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8歳
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メイドが僕らの前にカップやお菓子を並べてくのを見てる。ほんと手際がいいな。この子はどこの子だろう。
母様が連れてきたのだろうか。もとから居たのだろうか。
並べられてすぐ紅茶を手に取る。
良い温度と風味だね。
「兄上。どうすれば強くなりますか?」
テオ様は好きな菓子に手をつけずにじっとこちらを見ていた。強く?僕は努力型だからなぁ…。テオ様の参考にならないかも。
「んー。慣れと体力かなぁ。1番成長できるのは実践だとは思うけどね。」
「実践…。」
「でもまずは体力だね。体力は全ての基礎の基礎となるから疎かにはできないよ。」
「兄上はなにかされてますか?俺もしたいです。」
「剣術の前は毎回走り込みしてるよ。終わらないと先生が剣を握らせてくれないの。」
第1皇子と一緒に選んだ剣と魔法の先生たち。どっちも超えることを目標で強いひとを選んだからなぁ。めっちゃスパルタ。
とにかく剣は体力!危険から即座に逃げられることが大事!!ってのが剣の先生。
考えるとテオとは合わなそうだよね。
「強くなりましたか?」
「さぁ?どうだろう。大会にも出てないし実感はないかな。ルディにも圧勝できないし。」
「第1皇子ですか?剣の天才だと聞いたことがあります!」
「そうなの?ふぅん。あのルディがね。」
僕と五分五分くらいしか勝てないのに天才だとテオ様に知られてるなんて…。次の剣の練習の時絶対にボコボコにしてやる。
「えと、兄上も有名ですよ?」
「いい方ならいいんだけどね。大方父様の噂の方が大きいんでしょ。アレでも当主だもんね。」
テオ様も図星だったのか紅茶に口をつけて黙っちゃった。
僕の噂とかどんなんだろう。悪いのかな。それとも父様の噂にかき消されてるのかな。
「シルヴェスターにはどんな噂があるの?」
「えっと…。」
歯切れが悪いなぁ。別に悪く言ったからって怒らないのに。
「女好きの当主が金を食いつぶしてると。派手好きな公爵夫人が毎晩パーティを開いていると聞いていました。」
「間違ってないね。」
「兄上の噂はびっくりするほど聞きませんでした。」
ふぅん。皇宮に行き来しても関わる人なんて片手で足りるほど。社交界は母様がしてくれてた。今、この屋敷に女性がいないから今、社交界にはあまり顔を出してない。
そりゃあ煙も立たないか。
…もしかして僕の存在って庶民に知られてない?
「僕っていないことになってるの?」
「いえ、息子がいるというのは平民でも知っています。髪の黒い黄金の瞳を持つ子供がいるというのは…。ただ、その、金の目ですので下世話な話も広まっていますが。」
あぁ。そういうこと。確かに皇族に嫁いだシルヴェスターもいるからね。そっちの先祖返りだと思われてもおかしくはないのか。
「難儀だねぇ。」
とはいえなにも出来ないんだけど。お金もない。時間もない。
「否定しないんですか?」
「僕の知ることじゃないしね。産んだ人は死んだし。」
「そうですが…。俺ならたかが平民にごちゃごちゃ言われてイラつきます。」
「テオは繊細だね。その感性を大事にね。」
噂の一つ一つ気にしてられない。それよりも父様の女好きが市街にまで広がってるとか…。これ以上子供作られても困るんだけど。それにしても
「父様の去勢したいなぁ。種を作れなくなる薬とか作ってみるかな。」
ぶふっという音が前から聞こえたから意識を戻す。顔と服がびちょびちょになったテオ様。なにしてるの?
壁と一体化していたメイドがすぐさま布を持ってテオ様に駆け寄る。
「テオ、それ熱かった?」
「い、いえ。飲み頃でした。俺の不手際です。」
ふぅん。
テオ様が珍しいな。
それで終わらせようとしたのにメイドから話しかけてきた。
「クラウス様。恐らく、旦那様の去勢という話に恐怖したのではないかと思われます。」
「あぁ。テオにはしないし手荒なことはしないよ。種だけ使い物にならなくするだけ。」
「そのようなことが可能なんですか?」
「まぁね。貴族のいじめで女性に不妊の薬を飲ませたりするでしょ?似たような薬もあるからね。バレないように改良は必要だけど。」
「医療の知識もあるんですね。」
「ないよ。でもほかの知識はある。」
テオ様は意味がわからないのか頭にハテナを浮かべてる。可愛い。
手にお菓子握ってるのも可愛い。もっともっと食べていいんだよ。可愛いなぁ。
「まぁテオもいつか理解できるようになるよ。僕の弟だもん。」
「買い被りすぎです。」
「そのうち分かるよ。テオは天才だって。」
ほんと可愛い。なんであんな父親からこんな可愛い子ができるんだろう。僕と似た顔してるなんて思えないほど愛らしい。可愛い。大好き。
なにがこんなに可愛いんだろう。これが分かればこの世の真理なんてすぐに解決できると思う。
だからこそ。父様を不妊にしたい。
テオ様以外の弟なんていらない。主人公の初恋の子は物語の流れ上仕方ないとしてそれ以外らない。
だから僕は父様にしたい。バレないで可能なのは錬金術での不妊かな。
これ以上子供を作られてもシルヴェスター公爵家じゃ世話しきれない。不幸な子供を作る前にあの人の種をどうにかしないと。さすがに切り飛ばすのは可哀想だしなぁ。
薬しかないよね。
久しぶりに郊外に採集にでも行こうか。
目当ての薬草もちょうど季節だし。
母様が連れてきたのだろうか。もとから居たのだろうか。
並べられてすぐ紅茶を手に取る。
良い温度と風味だね。
「兄上。どうすれば強くなりますか?」
テオ様は好きな菓子に手をつけずにじっとこちらを見ていた。強く?僕は努力型だからなぁ…。テオ様の参考にならないかも。
「んー。慣れと体力かなぁ。1番成長できるのは実践だとは思うけどね。」
「実践…。」
「でもまずは体力だね。体力は全ての基礎の基礎となるから疎かにはできないよ。」
「兄上はなにかされてますか?俺もしたいです。」
「剣術の前は毎回走り込みしてるよ。終わらないと先生が剣を握らせてくれないの。」
第1皇子と一緒に選んだ剣と魔法の先生たち。どっちも超えることを目標で強いひとを選んだからなぁ。めっちゃスパルタ。
とにかく剣は体力!危険から即座に逃げられることが大事!!ってのが剣の先生。
考えるとテオとは合わなそうだよね。
「強くなりましたか?」
「さぁ?どうだろう。大会にも出てないし実感はないかな。ルディにも圧勝できないし。」
「第1皇子ですか?剣の天才だと聞いたことがあります!」
「そうなの?ふぅん。あのルディがね。」
僕と五分五分くらいしか勝てないのに天才だとテオ様に知られてるなんて…。次の剣の練習の時絶対にボコボコにしてやる。
「えと、兄上も有名ですよ?」
「いい方ならいいんだけどね。大方父様の噂の方が大きいんでしょ。アレでも当主だもんね。」
テオ様も図星だったのか紅茶に口をつけて黙っちゃった。
僕の噂とかどんなんだろう。悪いのかな。それとも父様の噂にかき消されてるのかな。
「シルヴェスターにはどんな噂があるの?」
「えっと…。」
歯切れが悪いなぁ。別に悪く言ったからって怒らないのに。
「女好きの当主が金を食いつぶしてると。派手好きな公爵夫人が毎晩パーティを開いていると聞いていました。」
「間違ってないね。」
「兄上の噂はびっくりするほど聞きませんでした。」
ふぅん。皇宮に行き来しても関わる人なんて片手で足りるほど。社交界は母様がしてくれてた。今、この屋敷に女性がいないから今、社交界にはあまり顔を出してない。
そりゃあ煙も立たないか。
…もしかして僕の存在って庶民に知られてない?
「僕っていないことになってるの?」
「いえ、息子がいるというのは平民でも知っています。髪の黒い黄金の瞳を持つ子供がいるというのは…。ただ、その、金の目ですので下世話な話も広まっていますが。」
あぁ。そういうこと。確かに皇族に嫁いだシルヴェスターもいるからね。そっちの先祖返りだと思われてもおかしくはないのか。
「難儀だねぇ。」
とはいえなにも出来ないんだけど。お金もない。時間もない。
「否定しないんですか?」
「僕の知ることじゃないしね。産んだ人は死んだし。」
「そうですが…。俺ならたかが平民にごちゃごちゃ言われてイラつきます。」
「テオは繊細だね。その感性を大事にね。」
噂の一つ一つ気にしてられない。それよりも父様の女好きが市街にまで広がってるとか…。これ以上子供作られても困るんだけど。それにしても
「父様の去勢したいなぁ。種を作れなくなる薬とか作ってみるかな。」
ぶふっという音が前から聞こえたから意識を戻す。顔と服がびちょびちょになったテオ様。なにしてるの?
壁と一体化していたメイドがすぐさま布を持ってテオ様に駆け寄る。
「テオ、それ熱かった?」
「い、いえ。飲み頃でした。俺の不手際です。」
ふぅん。
テオ様が珍しいな。
それで終わらせようとしたのにメイドから話しかけてきた。
「クラウス様。恐らく、旦那様の去勢という話に恐怖したのではないかと思われます。」
「あぁ。テオにはしないし手荒なことはしないよ。種だけ使い物にならなくするだけ。」
「そのようなことが可能なんですか?」
「まぁね。貴族のいじめで女性に不妊の薬を飲ませたりするでしょ?似たような薬もあるからね。バレないように改良は必要だけど。」
「医療の知識もあるんですね。」
「ないよ。でもほかの知識はある。」
テオ様は意味がわからないのか頭にハテナを浮かべてる。可愛い。
手にお菓子握ってるのも可愛い。もっともっと食べていいんだよ。可愛いなぁ。
「まぁテオもいつか理解できるようになるよ。僕の弟だもん。」
「買い被りすぎです。」
「そのうち分かるよ。テオは天才だって。」
ほんと可愛い。なんであんな父親からこんな可愛い子ができるんだろう。僕と似た顔してるなんて思えないほど愛らしい。可愛い。大好き。
なにがこんなに可愛いんだろう。これが分かればこの世の真理なんてすぐに解決できると思う。
だからこそ。父様を不妊にしたい。
テオ様以外の弟なんていらない。主人公の初恋の子は物語の流れ上仕方ないとしてそれ以外らない。
だから僕は父様にしたい。バレないで可能なのは錬金術での不妊かな。
これ以上子供を作られてもシルヴェスター公爵家じゃ世話しきれない。不幸な子供を作る前にあの人の種をどうにかしないと。さすがに切り飛ばすのは可哀想だしなぁ。
薬しかないよね。
久しぶりに郊外に採集にでも行こうか。
目当ての薬草もちょうど季節だし。
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