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12歳《中等部》
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しおりを挟むもう泣きそう…。
テオ様の部屋に行ったらもうテオ様いないし…。それどころか先に玄関に行って僕を待ってくれてた。僕がテオ様の装飾品選びたかったのになぁ。
「ごめんね。テオ、その髪型にあってるよ。」
今日はルディに忠誠を違うから剣を持ってる。これを使って騎士の誓いを立てるんだ。僕は騎士じゃないけども。
テオ様は相変わらず赤い装飾品ばかり。まぁテオ様の目の色だから仕方ないけどさぁ。金色も入れて欲しいな。
「兄上はまたその指輪を付けていくんですか?」
「まぁね。母様の形見だし。テオもなにか作ろうか?」
形見には違いないけどテオ様と同じ目の色してるし、最高級品のルビーだよ。カットの仕方も完璧だし。なによりこれがないと精密な魔力操作はできないからね。
クラウスの錬金術の才能にはほんと尊敬するよ。
テオ様には「大丈夫です。剣を扱う時に壊しそうなので。」と断られた。まぁたしかに。僕はあまり剣を使わないからわかんないけど…。保護魔法と修復魔法かけたら別に問題ないのにね。
テオ様可愛いから見てたら上の階から声を掛けかれた。仮にもまだ公爵様。無視なんてしないよ。
「アレはどこだ?」
「まだ支度中です。父様。」
義母様に腕を貸しながら父様と義母様が階段から降りてきた。
こう見てたら本当にお似合いの夫婦だよね。
美男美女。12歳の子供がいるとは思えないくらい綺麗な人達。
「義母様、お似合いですよ。」
テオ様が女だったら義母さまみたいな顔なんだろうな。それなら綺麗だと思える。
転げ落ちないように義母様を支えながらゆっくりと二人が降りてきたところでネヴィルがきた。肩で息してるけど急いできたのかな。
「クラウス様。お待たせ致しました。」
「待ってないよ。メラニーありがとね。」
思ったより遅かったけど別にいいよ。
どうせ僕らが会場に入れるの最後だし。
今日も2つに別れての馬車かなって思ってたけど父様が大きめの馬車を用意してくれてたらしい。
とは言っても、この数年父様が乗り回してた馬車。点検と修理が終わったんだって。
貴族にしては質が悪いし良くはない。…ギリ許容範囲外くらい。むしろ、普通に嫌なんだけどなんか父様なんかドヤッてるし…。
仕方ないか。顔を立てるのも大事だろう。
…まだお金ないとか思われるのかなぁ。やだなぁ。
貴族って見栄だけの人種じゃん。…はぁ。
また舐められる。
父様は気が利かないから僕がネヴィルに手を差し出して馬車に乗ってもらう。1番小さいからネヴィルは真ん中ね。
本当は僕がテオ様の隣がいいんだけど…。さすがに小さくなる魔法なんて知らないからこればかりは仕方ない。
最後に僕が乗り込んで馬車の扉が閉じられた。
ガタゴトとおしりが痛い。僕は慣れたものだけど…西とか遠い所まで行くなら改良したいな。戦う前におしりが壊れる。
相変わらずこの5人が揃ったら空気が重い。義母様、僕、テオ様の3人も大概だけどまだ会話する。義母様が感情を露わにするから楽だし。
でもこの5人なら誰も話さないし義母様に限っては怒りも笑いもしない。逆に怖いよ。
「ネヴィル、あのね。僕は今日用事があるから父様から離れないこと。父様、良いでしょうか?」
「構わん。どうしてもいられない時はテオに預けよう。」
「テオは大丈夫?」
「はい。兄上。」
はぁ。父様がいれば何とかしてくれるでしょ。逆にテオ様は真面目でかっこいいから父様や僕みたいに口八丁手八丁ってわけにもいかないんだよね。
それは義母様も同じだけど義母様の場合手が先に出るもんだから困るんだよ。
降りる時も父様が義母様に。僕がネヴィルに手を貸す。
少し前ならテオ様にも手を貸してたんだけどね…。ネヴィルが来る少し前にもうやめて欲しいって言われちゃったから止めたんだよね。
《シルヴェスター公爵一家ご入場です》
はぁ。いつもと同じ。煌びやかな会場と大勢の舐めるような視線。慣れてるとはいえ、うざいなぁ。
ネヴィルが下を向きそうになるのを手を強く握ることで抑えて父様と義母様に続く。
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