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8歳
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魔法大会まであと3日。まだ魔法はできてない。
正直めちゃくちゃ忙しい。そんな時に僕にとっての伯父上。侯爵様が僕を訪ねてきた。
まぁそれはいい。空気の読めないやつだなって思ったくらいだ。でも対応したのがテオ様。僕が帰ってきたと勘違いして迎えにでたらしい。伯父上は男爵出身のテオ様のことも義母のこともよく思ってない。
しかも僕が帰ってないから伯父上の相手するのテオ様か義母様なんだよ。終わった。これで切られたら公爵家が終わる。あの人のおかげでごちゃごちゃ言われなくて済んでるのに。
「クラウス様、お帰りなさいませ!」
駆け寄ってくるメイド。貴族が走ってくるなんて無作法なことをいつもはしない。本当はしないようなことをするくらい焦ってるってことだ。
駆け寄ってくるメイドに小声で話しかける。
「伯父上は?」
「応接間の方に。」
よし。よくやった。
どうかどうかテオ様が傷ついていませんように。
メイドがドアを開けてくれるから焦った素振りを見せないように微笑みを作る。
大丈夫。大丈夫。落ち着け~。
「伯父上、先触れをくださればもてなしましたのに。」
「いや、ふと思い出したからね。大会は3日後だろう?」
「えぇ。」
テオ様が横にズレてくれたので隣に座る。テオ様はなんかいい匂いする気がする。
にしても、義母様は来てないのか。不幸中の幸いってやつかも。
「クラウス、進捗はどうだい?」
「ご心配なさらず。とだけ。それでテオとどんなお話をされていたんですか?」
「クラウスは素晴らしい子だと話したね。」
ニコニコと悪意なんて全くなさそうな顔で僕をほめてくれる。そのまま受け取って良いやつなのかな。
それともなにか裏がある?
無難に否定しとくか。
「ありがとうございます。ですが、できることをしてるだけですから。」
「越冬に備えて面白いものを作っと聞いたよ。」
あぁ。それか。まだどこにも言ってないのに。
この家の使用人たちは知ってる。北の領主代理も。どこから漏れたのやら。これだから人間は信用できない。
箝口令を敷いてないから今回は許すけどさ。あんまいい気持ちではない。
「北の領地は母様もどうにかしようとしていた事業ですから力を入れるのは当然ですよ。」
「クラウス、領地に力を入れるのはいいけど魔法大会は大丈夫なんだろうね。家族にもかまけてるとも聞いてるけど。」
「問題ありませんよ。大人は全部こなしているではありませんか。僕にできないはずがありません。伯父上は心配性ですね。」
「かわいい甥なんだ。妹も早くに亡くしてしまったからね。クラウスくらいは気にかけさせてくれ。」
嘘つけ。推薦した自分が不利にならないように釘を刺しに来たんだろう。
テオ様は気まずそうに紅茶に口つけてる。ミルクと砂糖入れなくていいのかな。甘いの好きらしいけど。
僕がチョコレートを作るために作った錬金魔具のおかげで砂糖が簡単に多く作れるようになったから僕の家では豊富にある。しかもこの帝国で原料を多く輸入できるのは僕の領地があってこそだからね。
貴族はこうやって力を示す。
「テオ、なにか入れる?」
「シュガーが欲しいです。」
そう言ったら横に控えてたメイドが静かにテオ様にシュガーのカップを手渡した。こういうところでさりげなく力を見せつけるんだよ。
侯爵。いくら年上とはいえ、僕らの方が偉いんだよ?僕は身内だからって初対面の時に言ったから敬語じゃなくてもいいけどテオ様は違うでしょ。どう見てもこの人テオ様を無視してる。感じ悪い。雰囲気も悪い。
「可愛がっているんだね。」
「はい。僕の弟なので可愛がっていますよ。才能もあるので色んなことをやらせてあげたいんですがあまりわがままを言ってくれないんです。どうすれば甘えてくれると思いますか?」
「私には分からないな。甘えることもなかったし妹も甥も甘えてくれないからね。」
「僕は甘えましたよ。伯父上のおかげでこうして魔法大会に出られる訳ですから。感謝しています。」
にっこりと微笑んで僕はなにも入れてない紅茶に口をつける。
早く帰ってくんないかなぁ。僕はテオ様と話したいんだけど。
正直めちゃくちゃ忙しい。そんな時に僕にとっての伯父上。侯爵様が僕を訪ねてきた。
まぁそれはいい。空気の読めないやつだなって思ったくらいだ。でも対応したのがテオ様。僕が帰ってきたと勘違いして迎えにでたらしい。伯父上は男爵出身のテオ様のことも義母のこともよく思ってない。
しかも僕が帰ってないから伯父上の相手するのテオ様か義母様なんだよ。終わった。これで切られたら公爵家が終わる。あの人のおかげでごちゃごちゃ言われなくて済んでるのに。
「クラウス様、お帰りなさいませ!」
駆け寄ってくるメイド。貴族が走ってくるなんて無作法なことをいつもはしない。本当はしないようなことをするくらい焦ってるってことだ。
駆け寄ってくるメイドに小声で話しかける。
「伯父上は?」
「応接間の方に。」
よし。よくやった。
どうかどうかテオ様が傷ついていませんように。
メイドがドアを開けてくれるから焦った素振りを見せないように微笑みを作る。
大丈夫。大丈夫。落ち着け~。
「伯父上、先触れをくださればもてなしましたのに。」
「いや、ふと思い出したからね。大会は3日後だろう?」
「えぇ。」
テオ様が横にズレてくれたので隣に座る。テオ様はなんかいい匂いする気がする。
にしても、義母様は来てないのか。不幸中の幸いってやつかも。
「クラウス、進捗はどうだい?」
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無難に否定しとくか。
「ありがとうございます。ですが、できることをしてるだけですから。」
「越冬に備えて面白いものを作っと聞いたよ。」
あぁ。それか。まだどこにも言ってないのに。
この家の使用人たちは知ってる。北の領主代理も。どこから漏れたのやら。これだから人間は信用できない。
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嘘つけ。推薦した自分が不利にならないように釘を刺しに来たんだろう。
テオ様は気まずそうに紅茶に口つけてる。ミルクと砂糖入れなくていいのかな。甘いの好きらしいけど。
僕がチョコレートを作るために作った錬金魔具のおかげで砂糖が簡単に多く作れるようになったから僕の家では豊富にある。しかもこの帝国で原料を多く輸入できるのは僕の領地があってこそだからね。
貴族はこうやって力を示す。
「テオ、なにか入れる?」
「シュガーが欲しいです。」
そう言ったら横に控えてたメイドが静かにテオ様にシュガーのカップを手渡した。こういうところでさりげなく力を見せつけるんだよ。
侯爵。いくら年上とはいえ、僕らの方が偉いんだよ?僕は身内だからって初対面の時に言ったから敬語じゃなくてもいいけどテオ様は違うでしょ。どう見てもこの人テオ様を無視してる。感じ悪い。雰囲気も悪い。
「可愛がっているんだね。」
「はい。僕の弟なので可愛がっていますよ。才能もあるので色んなことをやらせてあげたいんですがあまりわがままを言ってくれないんです。どうすれば甘えてくれると思いますか?」
「私には分からないな。甘えることもなかったし妹も甥も甘えてくれないからね。」
「僕は甘えましたよ。伯父上のおかげでこうして魔法大会に出られる訳ですから。感謝しています。」
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早く帰ってくんないかなぁ。僕はテオ様と話したいんだけど。
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