異世界ファンタジーまとめ3【短編集】

テタの工房

文字の大きさ
54 / 81

終末の氷姫と偽りの剣

しおりを挟む
中学生になったばかりの春、柊木レイは悪夢にうなされた。真っ暗な空間。巨大な影が迫り、冷たい刃が首筋を掠める。息ができなくなる感覚、冷たさで硬直していく体、そして意識の消失。

それは、まるで現実のような夢だった。五感は驚くほど鮮明で、冷たさや血の匂い、恐怖の感情までリアルに感じられた。目を覚ますと、心臓が激しく鼓動し、全身が汗でびしょびしょだった。

この悪夢は、それから三年間、毎晩のようにレイを襲った。最初は単なる怖い夢だったが、繰り返されるうちに、レイは自分が本当に殺されているのではないかと感じるようになった。その度に耐え難い苦痛と、底知れぬ恐怖に襲われ、精神は少しずつ蝕まれていった。

眠りにつくのが恐怖で、起きている時も、次の悪夢がいつ来るのかと怯えていた。学校にも行きたくなくなり、友達とも疎遠になっていった。レイの世界は、悪夢と絶望で埋め尽くされていた。

しかし、三年の歳月が流れようとしていたある夜、いつもの悪夢に変化が起きた。

真っ暗な空間の奥に、今までなかった扉が現れていたのだ。

古びた木の扉。それは、まるで希望の光を放つように、闇の中で微かに輝いていた。

レイは、その扉に目を奪われた。これまで、絶望の淵でただ死を待つだけだったレイにとって、扉は救いの光、希望の象徴だった。

今までなら、ただ恐怖に震えて死を待つだけだっただろう。だが、今回は違った。

レイは震える手で、扉に手を伸ばした。

扉は、予想に反して軽く開いた。

その先には、想像を絶する光景が広がっていた。

一面が氷に覆われた、雪深い森。空には、地球では見られないような星々が輝いていた。

そして、その森の奥から、一人の少女が現れた。

彼女は、長い銀髪を氷のように輝く青い瞳、そして、全身を覆う白いドレスをまとっていた。

「あなたは…一体…?」

レイは、震える声で尋ねた。

少女は、優しく微笑んだ。

「私は、ラナ。この世界の氷姫です。あなたが私を呼ぶ声、聞こえました。」

ラナは、レイを異世界に召喚した存在だった。レイの悪夢は、実は異世界との繋がりであり、扉は、その繋がりを具現化したものであった。

ラナは、レイにこの世界の状況を説明した。この世界は、魔王の支配下にあり、勇者たちが魔王を倒そうと戦っていた。そして、レイは、予言された「偽りの剣」の使い手として、この世界に召喚されたのだという。

「偽りの剣…?」

レイは、首を傾げた。剣なんて、持ったこともない。

ラナは、レイの手のひらに、小さな氷の結晶を置いた。

「これが、偽りの剣の欠片です。あなたの魂と共鳴し、力を発揮するでしょう。」

その瞬間、レイの体の中に、不思議な力が流れ込んだ。

最初は戸惑っていたレイだったが、ラナと共に魔王軍と戦い、次第に自身の力を制御できるようになっていった。

レイは、ラナと共に、様々な冒険を経験した。危険なダンジョンを潜り抜け、強力な魔物と戦い、仲間たちと友情を育んだ。

ラナは、レイにとって、ただの人間とは違う存在だった。彼女は、レイを常に支え、励まし、彼の心を温めてくれた。

レイは、ラナへの想いが、ただの友情を超えた愛情へと変わっていくことに気づいた。

ラナもまた、レイに惹かれていた。

冷酷で孤独だった氷姫の心は、レイの温かさによって解き放たれていった。

そして、二人は、共に魔王を倒し、この世界に平和を取り戻す旅を続けるのだった。

しかし、その旅路には、想像を絶する困難と、予想外の真実が待ち受けていた。

偽りの剣の力、そして、レイ自身の運命とは一体何なのか?

レイとラナの純愛物語は、まだ始まったばかりだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)その後

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合つまた。 その後、大学を卒業した祐輔(ユウスケ)の新たなストーリーが始まった。 全15話を予定

処理中です...