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16歳《高等部 1年》
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「ネヴィル。式の時間なのに何してるの?みんな探してたよ。」
草むらに寝っ転がってる弟。びっくりしたけど魔力も正常だったし意識的にしてるんだろう。サボりなんてしたらテオ様がうるさいだろうに。今だって僕が探しに行くって言った時はめちゃくちゃ怒ってた。
ゆっくり目を開けたネヴィルは本当に愛らしい。シルヴェスターでは見られない吸い込まれるような青い瞳に柔らかそうな髪の毛。
「そもそも式なんて面倒なこと必要な奴らだけがすればいいじゃん。俺行く意味ねぇ。」
口さえ開かなければ可愛いのに。
「それは同感だけどね。貴族として理由なく出席しないことは恥なんだよ。お前の頭ならわかってるでしょ。」
「はぁーあ。はぁ。」
2回もため息ついてまぁ。
テオ様は規律とかマナーとか騎士らしい堅物だけどネヴィルはスラムにある孤児院育ちだから価値観が緩いんだよね。下手したらスリとかしてたんじゃないのかな。手先器用だし。生きるためなら悪くないって思ってそうだし。
「テオが怒ってたよ。帰ったら覚悟しておきなね。」
「あんたは怒らねぇの?」
「もう諦めたよ。これで本気で隠れてたりしたら従者のラージャに罰を与えてたところだけどね。」
そうでもしないとテオ様の怒りが静まらなさそう。ラージャもラージャで最近生傷が増えてるし。テオ様の訓練に付き合ってたらそうなるよね。
ラージャはネヴィルに賭けてるらしい。ネヴィルがそれに気づいてるのか知らないけれど。
「戻るよ。今日は僕も壇上に上がるからフラフラしてられないの。」
「アンタはいつも上がってるから興味もなくなるわ。」
「今回は特別だよ。」
今回は高等部の生徒会が決まる日。ちょっと前世の知識使ったから絶対に第2皇子が食ってかかってきそう。
「高等部の生徒会の一員として上がるからね。」
「中等部でもしてたじゃん。」
「別格だよ。中等部の生徒会は高等部の使いっ走りみたいなものだからね。中等部も含めて権限は高等部の生徒会にある。それに高等部の生徒会に入れば将来を約束されたも同然。みんな宮廷で働くことができるんだから。」
本来なら高等部2年半から雑用任されて、高等部3年の時に任命される。
でも今回はルディがいるから1年次から…僕らの歳から任命する。ほとんど決まってるようなものだけど一応テストする。公平なやつね。権力とお金でどうにかなるような学園じゃない。
出席日数とかはどうにかなるよ。ちゃんと点数とってること前提で、ちゃんとした理由と権力があればね。権力は貴族社会では信用。信用さえあればどうにかなるもんだよ。
「アンタは興味ねぇだろ。公爵家で十分そうだし。」
「…よく人を見てるね、ネヴィル。だけど意味はあるんだよ。ルディが王になるための第1歩だ。僕が隣に立たないとテオにもネヴィルにも迷惑をかけることになる。だから、今日は戻るよ。」
「本当に俺のため?」
訝しげに見上げてくる可愛らしい弟。
本来のシルヴェスターってこんなものだと思う。テオ様のあの真面目さはどこから来たんだろ。それが可愛いんだけどね。
「可愛い弟たちのためさ。」
「どうせテオだけだろ。」
「…兄様、ね。どこでボロが出るか分からないんだ。呼び方くらいはちゃんとして。いい、お前は僕らに可愛がられてる愛らしくて心優しい弟なんだよ。」
「わかってるよ。」
ゆっくりと起き上がってきたから僕も手を差し出す。
「転移するから手を握って。」
▽
▽
「兄上!!ネヴィル!」
「心配かけてごめんね。ネヴィルが少し足首を痛めたみたい。魔法で治しておいたからこのまま式に出席してもらうよ。」
ルディがチラッとだけネヴィルを見てすぐに目をそらす。冷たいなぁ。まぁ勝負はこれから第2皇子とだし。
「式の予定を押してる。さっさとやるぞ。」
ルディはピリピリしてるなぁ。
そんな気を張ってたら勝てるものも勝てなくなりそう。
「ルディ、ピリピリしないの。」
「てめぇの弟がヘマしたせいだろ。」
「それ言うならルディの弟も黙らせなよ。」
めっちゃ睨まれたけどその通りだし。
まぁ第2皇子は頭いいから無理だと思うけど。ネヴィルにもできれば仲良くなれって言ってあるけどなれるかなぁ。
ネヴィルも馬鹿じゃないし引き際は見極めてるでしょ。殺されないように防御の魔法と錬金呪具を幾つも持たせてあるから大丈夫だと思いたい。
「行くぞ。クラウス、テオ。」
横暴だなぁ。
僕の王様は。
草むらに寝っ転がってる弟。びっくりしたけど魔力も正常だったし意識的にしてるんだろう。サボりなんてしたらテオ様がうるさいだろうに。今だって僕が探しに行くって言った時はめちゃくちゃ怒ってた。
ゆっくり目を開けたネヴィルは本当に愛らしい。シルヴェスターでは見られない吸い込まれるような青い瞳に柔らかそうな髪の毛。
「そもそも式なんて面倒なこと必要な奴らだけがすればいいじゃん。俺行く意味ねぇ。」
口さえ開かなければ可愛いのに。
「それは同感だけどね。貴族として理由なく出席しないことは恥なんだよ。お前の頭ならわかってるでしょ。」
「はぁーあ。はぁ。」
2回もため息ついてまぁ。
テオ様は規律とかマナーとか騎士らしい堅物だけどネヴィルはスラムにある孤児院育ちだから価値観が緩いんだよね。下手したらスリとかしてたんじゃないのかな。手先器用だし。生きるためなら悪くないって思ってそうだし。
「テオが怒ってたよ。帰ったら覚悟しておきなね。」
「あんたは怒らねぇの?」
「もう諦めたよ。これで本気で隠れてたりしたら従者のラージャに罰を与えてたところだけどね。」
そうでもしないとテオ様の怒りが静まらなさそう。ラージャもラージャで最近生傷が増えてるし。テオ様の訓練に付き合ってたらそうなるよね。
ラージャはネヴィルに賭けてるらしい。ネヴィルがそれに気づいてるのか知らないけれど。
「戻るよ。今日は僕も壇上に上がるからフラフラしてられないの。」
「アンタはいつも上がってるから興味もなくなるわ。」
「今回は特別だよ。」
今回は高等部の生徒会が決まる日。ちょっと前世の知識使ったから絶対に第2皇子が食ってかかってきそう。
「高等部の生徒会の一員として上がるからね。」
「中等部でもしてたじゃん。」
「別格だよ。中等部の生徒会は高等部の使いっ走りみたいなものだからね。中等部も含めて権限は高等部の生徒会にある。それに高等部の生徒会に入れば将来を約束されたも同然。みんな宮廷で働くことができるんだから。」
本来なら高等部2年半から雑用任されて、高等部3年の時に任命される。
でも今回はルディがいるから1年次から…僕らの歳から任命する。ほとんど決まってるようなものだけど一応テストする。公平なやつね。権力とお金でどうにかなるような学園じゃない。
出席日数とかはどうにかなるよ。ちゃんと点数とってること前提で、ちゃんとした理由と権力があればね。権力は貴族社会では信用。信用さえあればどうにかなるもんだよ。
「アンタは興味ねぇだろ。公爵家で十分そうだし。」
「…よく人を見てるね、ネヴィル。だけど意味はあるんだよ。ルディが王になるための第1歩だ。僕が隣に立たないとテオにもネヴィルにも迷惑をかけることになる。だから、今日は戻るよ。」
「本当に俺のため?」
訝しげに見上げてくる可愛らしい弟。
本来のシルヴェスターってこんなものだと思う。テオ様のあの真面目さはどこから来たんだろ。それが可愛いんだけどね。
「可愛い弟たちのためさ。」
「どうせテオだけだろ。」
「…兄様、ね。どこでボロが出るか分からないんだ。呼び方くらいはちゃんとして。いい、お前は僕らに可愛がられてる愛らしくて心優しい弟なんだよ。」
「わかってるよ。」
ゆっくりと起き上がってきたから僕も手を差し出す。
「転移するから手を握って。」
▽
▽
「兄上!!ネヴィル!」
「心配かけてごめんね。ネヴィルが少し足首を痛めたみたい。魔法で治しておいたからこのまま式に出席してもらうよ。」
ルディがチラッとだけネヴィルを見てすぐに目をそらす。冷たいなぁ。まぁ勝負はこれから第2皇子とだし。
「式の予定を押してる。さっさとやるぞ。」
ルディはピリピリしてるなぁ。
そんな気を張ってたら勝てるものも勝てなくなりそう。
「ルディ、ピリピリしないの。」
「てめぇの弟がヘマしたせいだろ。」
「それ言うならルディの弟も黙らせなよ。」
めっちゃ睨まれたけどその通りだし。
まぁ第2皇子は頭いいから無理だと思うけど。ネヴィルにもできれば仲良くなれって言ってあるけどなれるかなぁ。
ネヴィルも馬鹿じゃないし引き際は見極めてるでしょ。殺されないように防御の魔法と錬金呪具を幾つも持たせてあるから大丈夫だと思いたい。
「行くぞ。クラウス、テオ。」
横暴だなぁ。
僕の王様は。
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