異世界観光案内

テタの工房

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第1話

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雨上がりの空は、澄み渡っていた。アスファルトの照り返しで、普段なら眩しい陽射しも、どこか優しく感じられた。だが、その穏やかな風景は、一瞬で歪められた。目の前には、見慣れない植物が生い茂る森が広がり、空には見慣れない星が輝いていた。

一ノ瀬蓮は、自分がどこにいるのか分からなかった。35歳、独身、プログラマー。昨日の夜、いつものようにコードと格闘していたはずなのに。最後の記憶は、眠りにつく直前に見た、流星群の映像だった。

「……まさか、あの動画が原因で?」

呟いた言葉は、乾いた空気に吸い込まれて消えた。現実を受け止めきれずに、蓮は周囲を見回す。森の奥深くから、鳥の鳴き声のような、獣の咆哮のような、聞き慣れない音が聞こえてくる。

その時、彼の頭の中に、声が響いた。それは、まるで、誰かが直接彼の脳に語りかけているかのようだった。

「ようこそ、異世界へ。貴方には、三回だけ使える『流星雨』という魔法が与えられています。賢く使いなさい。」

声の主は、姿を現さなかった。しかし、蓮は、その声に、奇妙な安心感を感じた。恐ろしい状況であるにも関わらず、妙な落ち着きが彼を支配していた。

まずは、落ち着いて状況を把握しようと、蓮は深呼吸をした。そして、ポケットの中を探ると、スマートフォンがあった。信じられないことに、電源は入っていた。GPSは機能せず、電波も全く入らない。しかし、画面には、謎のアプリが一つ表示されていた。「異世界観光案内」と名付けられたそのアプリは、まるでこの状況を予測していたかのように、異世界の地図と、基本的な情報が表示されていた。

アプリに従い、蓮は森の中を進む。道なき道を進むこと数時間、彼は小さな村にたどり着いた。村人たちは、彼を奇妙な目で見てきたが、特に敵意は感じなかった。

「あなたは、どこから来たのですか?」

一人の老人が、ゆっくりと蓮に話しかけてきた。蓮は、自分が異世界に転移したことを、ありのままに説明した。最初は驚いていた老人も、やがて落ち着いた様子で、蓮を村に招き入れた。

村での生活は、予想以上に穏やかだった。村人たちは、蓮を暖かく迎え入れ、彼に仕事を与えてくれた。プログラミングの知識を生かし、蓮は村の運営を効率化するためのシステムを構築した。彼の知識は、この時代には珍しく、村人達から感謝された。

数週間が過ぎた頃、蓮は、アプリに表示された「ダンジョン」への挑戦を決意する。アプリの情報によると、ダンジョンには、強力な魔法アイテムや、莫大な財宝が眠っているらしい。三回しか使えない「流星雨」を、ここで使うべきだと考えた。

ダンジョンは、想像をはるかに超える規模だった。迷路のような構造に、次々と現れる魔物たち。蓮は、アプリの情報を頼りに、慎重に進んでいく。そして、ダンジョンの奥深くで、彼は、想像を絶する光景を目撃する。

それは、巨大なクリスタルが輝く空間だった。クリスタルからは、不思議なエネルギーが放出され、周囲の空気を浄化しているようだった。そして、そのクリスタルを守るように、三体の獣娘が立っていた。

狼の耳と尻尾を持つ少女、猫の耳と尻尾を持つ少女、そして、狐の耳と尻尾を持つ少女。三人は、蓮を警戒しながらも、敵意は示さなかった。

「……貴方は、一体何者ですか?」

狼の耳を持つ少女が、鋭い眼光で蓮を睨みつけた。蓮は、自分の身の上を説明し、彼女たちに協力を求めた。三人は、最初は戸惑っていたが、やがて蓮の誠実さに気づき、協力することに同意した。

三体の獣娘と共に、蓮はダンジョンを攻略していく。強力な魔法と、獣娘たちの戦闘能力によって、次々と魔物を倒していく。そして、ダンジョンの最深部で、彼らは、想像をはるかに超える財宝を発見した。

莫大な金貨、宝石、そして、強力な魔法アイテムの数々。蓮は、それらを全て手に入れた。そして、三回使える「流星雨」の最後の機会が訪れた。

蓮は、この異世界で、本当に観光を楽しむことを決意した。三体の獣娘、そして、これから出会うであろう様々な人々とともに。彼の異世界観光は、今まさに、幕を開けたのだ。
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