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12歳《中等部》
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しおりを挟むまずは最上級魔法から。
上級魔法をこの訓練場いっぱいに発現できるなら合格かな。神級魔法と呼べるものを使える人は少ない。実践なら魔力は使うわ、詠唱ありきだわで不便だし。
ただ貴族としての見栄だけで練習する人は結構いるせいで使えるって言い張ってる人は多い。ド下手くそで初級魔法より弱い威力でも放てたらそれは使えることになるしね。
ただ本当の意味で使えるなら強い。そうなると才能も魔力も必要になるからね。
この子はどうかな。
▽
▽
▽
《プロテクション》
さっきも張り直したけど追加で周りに防御魔法を展開する。今度は魔法名まで唱えて衝撃に備えた。
はぁ。すごいな。
火魔法だしテオ様もこれくらいできるようになるかもしれない。というか、そういう対抗意識を持ってくれたら応援しちゃう。テオ様が使うの影魔法ばっかだもん。
「すごいね。だけど火魔法か。ネヴィルは水だからね…どうしようか。」
「魔法の呼び出し方は似てるので問題ないのでは?」
「ほんの少しの相違がいつか大きな壁になる。そういう基本から教えてあげたいんだよね。」
僕も風魔法だけはその感覚があまり掴めてなくてあやふやだもん。ネヴィルが持ってるのは水魔法だけ。だからそこだけはちゃんと教えてあげたい。
「ネヴィルは初級魔法なら少しだけ使えますよ。」
「…そうなの?」
こくりと小さく頷いたネヴィル。先に言ってくれないかなぁ?
「それなら大丈夫かな。」
次の得意魔法も問題無し。
というか得意魔法で初級魔法を出したところも、詠唱付きで唱えたところも気に入った。
初級魔法の使い勝手の良さも、極めたときに威力が高くなることも知ってるってことだ。
本当に実戦向きだな。気に入った。合格。
「テオ、僕は合格だと思ったけどどう?」
「兄上が良いと思うならいいと思います。」
そう。なら合格だね。
ほんとうに無理だと思えばテオ様から言ってくれるはずだし。
刻魔法で訓練場を元に戻して結界魔法を張り直す。
「じゃあ次は剣術かな。どうぞ。」
テオは体を温めなくていいのかな。
「テオ、僕が手合わせしようか?」
「…っ!はい!」
なんか喜んでるけど…早めに言ってくれたらしたのに。待たせることになるかもな。
「待たせることになるから五分だけね。」
「はい兄上。」
あいも変わらない威力の斬撃。むしろ威力上がってない?あの大会から2週間ちょっとなんだけど?
テオ様のポテンシャルどうなってんの。
それとも先生がいいのかな。命がかかれば人間強くなるとはよく言うけど…。僕もあの大会で死んだのに全然強くなってない。強くなったのはテオ様だけだ。
剣の打ち合いも5分経ったね。テオ様が集中して気づいてないみたいだから足引っ掛けて転ばした。
尻もちをついたテオ様が不思議そうに見上げてくる。どうやって転がされたかも分かってないな、コレは…。集中しすぎだよ。実践なら足も頭も体や魔法。なんでもありなんだからね。
「5分経過。剣術のテスト始めるよ。」
テオ様と相手の剣士。相性がすこぶる悪い。これなら手合わせの意味がなくなる。
テオ様は対人向けの剣術。相手の剣士は対魔獣型の剣術。どう見てもテオ様に軍配が上がるし比べられない。
ネヴィルに教える基本派対人になる。貴族が騎士が基本的に相手するのは人だからこればかりは仕方ない。
「なぁ、これ不合格?」
ネヴィルがクイクイと僕のジャケットを引っ張る。邪魔だからやめて欲しい。
「基本が違うからね…。なんとも言えない。」
むしろ今回の魔獣退治で付いてきて欲しいの向こうなんだけど。テオ様じゃ魔獣慣れしてないよね。ここに来て弱点見つけるとか…いや。今見つけられて良かったと思うべきか。
「判断の基準にならないな。」
スチャッとかっこよく相手の首元に剣を突きつけるテオ様。
うーん。どうしよう。
「テオ!どう?」
めっちゃ難しい顔向けてきた。
いつもなら手を差し出すのに剣を戻して振り返りもせずに僕らの方に歩いてくる。
「そもそもの型が違います。貴族として習うなら不合格だと判断しました。…ただ騎士でも魔獣を相手取ることはあります。その時なら使える剣術ではあります。」
「僕も同じ判断だよ。」
必死に振った剣があれなら対人は苦手なんだろう。困ったなぁ。
「ねぇ、盗賊狩りとかはしないの?魔獣に使う剣術教えられても困るんだけど。」
「盗賊狩りは報酬も悪いのであまりしませんね。大商団ともなればお抱えの冒険者や騎士もいますし…。」
それもそうか。
そもそも盗賊がいる道は避けるもんね。どっちにしろ対魔獣になるのか。
でもネヴィルの孤児院の兄達だ。できれば付けてあげたい。
「うーん。どうしようかなぁ。」
「やらせてみてはどうですか?対人なんかは普通に手合わせしていれば身につくと思います。それよりも実戦向きの方が何かあった時に身を守れますから。」
「そう?テオが言うなら試してみようか…。じゃあ君たち合格ね。お金の話と…ラージャ!!出てきなさい!」
あとネヴィルが死んだらゲームが始まっちゃうから見張りと護衛を兼ねてラージャを付けたい。
そのために今のうちに紹介しとこ。
「ラージャ、ネヴィルに体術教えてあげて。」
「かしこまりました。クラウス様。」
「いい子。あとは前伝えたとおりね。」
命に変えてもネヴィルを守ってねってやつ。
それとネヴィルを逃がすなって新しい任務も追加した。
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