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王子様のモヤモヤ編
海デートの後のお話
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先輩とのお付き合いは順調だ、と思う。先輩は優しいし、私の気持ちを最優先にしてくれる。そんな先輩に、私も私にできることなら何でもしたいと思う。先輩はモテるだろうにとても誠実だ。私は先輩を信頼している。
「うわあ、人多いですね」
「ちょうどシーズンだからね」
先輩とデートでやって来たのは海だ。夏真っ盛り。しかも土曜日なので人が多い。持ってきたシートを敷く場所を探すだけで時間がかかりそうだ。
「先に着替えようか」
「そうですね」
今日のために水着を新調した。あまり体に自信がないから肌の露出は多くないものだ。
更衣室から出ると、先輩はまだいなかった。着替えているのか、それとも何か買い出しに行ってくれたのか。人が多いからすぐにはぐれそう。ここにいた方がいいよね。そう思って更衣室の近くに立っていると。
「うわっ」
「キャッ、冷た……っ!」
近くを歩いていた男の人が何かに躓いたらしく体勢を崩して、その人が持っていたかき氷がビシャッと私のお腹にかかった。
「すみません……!」
「あ、いえ、平気です」
「何か拭くもの……」
「持ってるので大丈夫です。気にしないでください」
「……奈々美ちゃん?」
「え?」
名前を呼ばれてようやくその人の顔を見る。その人の顔にはどこか見覚えがあった。記憶を辿って思い当たる。
「佐野くん……?」
「覚えててくれたんだ!」
それは、高校生の時に少しだけ付き合っていた元カレだった。
「奈々美ちゃん綺麗になったね」
「えっ、そんなことないよ。佐野くんは大人になった」
「そうかな?ね、1人で来たの?向こうに俺の友達いるから一緒に遊ばない?」
「あ、1人じゃな……」
「奈々美ちゃん?」
後ろから呼ばれた名前に振り返る。そこにいたのは大勢の女性の視線を浴びた先輩だった。激しく目立っている。手には焼きそばと飲み物。やはり買い出しに行ってくれていたようだ。
「おかえりなさい。あ、彼と一緒なの。誘ってくれてありがとう。じゃあね」
佐野くんにお断りして先輩のところに行った。
「ありがとうございます」
「あ、うん、お腹空いてるかと思って……」
「ペコペコです」
そう言って笑うと、先輩の鼻から一筋赤いものが。
「っ!先輩、鼻血!」
「ごめん、奈々美ちゃんがあまりにも可愛くて……」
思わず笑ってしまう。そんなこんなで、海デートは楽しく過ごした。事件が起きたのはその日の夜だった。
「奈々美ちゃん、好きだよ」
ベッドの上で先輩のキスを受け入れる。ドキドキして幸せな時間。深くなっていくキスに先輩の服を掴んだら、その手を掴まれ頭上で押さえつけられた。
「先輩……?」
何だかいつもと様子が違う。少し怖くなって先輩を見ると、何故か目が冷たい気がした。
「今日話してたの、知り合い?」
そう言われて記憶を辿る。海デートが楽しくてすっかり忘れていたけれど、そういえば佐野くんに会った。
「はい、高校の同級生です」
「そう。元カレ?」
「……はい。あ、でも3年生の時に半年くらい付き合ってただけで……」
「……」
「先輩?」
先輩はニコッと微笑んでポケットから取り出したネクタイで私の両手を縛った。私服なのに何故ネクタイを持っているのか気になったけれど、それよりも先輩がいつもと違うのが怖かった。
「先輩、あの……」
「大丈夫、気持ち良くなるだけだから」
Tシャツは捲られ鎖骨のところでまとめられる。ブラジャーもホックだけ取られて。下半身はあっという間に裸にさせられた。
「ちょっと日焼けしたね」
そう言って先輩は体にキスを落としていく。たまに舌を這わされると敏感になっていやらしい声が出た。気持ちいいところは触ってくれなくて、焦らされる。腰が無意識に揺れてしまうと、先輩は分かっているだろうに脚ばかり舐めた。
「奈々美ちゃん、まだ触ってないのにここぷっくり勃ってるね」
胸の頂にふっと息を吹きかけられる。ぴくん、と揺れた体に先輩は少し笑った。
「彼は奈々美ちゃんがこんなにエッチだって知ってる?」
彼と言われてすぐに出てこない。戸惑っていると先輩は下半身のほうに移動して脚を大きく開いた。
「っ、やっ、」
「濡れてる」
先輩の長い指が膣に触れる。ちゅく、といやらしい音がした。恥ずかしくて体が火照る。
「やっ、恥ずかし、先輩……っ」
「大丈夫。奈々美ちゃん、綺麗だよ」
先輩はそう言ってそこに顔を埋めた。じゅるる、と大きな音を立てて蜜を吸われたかと思うと、その上にある敏感な突起をチロチロと舌で刺激される。びく、びく、と身体は勝手に痙攣して、絶頂に昇りつめていく。
「先輩、先輩……っ」
いつも、優しくてとても熱い瞳で私を見つめてくれる先輩が、何だか冷たい目をしている。怖くなって先輩に手を伸ばしたいけれど、手を縛られているのでそれが出来ない。
「先輩……っ、んぅ……!」
冷えていく心とは裏腹に、身体はどんどん熱くなっていって。
「イく、イく……っ!」
先輩の舌と指で昇りつめた。それでも止まらない先輩は、私がぐったりとして感覚が麻痺するまでやめてくれなかった。結局繋がらないまま。
「ごめんね」
身体が怠くて動けない私の髪を撫でて、先輩は悲しそうな顔をしていた。
「うわあ、人多いですね」
「ちょうどシーズンだからね」
先輩とデートでやって来たのは海だ。夏真っ盛り。しかも土曜日なので人が多い。持ってきたシートを敷く場所を探すだけで時間がかかりそうだ。
「先に着替えようか」
「そうですね」
今日のために水着を新調した。あまり体に自信がないから肌の露出は多くないものだ。
更衣室から出ると、先輩はまだいなかった。着替えているのか、それとも何か買い出しに行ってくれたのか。人が多いからすぐにはぐれそう。ここにいた方がいいよね。そう思って更衣室の近くに立っていると。
「うわっ」
「キャッ、冷た……っ!」
近くを歩いていた男の人が何かに躓いたらしく体勢を崩して、その人が持っていたかき氷がビシャッと私のお腹にかかった。
「すみません……!」
「あ、いえ、平気です」
「何か拭くもの……」
「持ってるので大丈夫です。気にしないでください」
「……奈々美ちゃん?」
「え?」
名前を呼ばれてようやくその人の顔を見る。その人の顔にはどこか見覚えがあった。記憶を辿って思い当たる。
「佐野くん……?」
「覚えててくれたんだ!」
それは、高校生の時に少しだけ付き合っていた元カレだった。
「奈々美ちゃん綺麗になったね」
「えっ、そんなことないよ。佐野くんは大人になった」
「そうかな?ね、1人で来たの?向こうに俺の友達いるから一緒に遊ばない?」
「あ、1人じゃな……」
「奈々美ちゃん?」
後ろから呼ばれた名前に振り返る。そこにいたのは大勢の女性の視線を浴びた先輩だった。激しく目立っている。手には焼きそばと飲み物。やはり買い出しに行ってくれていたようだ。
「おかえりなさい。あ、彼と一緒なの。誘ってくれてありがとう。じゃあね」
佐野くんにお断りして先輩のところに行った。
「ありがとうございます」
「あ、うん、お腹空いてるかと思って……」
「ペコペコです」
そう言って笑うと、先輩の鼻から一筋赤いものが。
「っ!先輩、鼻血!」
「ごめん、奈々美ちゃんがあまりにも可愛くて……」
思わず笑ってしまう。そんなこんなで、海デートは楽しく過ごした。事件が起きたのはその日の夜だった。
「奈々美ちゃん、好きだよ」
ベッドの上で先輩のキスを受け入れる。ドキドキして幸せな時間。深くなっていくキスに先輩の服を掴んだら、その手を掴まれ頭上で押さえつけられた。
「先輩……?」
何だかいつもと様子が違う。少し怖くなって先輩を見ると、何故か目が冷たい気がした。
「今日話してたの、知り合い?」
そう言われて記憶を辿る。海デートが楽しくてすっかり忘れていたけれど、そういえば佐野くんに会った。
「はい、高校の同級生です」
「そう。元カレ?」
「……はい。あ、でも3年生の時に半年くらい付き合ってただけで……」
「……」
「先輩?」
先輩はニコッと微笑んでポケットから取り出したネクタイで私の両手を縛った。私服なのに何故ネクタイを持っているのか気になったけれど、それよりも先輩がいつもと違うのが怖かった。
「先輩、あの……」
「大丈夫、気持ち良くなるだけだから」
Tシャツは捲られ鎖骨のところでまとめられる。ブラジャーもホックだけ取られて。下半身はあっという間に裸にさせられた。
「ちょっと日焼けしたね」
そう言って先輩は体にキスを落としていく。たまに舌を這わされると敏感になっていやらしい声が出た。気持ちいいところは触ってくれなくて、焦らされる。腰が無意識に揺れてしまうと、先輩は分かっているだろうに脚ばかり舐めた。
「奈々美ちゃん、まだ触ってないのにここぷっくり勃ってるね」
胸の頂にふっと息を吹きかけられる。ぴくん、と揺れた体に先輩は少し笑った。
「彼は奈々美ちゃんがこんなにエッチだって知ってる?」
彼と言われてすぐに出てこない。戸惑っていると先輩は下半身のほうに移動して脚を大きく開いた。
「っ、やっ、」
「濡れてる」
先輩の長い指が膣に触れる。ちゅく、といやらしい音がした。恥ずかしくて体が火照る。
「やっ、恥ずかし、先輩……っ」
「大丈夫。奈々美ちゃん、綺麗だよ」
先輩はそう言ってそこに顔を埋めた。じゅるる、と大きな音を立てて蜜を吸われたかと思うと、その上にある敏感な突起をチロチロと舌で刺激される。びく、びく、と身体は勝手に痙攣して、絶頂に昇りつめていく。
「先輩、先輩……っ」
いつも、優しくてとても熱い瞳で私を見つめてくれる先輩が、何だか冷たい目をしている。怖くなって先輩に手を伸ばしたいけれど、手を縛られているのでそれが出来ない。
「先輩……っ、んぅ……!」
冷えていく心とは裏腹に、身体はどんどん熱くなっていって。
「イく、イく……っ!」
先輩の舌と指で昇りつめた。それでも止まらない先輩は、私がぐったりとして感覚が麻痺するまでやめてくれなかった。結局繋がらないまま。
「ごめんね」
身体が怠くて動けない私の髪を撫でて、先輩は悲しそうな顔をしていた。
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