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3章 バーンデッドディザスター
341話 ワーカー復帰
家具類が取り払われてだだっ広くなった自宅の自室の床で目を覚ました。
飲みに行った日の翌日、昨日は1日自宅を片付けた。
家具類はほぼ全滅だったので、気疲れしてしまった。
家宅捜査の現場には何度も入ったがここまでの壊されようはなかなか無い。
俺が聖女殺しの共犯だから信者の兵士たちに手酷くやられたんだろう。
冤罪だし腹が立つが、こんな場合でも補償などはなく泣き寝入りするしかないことも知っているから余計に虚しくなる。
部屋を放置すると何度も腹が立ち精神的に良くないから昨日1日で片付けてしまったのだった。
「仕事行くか」
昨日片付けている中で前だけ向いていこうと決めた。
修行で魔物退治だけは上手くなったと思うが、ワーカーとしてのブランクはそれだけでは埋まらない。
モーガンやガグはもう仕事をしているらしいから俺も今日からコツコツと始めていこうと思う。
外に出ると少し涼しさを感じるが、まだまだ強い日差しを感じる。
9月は葡萄の収穫期が始まる頃。
ランダバウト領はさまざまな酒の産地であり、葡萄もまた多く栽培されている。
収穫の手伝いや、葡萄を狙う魔物の討伐などでワーカーたちも忙しい時期になる。
「まあ最初は解体だな」
ワーカーをやっていた15年前にはなかったが、今の解体場には風呂があるらしい。
エドガーから聞いて気になっていたのだ。
だから最初は解体の仕事を受けようと決めていた。
ギルド自体は兵士の仕事をしていた時も何度も来ていたので特に懐かしさはないのだが、ワーカーとして依頼掲示板の前に立つと急に懐かしくなった。
「解体の掲示板は相変わらずだな」
朝の騒々しいギルドの中でも解体の掲示板はそれほど賑わいはない。
掲示板には15年前と同じように1枚の紙が貼られて今日解体する予定の魔物が書かれていた。
「初日だしなDランクぐらいにしとくか」
そう思いDランクに指定されたダビーという蛇の魔物の解体を選んだ。
仕事の受注を終えて解体場へ移動すると見知った顔に挨拶をする。
「ようバート世話になるぜ」
「ガルシア?今日は兵士団の用事なんて入ってたか?」
「ワーカーに戻ったんだ、普通にここの仕事だぜ」
「マジ!?兵長やってた方が儲かるだろ。何やってんだ」
「子育ても済んだしもっかい冒険者目指してみようと思ってな」
「熱心さは変わってねえなー。おめえなら安心して任せられるし歓迎するぜ!」
解体場の主任のバートは俺よりも3つほど年上だが、ワーカー時代に何度も一緒に仕事をしたことのある仲だ。
お互いワーカーから身を引いた後も仕事上の付き合いはあった。
「おめえの獲物はダビーか、悪いが建物の裏で捌いてもらってもいいか」
「まあしょうがねえよな」
「鼻と口は布で覆っとけよ」
「あいよー」
ダビーという蛇の魔物は、育てば体長10メートルほどになる大型の蛇だが、頭や胴体は細く一見大きさを感じにくい。
生命力が非常に強く頭と胴体を切り離しても頭の方は生き続けてまた体を生やす。
体の全体から揮発性の毒を発して多く吸い込めば体が性的な興奮状態となり錯乱する。
強力な精力剤の原料となる魔物でもあり全身から血に至るまで活用できる。
解体する場合も血が体に付着するだけでも精力が高まる効果があり長時間触れると心臓に負担がかかり危険とされる。
血は飛沫になって飛び散る可能性もあるので隔離して解体するのはもっともな事だ。
通常の解体と違い癖の強い獲物ではあるのだが、今の俺は何もしなくても常時回復魔法が発動してるような状態になってしまっている。
しかも即死級ダメージでも即回復するレベルの超強力なやつが。
当然解毒効果もある。
なので俺自身はダビーという魔物相手になにも問題がない。
それに今は力を押さえているが、それをやめれば周辺の生き物にも全て同じような回復効果がある。
魂の覚醒の効果という事だが、そんな異常な力を俺は身につけてしまっている。
そいえばスキルも身につけられるんだったな。
それはまた今度。
バートの説明を受けながら解体の準備を進めて、滞りなく解体を進めて夕方前には2匹の解体を終えた。
本来1匹予定だったが、もう1匹解体する人員が揃わなかったので俺が解体した。
作業場を片付けてから解体場の屋内に入ると、男たちはみな前屈みになっている。
若干いたはずの女性の姿はない。
股間のテントを張り上げて呆けていたバートの元へと行き事情を聞いた。
「ダビーの血を小瓶に移し替える作業をうちの職員にやらせてたんだが、1本ぶちまけちまってなー。みんなこの有様よ。おめえはなんで何ともなさそうなんだ?目立たないだけか?」
「俺は回復術師だぜ、解毒してんだよ!勃てばおめぇよりめだつわ!」
「言うじゃねえかよ!それよりここの奴らの解毒も頼んでもいいか?」
「もうしたぜ、そのうち治るだろ」
「なんもしてなくないか?」
「なんもしてないようでしてんだよ。報告書頼むわ」
「ああ、ちょっと待ってろ」
バートは近くの執務机から手早くギルドに提出する書類を準備して渡してきた。
「今ので鎮まった。すげえなおまえ!」
「だろ、回復魔法なら聖女にだって負けねえぜ」
「そんなにか、ちょっと1人見てもらいたい奴がいるんだがよ、いいか?」
「別に構わねえよ」
「おーい、リーガル!ちょっときてくれー」
バートが大きな声で名前を呼ぶと、解体場の隅で1人デスゴートを解体していたリザードマン風の大男がこちらへとやってきた。
その男の名前と風貌には凄く心当たりがあった。
「あー成程、ちょっと人のいない場所でいいか?」
「知り合いか?」
リーガルと呼ばれた男は首を傾げている。
「一方的にな」
「そうか、個室で話すか」
そう言ってバートは個室に案内してくれた。
「すまんな、変な噂たつと困るだろうからな。リーガルさんよ、俺はガルシアってもんだ。こないだまで兵士だったもんで立場上おめぇさんのことも知ってる。俺ならおめぇの喉や角、羽まで治してやれると思うがどうする?
つってもいっぺんには答えられねえか、先ずは喉から、治すか?」
リーガルは驚いた様子を見せた後、こくこくと何度も頷いた。
「マジで治せるのか!」
「やってみるまでさ、いくぞ」
意識を集中して治癒魔法を発動。本来ならば正常な状態を肉体から導き出してそれを基に治癒を行うのだが、古い傷はその状態が正常と固定化してしまっているので治癒魔法での治療が困難だ。
だが正常な状態を導き出す精度を極限まで突き詰めていけば古傷を治すことも可能となる。
リーガルの首元から氣で内部まで観察して捉えた印象を魔法へと落とし込む。そしてしっかりと声を発する部位を再現できるイメージを導き出して治癒を発動。
ゆっくりと時間をかけて癒す。
数十分時間をかけて魔力を注ぎ込み、無事に喉の修復を終えた。
「どうだ?」
「あ、ああ・・!・・・こ・・え・・・で・・・る!!」
かすかすでとても小さなこえだがリーガルは確かに声を取り戻し話すことができた。
それは相当嬉しかったようでリーガルの目からは涙がボロボロとこぼれてきた。
「良かったな」
「よ・・かっ・・・た!あり・・・・が・・とう」
「無理せずに練習すればもっとよくなるだろうよ」
リーガルは泣きながらうんうんと頷いた。
リーガルという竜人族の男のことは立場上報告を受けて知っていた。
タイガが教皇と共に捕まえてきた教会の奴隷。
竜人族としての特徴である角や羽が切り取られており、声を出すこともできない状態だった。
文字を書くこともできず、取り調べは困難を極めていたが、鑑定や根気強い聞き取り、仲間の証言などで犯罪歴は無いとされてそのうち釈放になると決まっていた。
これまでの境遇がどうだったかは知らないが、決して良いものではないのは確かだ。
俺の治癒魔法が1人の人生の助けになれたのならばとても嬉しい事だ。
修行前にはこんな事は出来なかったから早速役に立った。
「角と羽はどうするよ。正直なところ、この国もそこまで安全ではないから人攫いなんかを気にすると種族隠してた方が安心ではあるぞ」
珍しい種族なんかは物好きな金持ちを相手にする人攫いの標的になりやすい。
子供の行方不明率なんかもかなり高い。大人であっても然り。
奴隷印の犯罪も時々あることを知っている。
やっと自由の身となったこいつが、珍しい種族ゆえまた人攫いの被害に遭う可能性を考えると、考えなしに欠損の修復は憚られた。
「・・いま・・・は・・・じゅう・・・ぶ・・ん・・・だ」
「そうかい、必要ならまた協力してやるよ」
リーガルは大きな尻尾をブンブンと振り、笑顔で大きく頷いた。
犬みたいでちょっと愛嬌がある。
「そんならバートのやつにも声治った報告するか」
バートは治療を行っている間に仕事に戻ってしまっていた。
リーガルもうんうんと嬉しそうに頷く。
感情をいっぱいに表現していてなんか楽しいやつだ。
飲みに行った日の翌日、昨日は1日自宅を片付けた。
家具類はほぼ全滅だったので、気疲れしてしまった。
家宅捜査の現場には何度も入ったがここまでの壊されようはなかなか無い。
俺が聖女殺しの共犯だから信者の兵士たちに手酷くやられたんだろう。
冤罪だし腹が立つが、こんな場合でも補償などはなく泣き寝入りするしかないことも知っているから余計に虚しくなる。
部屋を放置すると何度も腹が立ち精神的に良くないから昨日1日で片付けてしまったのだった。
「仕事行くか」
昨日片付けている中で前だけ向いていこうと決めた。
修行で魔物退治だけは上手くなったと思うが、ワーカーとしてのブランクはそれだけでは埋まらない。
モーガンやガグはもう仕事をしているらしいから俺も今日からコツコツと始めていこうと思う。
外に出ると少し涼しさを感じるが、まだまだ強い日差しを感じる。
9月は葡萄の収穫期が始まる頃。
ランダバウト領はさまざまな酒の産地であり、葡萄もまた多く栽培されている。
収穫の手伝いや、葡萄を狙う魔物の討伐などでワーカーたちも忙しい時期になる。
「まあ最初は解体だな」
ワーカーをやっていた15年前にはなかったが、今の解体場には風呂があるらしい。
エドガーから聞いて気になっていたのだ。
だから最初は解体の仕事を受けようと決めていた。
ギルド自体は兵士の仕事をしていた時も何度も来ていたので特に懐かしさはないのだが、ワーカーとして依頼掲示板の前に立つと急に懐かしくなった。
「解体の掲示板は相変わらずだな」
朝の騒々しいギルドの中でも解体の掲示板はそれほど賑わいはない。
掲示板には15年前と同じように1枚の紙が貼られて今日解体する予定の魔物が書かれていた。
「初日だしなDランクぐらいにしとくか」
そう思いDランクに指定されたダビーという蛇の魔物の解体を選んだ。
仕事の受注を終えて解体場へ移動すると見知った顔に挨拶をする。
「ようバート世話になるぜ」
「ガルシア?今日は兵士団の用事なんて入ってたか?」
「ワーカーに戻ったんだ、普通にここの仕事だぜ」
「マジ!?兵長やってた方が儲かるだろ。何やってんだ」
「子育ても済んだしもっかい冒険者目指してみようと思ってな」
「熱心さは変わってねえなー。おめえなら安心して任せられるし歓迎するぜ!」
解体場の主任のバートは俺よりも3つほど年上だが、ワーカー時代に何度も一緒に仕事をしたことのある仲だ。
お互いワーカーから身を引いた後も仕事上の付き合いはあった。
「おめえの獲物はダビーか、悪いが建物の裏で捌いてもらってもいいか」
「まあしょうがねえよな」
「鼻と口は布で覆っとけよ」
「あいよー」
ダビーという蛇の魔物は、育てば体長10メートルほどになる大型の蛇だが、頭や胴体は細く一見大きさを感じにくい。
生命力が非常に強く頭と胴体を切り離しても頭の方は生き続けてまた体を生やす。
体の全体から揮発性の毒を発して多く吸い込めば体が性的な興奮状態となり錯乱する。
強力な精力剤の原料となる魔物でもあり全身から血に至るまで活用できる。
解体する場合も血が体に付着するだけでも精力が高まる効果があり長時間触れると心臓に負担がかかり危険とされる。
血は飛沫になって飛び散る可能性もあるので隔離して解体するのはもっともな事だ。
通常の解体と違い癖の強い獲物ではあるのだが、今の俺は何もしなくても常時回復魔法が発動してるような状態になってしまっている。
しかも即死級ダメージでも即回復するレベルの超強力なやつが。
当然解毒効果もある。
なので俺自身はダビーという魔物相手になにも問題がない。
それに今は力を押さえているが、それをやめれば周辺の生き物にも全て同じような回復効果がある。
魂の覚醒の効果という事だが、そんな異常な力を俺は身につけてしまっている。
そいえばスキルも身につけられるんだったな。
それはまた今度。
バートの説明を受けながら解体の準備を進めて、滞りなく解体を進めて夕方前には2匹の解体を終えた。
本来1匹予定だったが、もう1匹解体する人員が揃わなかったので俺が解体した。
作業場を片付けてから解体場の屋内に入ると、男たちはみな前屈みになっている。
若干いたはずの女性の姿はない。
股間のテントを張り上げて呆けていたバートの元へと行き事情を聞いた。
「ダビーの血を小瓶に移し替える作業をうちの職員にやらせてたんだが、1本ぶちまけちまってなー。みんなこの有様よ。おめえはなんで何ともなさそうなんだ?目立たないだけか?」
「俺は回復術師だぜ、解毒してんだよ!勃てばおめぇよりめだつわ!」
「言うじゃねえかよ!それよりここの奴らの解毒も頼んでもいいか?」
「もうしたぜ、そのうち治るだろ」
「なんもしてなくないか?」
「なんもしてないようでしてんだよ。報告書頼むわ」
「ああ、ちょっと待ってろ」
バートは近くの執務机から手早くギルドに提出する書類を準備して渡してきた。
「今ので鎮まった。すげえなおまえ!」
「だろ、回復魔法なら聖女にだって負けねえぜ」
「そんなにか、ちょっと1人見てもらいたい奴がいるんだがよ、いいか?」
「別に構わねえよ」
「おーい、リーガル!ちょっときてくれー」
バートが大きな声で名前を呼ぶと、解体場の隅で1人デスゴートを解体していたリザードマン風の大男がこちらへとやってきた。
その男の名前と風貌には凄く心当たりがあった。
「あー成程、ちょっと人のいない場所でいいか?」
「知り合いか?」
リーガルと呼ばれた男は首を傾げている。
「一方的にな」
「そうか、個室で話すか」
そう言ってバートは個室に案内してくれた。
「すまんな、変な噂たつと困るだろうからな。リーガルさんよ、俺はガルシアってもんだ。こないだまで兵士だったもんで立場上おめぇさんのことも知ってる。俺ならおめぇの喉や角、羽まで治してやれると思うがどうする?
つってもいっぺんには答えられねえか、先ずは喉から、治すか?」
リーガルは驚いた様子を見せた後、こくこくと何度も頷いた。
「マジで治せるのか!」
「やってみるまでさ、いくぞ」
意識を集中して治癒魔法を発動。本来ならば正常な状態を肉体から導き出してそれを基に治癒を行うのだが、古い傷はその状態が正常と固定化してしまっているので治癒魔法での治療が困難だ。
だが正常な状態を導き出す精度を極限まで突き詰めていけば古傷を治すことも可能となる。
リーガルの首元から氣で内部まで観察して捉えた印象を魔法へと落とし込む。そしてしっかりと声を発する部位を再現できるイメージを導き出して治癒を発動。
ゆっくりと時間をかけて癒す。
数十分時間をかけて魔力を注ぎ込み、無事に喉の修復を終えた。
「どうだ?」
「あ、ああ・・!・・・こ・・え・・・で・・・る!!」
かすかすでとても小さなこえだがリーガルは確かに声を取り戻し話すことができた。
それは相当嬉しかったようでリーガルの目からは涙がボロボロとこぼれてきた。
「良かったな」
「よ・・かっ・・・た!あり・・・・が・・とう」
「無理せずに練習すればもっとよくなるだろうよ」
リーガルは泣きながらうんうんと頷いた。
リーガルという竜人族の男のことは立場上報告を受けて知っていた。
タイガが教皇と共に捕まえてきた教会の奴隷。
竜人族としての特徴である角や羽が切り取られており、声を出すこともできない状態だった。
文字を書くこともできず、取り調べは困難を極めていたが、鑑定や根気強い聞き取り、仲間の証言などで犯罪歴は無いとされてそのうち釈放になると決まっていた。
これまでの境遇がどうだったかは知らないが、決して良いものではないのは確かだ。
俺の治癒魔法が1人の人生の助けになれたのならばとても嬉しい事だ。
修行前にはこんな事は出来なかったから早速役に立った。
「角と羽はどうするよ。正直なところ、この国もそこまで安全ではないから人攫いなんかを気にすると種族隠してた方が安心ではあるぞ」
珍しい種族なんかは物好きな金持ちを相手にする人攫いの標的になりやすい。
子供の行方不明率なんかもかなり高い。大人であっても然り。
奴隷印の犯罪も時々あることを知っている。
やっと自由の身となったこいつが、珍しい種族ゆえまた人攫いの被害に遭う可能性を考えると、考えなしに欠損の修復は憚られた。
「・・いま・・・は・・・じゅう・・・ぶ・・ん・・・だ」
「そうかい、必要ならまた協力してやるよ」
リーガルは大きな尻尾をブンブンと振り、笑顔で大きく頷いた。
犬みたいでちょっと愛嬌がある。
「そんならバートのやつにも声治った報告するか」
バートは治療を行っている間に仕事に戻ってしまっていた。
リーガルもうんうんと嬉しそうに頷く。
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