【完結】再会 -最期の時に 最期の場所で-

華景和音

文字の大きさ
53 / 119
第5章 解明

嵐山とかんざし

しおりを挟む
修学旅行2日目の午後、リク、アリス、ナオ、ケントの4人は嵐山の竹林を歩いていた。青々とした竹がまっすぐ空に伸び、風が吹くたびにサワサワと心地よい音を奏でる。

ケント「うおー!めっちゃイヌスタ映えスポットじゃん!」

ナオ「ケント、イヌスタやってないじゃん。」

ケント「うるさい!オレの心のアルバムに保存するんだよ!」

アリス「風が吹くたびに竹が揺れるの。笹が擦れ合う音っていいね!」

リク「これぞ京都の音って感じだな。」

4人が竹林を歩いていると、アリスがふと足を止めた。

アリス「・・・あれ?クリップがない!」

ナオ「えっ!?どこで落としたの?」

アリス「わかんない・・・さっきまではあったのに・・・。」

ケント「クリップって?」

アリス「髪を留めてたのに・・・」

リク「風が強かったからな。」

ケント「おいおい、これはまさかの竹林ミッションか?」

リク「ちょっと来た道を戻ってみるか。」

4人は来た道を戻りながら、地面を注意深く見て歩いた。しばらく探してみたがアリスのクリップは見つからなかった。

ナオ「たぶん、道には落ちてないね。」

リク「っていうことは、竹林の中か。」

ケント「そうなるとミッションの難易度は上がるな。」

アリス「ありがとう。でもホテルに帰ったら変わりのがあるから。」

ケント「いや、オレは必ずミッションを達成するぞ。」

そう言うケントを引き留めながらナオが言った。

ナオ「じゃあ、私の貸してあげるよ。私は髪が長くないから小さいのしかないけど、ホテルに帰るまではなんとかなりそうじゃない?」

ナオはクリップをカバンから取り出してアリスに渡した。

アリス「ありがとう。これは無くさないように気を付けるから。」

ナオ「いいってことよー!」

――

それから4人は渡月橋のところで一休みした。ナオとアリスは抹茶を飲みながら桂川を眺めていた。リクとケントはお土産売り場の方に行っていた。

ケント「なあ、これはミッションコンプリートのチャンスじゃないか?」

ケントはかんざしを指さしながら言った。

リク「ミッションって竹林でクリップを見つけることじゃないのか?」

ケント「リクは頭が固いな。ミッションを達成する方法はいろいろとあるんだ。原状回復だけが方法じゃない。それ以上の出来事にする方法もあるんだぜ。」

リク「まあ、何となく言いたいことは分けるけど。」

ケント「名付けて竹取物語大作戦だ!」

リク「あ、何かよく分からなくなってきた。」

ケント「アリスにこれを買ってやって、むしろクリップを無くして良かったことにするんだよ!」

リク「最初からそう言えよ。」

ケント「そんなのつまんないだろ?オレのセンスについて来られないのか?」

リク「それで、何でそれをオレに言うんだよ?」

ケント「昔からアリスのことはリクに任せろって言うだろ?」

リク「何で村落の教えみたいになってるんだよ?」

ケント「オレはナオに何か買ってやるから、リクはこれをアリスに買ってやれよ。」

リク「まあいいけど・・・。」

――

リクは赤いかんざしを買ってアリスのところに行った。

リク「アリス、これ・・・。」

リクはかんざしをアリスに差し出した。

ナオ「えっ!?かんざしっ!?」

リク「無くしたクリップの代わりになるかと思って。」

ナオ「かんざしがクリップの代わりになるかー?いや、なるなっ!」

アリス「これ、私にくれるの?」

リク「ああ、ケントによれば竹取物語大作戦らしい。」

ナオ「は?」

アリスは笑った。

アリス「ちょっと待ってね。」

アリスは髪を束ねて頭の後ろで巻くと言った。

アリス「この辺に刺してよ。」

リク「え?オレがやるの?」

アリス「できそう?自分ひとりでやるのは厳しいかも。」

リク「ナオがやったら?」

ナオ「こういうときは男がやってあげるもんだよ。」

リク「そうか。」

リクは恐る恐る言われたところにかんざしを刺した。

リク「こんな感じでいいか?」

アリス「うん。いいと思う。」

そう言って振り返ったアリスの顔は嬉しくてたまらないという表情をしていた。

ナオ「いいねっ!制服にかんざしって合うよっ!リク、センスあんじゃんっ!」

リク「そっか。良かった・・・。」

アリス「リク、ありがとう。嬉しい。」

リクは少し動揺しながら言った。

リク「おう!竹取物語大作戦、大成功だな!」

そのときケントがやってきた。

ケント「いいの見つけたよー!」

ケントは組みひものチャームを4つ手に持っていた。

ナオ「おおっ!かわいいじゃん!」

アリス「これ、京組みひもでしょ?」

ケント「そう。これ京都の思い出にしようよ。4人でここに来た思い出。」
リク「組みひもって、縁を結ぶとか、人と人を結ぶっていう意味だろ?」

ナオ「それいいじゃん!4人の縁を結ぶ組みひもか!」

アリス「じゃあ組みひもの縁に結ばれて、また4人で一緒にここに来るっていう約束の組みひもにしようよ!」

ケント「ああ、絶対だなっ!」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

烏の王と宵の花嫁

水川サキ
キャラ文芸
吸血鬼の末裔として生まれた華族の娘、月夜は家族から虐げられ孤独に生きていた。 唯一の慰めは、年に一度届く〈からす〉からの手紙。 その送り主は太陽の化身と称される上級華族、縁樹だった。 ある日、姉の縁談相手を誤って傷つけた月夜は、父に遊郭へ売られそうになり屋敷を脱出するが、陽の下で倒れてしまう。 死を覚悟した瞬間〈からす〉の正体である縁樹が現れ、互いの思惑から契約結婚を結ぶことになる。 ※初出2024年7月

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

異世界転移物語

月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……

2月31日 ~少しずれている世界~

希花 紀歩
恋愛
プロポーズ予定日に彼氏と親友に裏切られた・・・はずだった 4年に一度やってくる2月29日の誕生日。 日付が変わる瞬間大好きな王子様系彼氏にプロポーズされるはずだった私。 でも彼に告げられたのは結婚の申し込みではなく、別れの言葉だった。 私の親友と結婚するという彼を泊まっていた高級ホテルに置いて自宅に帰り、お酒を浴びるように飲んだ最悪の誕生日。 翌朝。仕事に行こうと目を覚ました私の隣に寝ていたのは別れたはずの彼氏だった。

優しい雨が降る夜は

葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン 無自覚にモテる地味子に 余裕もなく翻弄されるイケメン 二人の恋は一筋縄ではいかなくて…… 雨降る夜に心に届いた 優しい恋の物語 ⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡ 風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格 雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン

隣人はクールな同期でした。

氷萌
恋愛
それなりに有名な出版会社に入社して早6年。 30歳を前にして 未婚で恋人もいないけれど。 マンションの隣に住む同期の男と 酒を酌み交わす日々。 心許すアイツとは ”同期以上、恋人未満―――” 1度は愛した元カレと再会し心を搔き乱され 恋敵の幼馴染には刃を向けられる。 広報部所属 ●七星 セツナ●-Setuna Nanase-(29歳) 編集部所属 副編集長 ●煌月 ジン●-Jin Kouduki-(29歳) 本当に好きな人は…誰? 己の気持ちに向き合う最後の恋。 “ただの恋愛物語”ってだけじゃない 命と、人との 向き合うという事。 現実に、なさそうな だけどちょっとあり得るかもしれない 複雑に絡み合う人間模様を描いた 等身大のラブストーリー。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

俺の推し♂が路頭に迷っていたので

木野 章
BL
️アフターストーリーは中途半端ですが、本編は完結しております(何処かでまた書き直すつもりです) どこにでも居る冴えない男 左江内 巨輝(さえない おおき)は 地下アイドルグループ『wedge stone』のメンバーである琥珀の熱烈なファンであった。 しかしある日、グループのメンバー数人が大炎上してしまい、その流れで解散となってしまった… 推しを失ってしまった左江内は抜け殻のように日々を過ごしていたのだが…???

処理中です...