推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん

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8歳

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夕食の後ハーノルトと一緒に風呂について話し合った。
簡単に錬金術でできるかどうか。やるならどうするかとか。何故かついてきたアルフレートは静かに紅茶を入れたり。ハーノルトのためにご飯を運んだり。なんかゴソゴソ目の端に写ってウザったい。


「今僕が達成したい目標があってね。1つが魔力の固定化。2つ目が素質のない魔法でも使えるようになること。っていうのがある。このテオと義母様が言ってるお風呂は魔法の固定化にとっても使える材料なんだ。できれば有効活用したいんだよ。ハーノルト、分かるでしょ?この僕の気持ち。」

「とてつもなく分かります。」

だよね。魔法師も錬金術師もどちらも研究者。
僕も前世から熱中して研究や勉強をし続けたいタイプ。じゃないと永遠に同じゲームやりこまないし、やらなくていい勉強もしない。まぁそれしかできなかったって言うのもあるけど。

同類がいたら話が弾んで仕方ない。今は立派に錬金術オタクしてるから相手がいるの楽しい。

「そうだよね!ひとつの小さな空き部屋にさ空間魔法を固定化させる。それで中にいくつものお風呂を作るの。水も魔法で作りたい。」

でも困ったことにこのどれも方法がない。作るしかないんだけどテオ様のこと思うと早く作ってあげたい。1から人が作るのと魔法を位置から作るのじゃかかる時間は一緒なんだよね。

「クラウス様、どこかの国で熱湯が湧き出たところがあるらしいです。使えませんか?」

黙りきった僕のハーノルトにアルフレートがそう助言をくれる。でもそれ使えないんだよね。温泉って掘れば出る場所には水脈がある。この国に地震も火山もないからないと思うんだよ。あっても見つけるのが大変そう。

「この国にはないかもね。あったとしても土と水魔法のスペシャリストが必要になる。のちのちってところか。」

「ではまずは空間魔法と水魔法の固定化ですか。あと火魔法も必要になりますね。」

火はテオ様がいるから大丈夫。風も僕がいる。
問題は一番欲しい水魔法の使い手と湯船を作るための土魔法の使い手だ。

「そうだね。魔力を注ぎ続けなくてもその場で固定される方法…錬金魔具か魔法具しかないけど思いつく?」

「魔法具で水が出てくるものがありますよね。それを改造してみては?」

蛇口から出るだけだし。魔法石は高いんだよね。できれば使いたくない手だ。僕はもっとおっきい露天風呂とか檜風呂とか作ってみたい。

「あー。あれ。あれも無限ってわけじゃないけど…やる価値はあるかな。」

試作段階ではありか…。嫌だなぁ。ちょぼちょぼお湯が溜まっても溜まり切る頃には冷えてそう。

「そこに火魔法付与とかですか?」

ガチャりと音が鳴ったからテオ様が来たかな。それよりもテオ様に捧げる湯船作りたいから資料から目は離してない。
テオ様もアルから紅茶を貰って僕の隣に来た。え?思考が全部吹っ飛びそう。可愛い。迷いもなく僕の隣に来るとかめっちゃ信用してくれてるってことじゃん。
嬉しい。幸せ。

でも思考を本当に飛ばす訳にはいかないよね。テオ様にいいところ見せなきゃいけないんだから。

「まぁそれが難しいんだけどね。湯船自体に暖かくする魔法使うのはどう?」

「水もその湯船で暖かくするんですよね。火傷しませんか?」

「そうだよねー。」

テオ様可愛いから全肯定してこ。
そうだよね。火傷しちゃうかもしれないものね。
五右衛門風呂って入ったことある?
前世の血迷った両親が1回血行が良くなるからって入れられたことあるんだよね。ほんとうにあっついよ。釜自体が熱いんだもん。縁に捕まれないし頭はクラクラするしで死を覚悟した。
もちろんその後は病院送りだよ。僕がね。

「水だけ暖かくするとかどうですか?」

「どう判断するの?人体ってほとんど水だよ。」

「そうなんですか?」

「……ぜんせに読んだ本に書いてあった…気がする。」

あまりそこに興味が無いのか流されたけど。良かったぁ。

「液体ってことにしては?」

怖いこと言うな。そんなこと完成させたらただの兵器じゃん。外に出せないな。

「…これ応用したら兵器になるね。人体蒸発器とか。」

「最悪ですし、ネーミングセンスもないです。」

「アル、うるさい。でも湯船から温めるのはありだよね。湯船の下を通して湯を温めて湯船に送り出すのは?」

「その間に浄水機能を付けるのもありですね。」

いいじゃん。

「浄水でスライム使えませんか?」

確かに街の浄水はスライムがしてるけどそれを対処するの大変だからね。あまり興味のない魔物に時間を割きたくないし。
だから魔物じゃなくて魔法でどうにかしたい。


「危険だよ。大きくなりすぎた時に対処したくない。面倒だから魔法使いたいね。」

「空間魔法自体で湯船を作るってできますか?」

それじゃん。なんで思いつかなかったんだろ。確かにそうすれば土魔法の使い手はいらないもんね。


「テオ最高。それ採用ね。僕が努力すればいいだけだし。やってみる価値あるよ。」

「なんでもその努力で補おうとする癖やめた方がいいですよ。努力でできないこともありますから。」

アル、うるさい。知ってるよそんなこと。
生まれつきの貧弱とか努力じゃどうにもならない筆頭だよね。点滴って言う栄養の塊を使っても外を走れなかったもん。

「ルディが未来予知できるようになったんだよ?僕が遅れをとるなんて母様に怒られる。」

「1度挫折しておいた方が良いのでは?」

「してるよ。でもね、今は健康なんだ。できる限りの努力で大抵の事は補えるよ。」

才能の問題もあるかもだけど大抵なことは努力で何とかなる。死にかけるまで努力すれば何とかなると思う。
ブラック企業の考え方だって自信はあるから人には押しつけないけど。

「とにかく僕が練習するよ。魔法の固定化は僕も考えるけどハーノルトもよろしくね。」

「こんな楽しそうなことやらないわけがないです。」

だよね~。めっちゃ分かる。正直趣味友になれそう。
本当にこの子を北に送りたくないなぁ。







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