【完結】再会 -最期の時に 最期の場所で-

華景和音

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第1章 日常

懐かしい教室

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ある日の朝、リクは校門をくぐると靴箱に靴を入れ、教室に向かおうとしていた。そのときリクの横に見慣れない女子が靴箱に靴を入れようとしていた。その女子は髪の色も肌の色も薄く、どことなく儚げな雰囲気だった。

リク(こんな子いたっけ?)

そのとき予鈴のチャイムが鳴り、リクは急いで教室に向かった。どの教室からも生徒たちの声が聞こえいた。リクは3年1組の教室に入ると、席に座っているナオの横でケントが話しかけているのが見えた。リクは教室に入るときに思った。

リク(教室の匂いって懐かしいな。教室ってこんな匂いしてたっけ?)

リクはそのとき違和感を覚え、立ち止まった。

リク(ん?してたっけって何だ?毎日来てるはずなのに、何で懐かしく感じてるんだ?)

そう思ったときにケントの声がした。

ケント「リク、何突っ立ってんだよ。早く来いよっ。」

それを聞いてリクは考えるのをやめた。

リク「学校来るの早くないか?」

ナオ「いや、リクが遅いんだよ。予鈴ギリギリじゃん。」

ケント「何だったら漫画の主人公みたいに、予鈴が終わる瞬間に、パンを加えたまま教室に飛び込んできてもいいんだぜ。」

リク「オレいつから主人公キャラになったんだよ?それにパンを加えたままっていつの主人公なんだよ?」

ケント「だって最近、遅刻する主人公っていないじゃん?」

リク「で、何の話してんの?」

ナオ「今日の数学の小テストについて。」

リク「小テスト?今日小テストだったっけ?」

ナオ「あれ?」

ケントがリクの肩に腕を回してきた。

ケント「リク、やっぱり気が合うなっ!オレも忘れてた。」

リク「そんなことで気が合いたくないな。」

そう言ってリクはケントの手を振り払った。

ケント「そんなこと言うなよ。」

リクはケントを無視して言った。

リク「それってホント?そんなこと言われてたっけ・・・?」

ナオ「まあ、かく言う私も忘れてた。さっきノート開いたら、1限の数学、小テストって書いてあった。」

ケント「じゃあ、ナオも勉強してないの?」

ナオ「私は勉強しなくてもできるから。日頃の予習と復習のお陰でね。」

リク「まあ、オレもだな。」

ナオとリクはケントの方を見た。

ケント「何かそろってムカつくな。すでに勉強済みかよ。」

ナオ「何とかなりそう?」

ケント「ああ、何とかなる!」

ナオ「ウソだ。」

リク「願望だろ?」

ケント「いや、オレは何とか乗り越えてみせる!」

ナオ「やっぱウソじゃん。」

リク「何とか予習と復習をしてみせる、に変えた方がいいんじゃないか?」

ケント「いや、オレは逆境に強い男だから!」

ナオ「自分自信を逆境におとしいれる男の間違いじゃなくて?」

そのとき担任の山根ミクが教室に入ってきた。ミクはアラサーでいつも白のブラウスと黒のタイトスカートというコーデだった。肩まで伸びた黒髪と細い眉毛、白い肌に真っ赤の口紅の組み合わせで、一歩間違えれば女王様という出で立ちだった。

ミク「席につけー!ホームルームの時間だ!」



ホームルームの後、1限の数学が始まり、30分の小テストが実施された。1限の数学が終わってからケントが言った。

ケント「オレ、天才かも。やっぱ何とかなったわ。」

ケントはかけてもいないメガネを上げる真似をしながら嬉しそうに言った。

ナオ「え?本当に?」

ナオは怪訝そうな顔をした。

ケント「本当だって。」

ナオ「へー。そんなことってあるんだ。何か近々ケントの身に不幸が起こりそう。」

ケント「何でそうなるんだよっ!っていうかさ、今回の小テストって前に同じのやらなかった?」

ナオ「え?そう?私はいつも予習と復習をしてるから、前にやったことがある気がする問題しか出ない感じ。」

ケント「はいはい、ナオ様は秀才ちゃんかよっ!嫌味な奴だな!」

ケントはリクの方を向いていった。

ケント「リクはそう思わなかった。あれ絶対前にやったことがある問題だって。」

リク「先生が同じ問題出すかな。同じ問題だったら誰か指摘しそうだけど・・・。」

ケント「いや、オレあの問題見たことあるって。」

ナオ「いつ?」

ケント「いつって、前の小テストとか?」

ナオ「今回の小テスト、今学期が始まって初めてだよ。2年のときに受けた小テストのこと?」

ケント「いや、でも今回の小テストは2年の範囲じゃないから・・・。」

ナオ「だったらケントの言ってること、論理的に破綻してない?」

ケント「それはその通りだけど。でも受けた気がするんだけどな・・・。」

ケントがそう言ったときに2限の国語の予鈴が鳴った。



次の日の朝は、リクが座席に座っていると、ケントが話しかけてきた。

ケント「リク、おはよう!」

リク「おはよう・・・。」

ケントはリクの顔をまじまじと見ながら言った。

ケント「何だよリク、浮かない顔をして。」

リク「え?そんな顔してた?」

ケント「してた、してた。何かあったのか?」

リク「何かあったって言う訳じゃないんだけど・・・。」

ケント「だけど?」

リク「なんて言うか、オレって、このクラスでもっとワクワクしてるはずっていうか・・・。」

ケント「は?してるはずって何だよ?」

リク「まあ、そういうリアクションになるよな・・・。」

リクは遠くを見ながら言った。

ケント「何かいいことでもあって、それを忘れたとか?」

リク「いや、あったはずなんだが、それがない気がするんだ。」

ケント「うーん。この盛り上げ上手で、親友で、みんなを幸せにすることができる、オレ様と一緒にいてワクワクできないのか?」

リク「いや、そういうことじゃないんだ。ケントと会えるのはワクワクするぞ。それとは別に、オレって、この学校で、高3のとき、もっとワクワクしてたような気がするだ。」

ケントはあごに手を当てて考えた。

ケント「悪い、お前が言ってることが全然分からない。」

リク「いや、ワクワクする時ってあるじゃん?実際、ワクワクしてるんだ。でも、何でワクワクしてたんだけって、その理由を思い出すことができないみたいな?」

ケント「そっか。じゃあそれはそれとして。だったら、そのワクワクでない理由を思い出すしかないな。」

リク「だよな。」

ケント「だよ。」

リク「悪い、変なこと言って・・・。」

そこにナオがやってきた。

ナオ「ねえ、今から校庭に白線引くの手伝ってくんない?」

2人はナオの方を見た。そしてケントはナオを指差しながら言った。

ケント「そのワクワクしない理由ってさー、この人が原因とか?」

リク「え、そうなのかなー?そうなのかも?」

ナオ「何それっ?意味分かんないけど!とりあえず失礼じゃない!?」

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