異世界ファンタジーまとめ3【短編集】

テタの工房

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輪廻の悪夢とサザエさん一家

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目を覚ますと、そこはいつもの畳の部屋だった。薄暗い部屋に差し込む朝の光は、どこか懐かしい。窓の外では、鳥がさえずっている。

「おはようございまーす!」

元気な声が聞こえた。振り返ると、そこにはいつもの家族がいた。父は新聞を読み、母は朝食の準備、妹はテレビを見ている。まるで、何事もなかったかのように。

俺は、またこの世界に転生していた。

正確に言うと、俺は何度も、この世界に転生している。そして、毎回同じ人生を繰り返している。両親、妹、隣に住むマスオさん一家、みんな同じ顔、同じ性格、同じ生活。まるで、永遠に続くサザエさん一家のような、退屈で、息苦しい日常だ。

最初の転生では、何も分からずただただ戸惑っていた。周りの人間が、まるで記憶の一部のように感じられた。しかし、何度も繰り返すうちに、この世界のルール、この人生のシナリオを理解するようになった。

この世界の「終わり」は、俺が18歳になった時だ。18歳の誕生日の夜、謎の黒い影に襲われ、意識を失う。そして、またこの世界に、赤ん坊として転生する。

最初は、このループから抜け出す方法を探した。本を読んだり、図書館に通ったり、あらゆる方法を試した。しかし、結果はいつも同じだった。18歳で黒い影に襲われ、転生。

何度目かの転生で、俺は悟った。このループから抜け出すのは、不可能だと。だから、せめてこの退屈な人生を、少しでも面白くしようと考えた。

最初は些細なことだった。妹にいたずらをしたり、学校で少し悪さをしたり。最初は、少しの刺激に満足していた。しかし、何度も繰り返すうちに、もっと刺激を求めるようになった。

俺は、危険な行動をとるようになった。万引きをしたり、喧嘩をしたり、時には人を傷つけることさえした。それでも、18歳で黒い影に襲われ、転生を繰り返す。

しかし、それは、俺にとっての「刺激」だった。この退屈な人生に、唯一のスパイスだった。

ある転生では、地元のヤクザに絡まれ、ボコボコに殴られた。痛かった。本当に痛かった。しかし、その痛みは、このループの退屈さを吹き飛ばすほど強烈だった。

次の転生では、火事を起こした。もちろん、誰にも怪我はなかった。しかし、その興奮、そのスリルは、これまで味わったことのないものだった。

そして、ある転生では、人を殺した。

それは、偶然だった。喧嘩の最中、相手を突き飛ばした。相手は頭を打ち、そのまま死んでしまった。

俺は、初めて恐怖を感じた。今まで、どんなに危険なことをしても、このループから抜け出すことはなかった。しかし、今回は違う。何かが変わった。

その夜、黒い影は現れなかった。

代わりに、真っ白な空間が現れた。その空間には、何もない。ただ、真っ白な何もない空間だけだ。

そして、そこに現れたのは、神のような存在だった。

「お前は、何度もこのループを繰り返してきたな」

神は、穏やかな声で言った。

「なぜ、こんなことを繰り返すのか?」

「…退屈だからです」

俺は、正直に答えた。

神は、少し笑った。

「お前は、このループの中で、成長したな。しかし、それは間違った方向への成長だ」

「…何をすればいいんですか?」

「お前は、このループから抜け出すために、何かを探し求めていた。しかし、それは間違っている。お前は、このループの中で、何かを見つけるべきだったのだ。何かを…学ぶべきだったのだ」

神は、そう言って消えた。

俺は、再び目を覚ました。いつもの畳の部屋。いつもの家族。いつもの日常。

しかし、何かが違っていた。俺は、もう刺激を求めていない。俺は、このループの中で、何かを見つけようとしている。何かを…学ぼうとしている。

このループは、永遠に続くのかもしれない。しかし、俺はもう恐れていない。俺は、このループの中で、自分自身を見つける旅を始めたのだ。


そして、次の転生。また、同じ日常が始まる。しかし、今回は違う。俺は、妹に優しく接し、両親を敬い、マスオさん一家と穏やかな時間を過ごす。俺は、この世界で、本当の幸せを見つけようとしている。

これは、終わりではない。これは、始まりなのだ。永遠に続くかもしれない、輪廻の悪夢の中で、俺は、自分自身の物語を紡ぎ続ける。
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