異世界ファンタジーまとめ3【短編集】

テタの工房

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朱弓の異世界譚

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ケイは、VRヘッドセットを外した。額に冷たい汗が滲んでいる。目の前には、いつもの薄暗い自分の部屋ではなく、広大な森が広がっていた。木々は高く、空は青く澄み渡り、鳥のさえずりが聞こえる。

「おい、ロシアン… ロシアン!?」

ケイは、ゲーム内でいつも一緒にプレイしていた相棒、ロシアンNINJAこと、アレクセイを探した。アレクセイは、ゲームの中でも現実世界でも、ケイにとってなくてはならない存在だった。いつも飄々としていて、予測不能な行動でケイを驚かせる男だ。しかし、辺りを見渡しても、アレクセイの姿は見当たらない。

「まさか… まさか本当に… DEMONDALの世界に…?」

ケイがプレイしていたのは、『DEMONDAL』という北欧を舞台にしたVRMMOゲーム。レベルもスキルも、便利なギルドも存在しない、過酷なゲームとして有名だった。そのリアリティは、まるで現実世界そのものだった。しかし、それはあくまでゲームの中の話だと思っていた。

震える手で、ケイはゲームで使用していた朱弓、名前を「赤影」とつけていた愛弓を確認した。赤影は、ケイの腕に馴染み、いつもの重みを感じさせた。現実世界で、ゲーム内の装備が持ち越されているなんて、信じられない。

「これは… 夢じゃない…?」

ケイは、赤影を構え、矢を放ってみた。矢は、驚くほど正確に、遠くの木の的に命中した。ゲーム内と同じ感覚だ。ケイは騎射の達人として『DEMONDAL』で名を馳せていた。その腕前は、現実世界でも通用するらしい。

しばらくして、森の奥から人影が見えた。アレクセイだった。彼は、ケイと同じように、現実世界に転移したことに驚きを隠せない様子だった。

「ケイ… これは一体…?」

「わかんねえよ… でも、ゲームと同じ感覚だ。赤影も持ってるし…」

二人は、ゲーム内の知識を頼りに、森の中を進んだ。ゲームと現実の境目は曖昧で、まるでゲームのマップを実際に歩いているようだった。

やがて、二人は廃墟のような村にたどり着いた。そこには、奇妙な生き物や、明らかに人間ではない者たちが住んでいた。彼らは、ケイとアレクセイを敵視し、襲いかかってきた。

ケイは、赤影を操り、矢を次々と放った。アレクセイは、ゲームで磨いた忍術を駆使し、敵の攻撃をかわしながら、敵を倒していく。まるでゲームのプレイ画面を現実で再現しているかのようだった。

戦闘の後、二人は一人の老婆に出会った。老婆は、この世界の秘密を知っているようだった。

「あなたたちは… 異世界から来た者たちですね…」

老婆は、静かに語り始めた。この世界は、かつて『DEMONDAL』というゲームのデータから生まれた世界だと。ゲームの開発者たちが、何らかの実験を行った結果、ゲームの世界が現実のものになったのだという。

「この世界は、ゲームのデータが現実化しただけではありません… 現実とゲームの境界が曖昧になり、現実世界の負の感情や欲望が、この世界に影響を与え続けているのです…」

老婆の言葉は、ケイとアレクセイに衝撃を与えた。彼らは、ただゲームの世界に転移しただけではなく、現実世界の闇に巻き込まれつつあったのだ。

転移の真相を探るため、ケイとアレクセイは旅に出た。彼らは、世界の暗部と戦いながら、現実とゲームの境界線を越え、愛する人との絆を深めていく。そして、ある日、彼らは転移の謎を解き明かし、元の現実世界に戻る方法を見つけ出す。しかし、それは、彼らが想像していたよりもはるかに困難な道のりだった。

旅の途中で、彼らは様々な人々と出会い、別れを繰り返した。中には、ケイとアレクセイを助ける者もいれば、逆に敵対する者もいた。彼らは、それぞれの思惑を抱え、複雑に絡み合った人間関係の中で、生き抜いていかなければならなかった。

最終的に、ケイとアレクセイは、この世界の歪みを正すために、ゲームの開発者たちと対峙することになる。それは、彼らが『DEMONDAL』というゲームをプレイした時から始まっていた、一つの大きな物語の終着点だった。

二人は、この異世界で、本当の友情、そして、愛を学んだ。そして、再び、現実世界へと帰っていく。しかし、彼らの心の中には、この異世界での経験が、永遠に刻み込まれていた。それは、彼らの人生を変えた、忘れられない冒険だった。
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