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8歳
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しおりを挟む「流石はシルヴェスター公子だ。素晴らしいものを見せてもらった。」
場を取り繕うように陛下がルディの前に出る。今の状態じゃルディの方が偉いみたいだもんね。
「有り難きお言葉です。」
「少々やりすぎだがな。」
いいじゃない。ルディの有用性も見せつけられたし。僕の強さも見せつけられた。これで表立って反抗する人は減るよ。
「では今宵のパーティも楽しみにしていてくれ。ルディ、あとは任せて良いか?」
「はい、おまかせを。」
「クラウス、第1皇子を頼んだ。」
「承知致しました。」
これでこの場は収まる。僕の処罰もないと明言された。
多分ルディも提げた頭で同じ顔をしているんだろう。
上手くいった、と。
皇帝陛下に続いて皇后陛下、第2皇子殿下も退出される。
顔をあげれ場合変わらず傲慢そうに口角を上げたルディと目が合った。
ルディもいつもと違って少しだけ取り繕ってあれやこれやと長々挨拶してる。シレッと僕は席に、相手は救護係に連れていかれた。ルディのおかげでテオ様から貰った紐は戻ったから僕満足。もう怒ってない。
「以上だ。今夜のパーティを楽しんでくれ。シルヴェスター公子、貴様は話がある。ついてこい。」
「仰せの通りに。」
ルディに言われたから大人しく着いていく。まぁ聞こえないと判断した貴族は早々に帰り始めてる。テオ様も早く帰ってパーティの準備をして欲しいから観席に近づいて帰っときなと促した。
「遅せぇよ。」
「ごめんって。」
適当に防音魔法を張って話し始める。こういうとこ信頼されてるなぁって思う。
「それでなに?」
「1回殺したんだ。さっきのヤツに手を出すなよ。」
あぁ。ヤッパリ気づいてたんだ。僕がキレたこと。外の人らにはバレてないと思ったんだけどなぁ。
「いいよ。全部ルディが治してくれたしそれでいいよ。」
「父上は気づいていなかった。あまり下手打つなよ。ヒヤヒヤしたわ。」
「本当はもっと上手くやるつもりだったんだよ。結界だって壊すつもりはなかったんだ。」
「わーってるよ。」
うるせぇなぁと言いながらソファの腕掛けに腰掛けた。口悪いし態度も悪い。これがこの国の3番目に偉い人なのか…。
「でもまだダメだ。俺たちに足場はねぇんだ。今立ってるのだってただの泥船。」
頭は悪くないんだよね。臣下としては操りやすくていい駒なんだよね。
頭が悪くないから変なことしないし。無駄に良すぎないから思考を読みやすいし、僕の手の内に裏があるってわかってても手出ししてこない。
その点、第2皇子は頭が良くて善性が強くて操りにくいし面倒臭いんだよね。
「このまま行けば沈んじゃうね。」
僕がいる限り沈ませないけど。
「だからこうやって新しい船を買おうとしてんだろ。」
「反応はどうだった?」
「上々。母上はずっと俺を睨んでた。」
なら上々かな。
このままヒスって落ちぶれて欲しいところ。でもまぁ仮にも皇后。そんなことはありえないだろうね。
「なら今夜のパーティが山場かな。僕らの仲の良さを見せつけないと。」
「いいのか?お前お母上の気に入りだろ?」
「構わないよ。この日のために義母を着飾らせるんだから。マナーも身につけさせたよ。とは言っても、付け焼き刃だから僕がフォローするつもり。」
「ま、頑張れよ。」
興味無さそうにしながらも大変そうだなという顔を向けられた。全くだよ。あの人いくら教えても次の日には忘れてる。
テオ様の理解力は一体どこからの遺伝なのやら。
「もう少しマシな義母が良かったよ。あれじゃあ魔力が多いだけの幼子だ。」
テオ様の義母じゃなきゃどっかの誘拐してきた女と入れ替えてる。でもテオ様を産んだっていう恩と貢献がそれをさせてくれない。
むしろどうしようも無くなるまではそれなりのワガママは聞いてあげたいって気持ちが強い。
「俺たちに害がないようにはしとけよ。」
「わかってる。」
ルディも煩いなぁ。
「じゃあパーティでな。へますんなよ。」
「わかってるって。」
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