────どうすれば、この力の差を縮められる?私には、何が足りない?

リアンはよく、「落ち着きがない」とミラに怒られることを思い出す。
彼女の経験上、彼の言っていることは正しい。

────そうだ、「落ち着け」ばいいんだ

リアンは目を閉じる。
森のざわめき。サムの恐怖。カーミラの余裕。
そして『楽曲ギフト』の力を全身に感じる。
リアンは目を開く。

「『鎮魂歌レクイエム』────

彼女の周囲に黒炎が舞い始める。
炎は勢いづき、リアンを覆う。

リアンの目が、紅く、光る。

────〈永遠の炎レコルダーレ〉」

彼女は一瞬にしてカーミラの目の前にひとっ飛び。
鎌を大きく振る。
カーミラは避けきれずに傷を負った。
どうやら楽曲ギフトでの攻撃は無効化出来ないらしい。

「ぐっ!」

リアンは間髪入れず次の一振り。
黒炎が軌道を描き、空中で轟々と燃え盛る。
カーミラは体勢を立て直そうと更に上へ飛ぼうとする。
しかし、リアンはそれを許さない。
バク宙したかと思うと、カーミラの背後に周り、鎌を振る。

「────ッ!!!【落ちろ】!!!!」

カーミラは必死の形相でリアンに吐き捨てる。
が、彼女は普段の笑顔が思い出せないほどの、冷たい表情で相手を睨む。

「落ちない」

冷淡に一言。
すると彼女は落ちることなく、空中で動作を続ける。

「〈永遠の安息アニュス・デイ〉」

死神の大鎌を振ると、炎が円を描いて燃える。
間一髪で避けたカーミラのドレスの裾が焦げる。

「お主、なんなのじゃ!!!【落ちろ】【落ちろ】!」
「落ちない」

リアンは重力どおり下に落ちてゆき、木を利用してもう一度カーミラに向かって跳ぶ。

リアンの鎌が届く距離まで近づく。
彼女の紅い目は、ただカーミラだけを見据えている。
カーミラの心音が高鳴る。

「ひっ」

カーミラは“死”を感じた。
吸血鬼は不老不死であるのに。
追い込まれた彼女の口が開いた。

「────【死んでしまえ】ッッッ!!!」

そう吐き捨てて、目を強く閉じる。
リアンは真正面でその言葉を受けてしまった。

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