黄昏一番星

更科二八

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1章 呪いの女

104話 今後のこと

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「ところでロージー。
切り裂き魔はこの後どうなるんだ?」
「それはもちろん徹底的に調べ上げますよ!奴隷印なんて指示役がいる証拠ですからね。
悲しい事に時々ある事なんで、ちゃんと対応できる人が居るんですよ」

流石は街を守る兵士団という事だろう。
こういう状況への対応もできるようだ。
奴隷印や服従魔法に関しては情報が秘匿されていて俺も存在を知るまでだ。
あまりにも自由すぎた九孫の魔法学園でもこれは徹底して禁忌にしていた。
あそこでこんな魔法が使われた日には国が滅びそうだ。

コンコン、ガチャ
意味のないノックと共に扉から知った顔が現れた。
魔法兵団のトップのコリンズだ。
俺とエドガー、ロージーがいるのは詰め所の中の来客用の応接室だ。
トレイとモーガンは戦士兵団の方へ戻っている。

「タイガ殿、怪我は無いようだな。
この度は切り裂き魔の捕獲に協力してくれて感謝する。大手柄だな!」

コリンズは部屋に入るなり少し興奮した様子で話してくる。
噂集めの地道な調査をしていたのが急に犯人捕獲だから気持ちも昂るのだろう。

「ああ、随分早く出てきてくれて助かったよ」
「敵も焦ったようだな。まだ思惑はわからないが必ず突き止めて見せるから任せてくれ」
「奴隷印は俺にも無理だからな。よろしく頼む」

コリンズの言う通り、エドガーがまた狙われたのは随分と早かった。
エドガーが仕事を辞めた、ワーカーになったと言う話はエドガーの元職場の同僚がエドガーの仕事を引き継いでいるので直ぐに広まったようだ。流石配達業。
それと異常な顔の広さをしていたエドガーの努力の賜物でもあるか。

それでも3日のうちに仕掛けてきたのだからほんとに焦ったのだろう。
犯行もかなり大胆で切り裂き魔は俺ら全員を殺すつもりだったのだろう。

「戦闘があったと言うがどうだった?
見たところ完全無傷のようだし、切り裂き魔もアザ程度だったが」
「俺が完封できたからだな。
でも切断の魔法のようなものはとんでもない威力でひやっとしたな」
「タイガ真正面から受けてなかったか?」
「俺自身は氣を纏えば防げる威力だったけどな、エドガーたちの前に置いた本気の防御魔法が壊されたのは焦ったぞ」

防御魔法破るぐらいと見立てをしてたら初撃も俺が受けるべきだったしもっと速攻をかけた方が良かった。
忙しないのが苦手な俺はどうも受け身がちになりすぎる。
受けじゃないぞ!

「切断の魔法というと普通は布を真っ直ぐ切るぐらいのものだよな?
それをその威力まで高めるとは相当だな」
「おそらくだけどな。あと発動の瞬間まで魔力を隠す技術も高い。体の動きも悪く無いし、俺の威圧にも耐えていたから暗殺者としてはかなりだな」

でも俺ならまず姿を見せずに完全にやり切るけどな。
認識阻害に頼り切っているのはダメだろう。
死体もそのままにするのはダメだ、やるなら跡形も残すな。母ちゃんの教えだ。

「奴の警備の方はどうなっているんだ?
これだけの暗殺者を使役している存在がいるんだ。こうなった時の保険もあるだろうと思うんだが」
「警備の体制は増やすさ、それと奴の見張りは決まったものだけで行い確認の取れないものは近づかせないぐらいだな。
タイガ殿は何か案は無いか?」
「・・罠仕掛けてもいいのなら」
「というと?」
「檻の前に特定のもの以外が踏むと起動する魔法陣を仕込む」
「そうだな、無いよりかはいいだろう。頼めるか?ここの敷地内は魔道具検知も無効になっているから自由にしてもらっていい。
あ、殺すのはダメだぞ」
「わかってるさ」

どんな罠にしてやろうかと想像するのは楽しい。童心がくすぐられる。
魔法学園では散々苦労させられたが、仕掛ける側は楽しいのだ。

「ところで魔道具検知というのはどんなものなんだ?かなり凄いことをしているように思うが」
「詳しい仕組みは口外できないが、街の地図と連動させていて何処で認可の無い魔道具が使われたのかわかる魔法だよ。
魔法の発動もこの土地の魔力でされていて、術の管理だけしていれば負担もそう無い。
本当に凄い魔法さ」

土地の魔力を使うというのは結界魔法というものでも取られる手法らしい。
ひたすら準備が面倒くさい高度な魔法だ。
賢者の試験受かった俺でも使えない。
魔道具検知も結界魔法を応用したものなのかもしれないな。

「作ったやつは相当な魔法の使い手だな」
「私達魔法兵団も開発には関わったがほとんどは辺境伯夫人のスズナ様のお力だな」
「スズナが!?あいつそんなに凄かったのか」
「タイガ殿は知り合いだったそうだな。
驚いたぞ」
「同じ国の出で姉とも親しくしてたからな」

姉ちゃんに振り回されてるイメージが強いからそんな凄いやつだったとは知らなかった。
そいえば姉ちゃんがスズナに色々魔法教えてたな。

ひとしきり話した後は今この部屋にいる4人で切り裂き魔のいる牢へ向かった。
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