推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん

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16歳《高等部 1年》

21

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「クラウス部長!」

生徒会室に行く途中になんか呼び止められた。僕のお仕事もう終わりだよね?また面倒事かなぁ。

はぁ。クラウスなら嫌な顔ひとつせずに受け答えするんだろう。

「どうしたの?」

いつも通りにボードゲーム部員に微笑んでやる。

「ボードゲーム部の景品について確認お願いします。」

「あぁ。予算内に適当に選んでもらって良かったのに…。」

ふぅん。まぁ悪くない。
1年生に勝てれば消耗品の詰め合わせ。貴族が使ってるやつじゃん。いくらするんだろ。1年生弱いんだからもっと安くてもいいと思うな。
2年生に勝てば好きなボードゲームをプレゼント。僕頼みか。
3年生に勝てばお菓子か茶葉。僕が取り扱ってるものも出そう。
副部長に勝てば東への旅行券?この子の領地への旅行か。普通に僕も興味ある。
それで?僕に勝てればこの学園への推薦権。これは大きく出たな。

「2年生の景品だけど、異国から僕が持ってきてるボードゲームあるけどどうするの?」

「クラウス部長頼みになります…。」

「ふぅん。まぁ、予算は有り余ってるしいいよ。作ってあげる。」

ボードゲーム部にかかる経費なんて飲み物入れるカップと飲み物くらい。僕らで持ち寄ればいいだけだから実質タダみたいなもの。

「あと、僕に勝利したときの景品は、《シルヴェスター公爵ができる限りの願いを叶える。》これにして。あと、僕に挑む時の金額は高めに設定してね。」

「…は?」

「なんでも叶えてあげるよ。僕の権力でね。君も頑張れ。」

ふふん。やる気が出てきたな。
絶対負けられない。

いっぱい練習しよう。手始めにアルとルディとシモンでいいかな。

今日は生徒会の通常業務を終わらせたら帰れるし、さっさと帰ろう。

生徒会室に行けばルディだけいた。他は部活にでも行ってるんだろう。研究者気質のヤンはほとんど来ないし。脚本家のレネは脚本の題材探しで忙しそう。シモンはボランティアとお祈りばかりしてる。
テオ様はいつも通り剣術を磨いてるんだろう。あぁ可愛い。

「ルディだけなんだ。」

「今の生徒会は協調性ねぇからな。」

ルディは素っ気ない。
そんな素っ気ないルディの隣にある僕の椅子。隣がテオ様ならもっと頑張れるのになぁ。

「いいじゃん。媚び売られるの嫌いでしょ。」

「まぁな。」

良くも悪くもルディの周りは気安い貴族が多い。ルディが仲良くなると威厳がなくなる。とも言うけど才能がある人が多いんだよね。羨ましいことだ。

「ただ、人を纏める力がないって思われないようにね。第二皇子派閥はちゃんと力付けてきてるよ。」

「俺にはシルヴェスターがいる。それに俺だって魔法も剣の才能も、頭だって悪くねぇ。なにより、今の情勢的に純粋な暴力にアイツらが口出しできねぇだろ。」

「まぁ…。ならいいけど声は大きくなりがちだから気を付けてね。」

第二皇子は頭が回る。ただ根っこが真っ直ぐすぎるから王様とかには向いてない。必要だとわかってても仄暗いことはしたがらないんだよね。テオ様と相性良さそうだけどさぁ。

「なんか問題でも起こすか?」

「戦争とか?」

「魔獣の活発化でもいいけどな。」

確か薬学部がスタンピードおこす薬作ってたな。許可欲しいって申請きた時は迷った末に学園長に丸投げした。
まだ僕の権力と権限では許可出せませんって。だって責任取りたくないし。


「できるっちゃできるよ。魔法薬学部が魔獣のスタンピードをおこす薬持ってるんだよ。それをなにかの事故で割るみたいなさ。」

「あー。学園長と国の許可降りて作ったやつか…。処分困るもの作る許可出すなよな。」

「何事も経験だからね。僕らの代は失敗できないから第二皇子の代の時に割れば?偶然僕らがいるみたいな演出でさ。」

僕らは許可も出てないし関係ないもん。

「考えとくわ。にしても、アイツが俺に頭を下げるってなれば痛快だな。」

「意地でも頭は下げなさそう。」

逆に親の仇かってくらい睨んできそうだ。
ペンは止めずに二人で話しながら決済を続ける。

「そういや、出し物とか服とか準備いるだろ?いつ行く?」

確かにそうだ。女性用のドレスとか数ヶ月とか余裕でかかる時がある。人が作ってるせいで遅いのなんのって。もっと簡略化できたらいいんだけど。

「今週末以外。」

「じゃあ再来週の週末行くか。」

「他の人は?」

「聞いてる。いつでもいいってよ。」

「ふぅん。なんか必要?個人の色とかイメージとか作っておいた方がいい?」

「行ってから考えりゃあいいだろ。ただ、女1人くらい連れていきてぇな。」

女って…。誰がいるんだよ。
身内に女性が少ないしな。義母様しか思いつかない。

「ドレスって移り変わり激しいもんね。僕何も知らないよ。義母様でも連れてく?」

「あー。そうするか?あの人、流行りには乗ってるしな。」

「説得する方にお金がかかりそうだけど、1回打診はしてみるよ。」

僕が頼んだら断れられそうだし、テオ様に頼んでもらお。





テオ様から頼まれた義母様は舌打ちしながら了承した。この人、もしかしたらデザイン興味あるのかな?それとも普通にファッションに興味があるんだろうか。

まぁ来てくれるならなんでもいい。手間が省けるし。

「何見てんのよ。」

「なんでもありません。」

笑って流したけど、本当に嫌われてるみたい。

「それで週末よね?私のドレスと宝石を買うことが条件よ。」

「母上のお金で買えるでしょう。」

テオ様優し~。でもこのくらいなら出せるよ。

「買ってもらうことに価値があるのが分からないの。」

「シルヴェスターのお金で払うよ。週末お願いしますね。」

面倒なことには関わらない方がいいよね。



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