異世界ファンタジーまとめ2【短編集】

テタの工房

文字の大きさ
1 / 184

アラサー聖女召喚されましたが、ただの私です

しおりを挟む
28歳の誕生日、ケーキのロウソクを吹き消した瞬間、目の前が白くなった。気がつくと、見慣れない森の中にいた。

「ちょ、ちょっと待って!どういうこと!?」

周りは、映画やゲームでしか見たことのないような、緑豊かな森。空は澄んでいて、鳥のさえずりが聞こえる。…現実じゃない、よね?

突然、キラキラ光る魔法陣が現れ、そこから美しいハーフの少女が現れた。「あなた…聖女様…?」少女は、私を畏怖の念を込めたような目で見ている。

「聖女?私?冗談でしょ!?」

私はただの会社員、佐藤麻衣子(28歳)。特技は、早食いコンテストで優勝した経験と、猫を可愛がること。癒しの力?奇跡の力?そんなもの、持ち合わせていない。

少女の名前は、リリア。彼女は、この国の王女から聖女として召喚されたらしい。…なのに、なぜ私が一緒に召喚されたのかは、さっぱりわからない。

リリアは、私を聖女だと信じているらしく、王宮に連れて行ってくれた。王様は、私の存在に驚きつつも、とりあえず歓迎してくれた。どうやら、聖女の召喚は予言されていたらしいのだが、予言には「金髪の美少女」としか書かれていなかったらしいのだ。黒髪で、ごく普通の顔立ちの私とは、まるで違う。

王宮での生活は、思ったより快適だった。美味しい料理が食べられるし、綺麗な部屋で眠れる。ただ、リリアが私を聖女として崇拝するあまり、身の回りの世話をしすぎるところが少し困りものだった。

「聖女様、お食事です!」
「聖女様、お着替えのお手伝いをさせていただきます!」
「聖女様、おやすみなさいませ…」

毎日、リリアに「聖女様」と呼ばれ続けるのは、ちょっと恥ずかしい。私は何度も「私は聖女じゃない!」と説明したけれど、リリアは「予言に違いない!」と信じ込んでいる。

そんなある日、王宮の騎士隊長である、ハンク副長官と出会った。彼は、凛々しい顔立ちで、とてもイケメンだった。リリアとは違って、私のことを「聖女様」とは呼ばなかった。

「佐藤さん、ですね。王女殿下から、色々とお話を伺いました」

ハンク副長官は、私を冷静に見ている。聖女の力なんて期待していないのがよくわかる。むしろ、私の平凡さを面白がっているような節さえあった。

それからというもの、ハンク副長官とは、よく話すようになった。彼は、王宮の様々な問題や、この国の歴史について教えてくれた。彼の言葉は、いつも的確で、彼の冷静な分析力には感心させられた。

リリアは、ハンク副長官に恋心を抱いているらしい。しかし、ハンク副長官は、リリアの気持ちに気づいていないようで、いつも淡々と接していた。

ある日、ハンク副長官が私を呼び出した。「佐藤さん、王女殿下の気持ち、どう思いますか?」と彼は尋ねた。

私は、リリアの気持ちを理解しつつも、「ハンク副長官は、リリア姫の気持ちに気づいていないようです。少し、鈍感なところもあるかもしれませんね」と答えた。

ハンク副長官は、少し考え込んだ後、「確かに…かもしれません」とつぶやいた。

その後、ハンク副長官は、リリアに対して、より優しく接するようになった。そして、ある日、彼はリリアに、自分の気持ちを告白した。

リリアは、大喜びで、ハンク副長官の腕に飛び込んだ。二人の恋は、王宮中に祝福された。

私は、二人の幸せを心から喜んだ。そして、私は、聖女ではないけれど、この国で、少しずつ、自分の居場所を見つけていくのだった。地味ながらも、充実した日々を送っていた。

いつの間にか、私は、王宮の様々な問題解決に協力するようになり、皆から頼られる存在になっていた。特別な力はないけれど、私の冷静な判断力と、誰にでも分け隔てなく接する姿勢は、人々の信頼を得るのに十分だったのだ。

そして、私は気がついた。私は、聖女ではないけれど、私なりに、この国に貢献できているのだ、と。


そして、28歳になったばかりの普通のOLが、異世界で、平凡ながらも、幸せな日々を送っているのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依
ファンタジー
 氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。  死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。  大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...