異世界ファンタジーまとめ2【短編集】

テタの工房

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黒曜の婚約者

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リンディは、鏡に映る自分の顔にため息をついた。  美しい、とよく言われた顔は、今は青白い。  残された時間は、あと半年。  医師の宣告は、残酷で、そして、あまりにも現実的だった。

すべては、あの忌まわしい日が始まりだった。  王女アリエッタの嫉妬。  濡れ衣を着せられ、処刑台に立つリンディ。  絶望の淵で、祖母からもらった黒曜石の指輪が光った。  そして、彼女は過去に戻っていた。

二度目の生涯。  今回は、両親の再婚を阻止する。  ルーファスとの婚約など、とんでもない!と、彼女は思った。  しかし、運命の歯車は、そう簡単には動かなかった。

再婚を阻止したことで、世界は少し変わっていた。  ルーファスは、相変わらずハンサムで、優しかった。  けれど、以前の彼とは何かが違う。  あの、優しく包み込むような笑顔は、影を潜めていた。  彼の瞳は、冷たく、計算高かった。

結婚後、ルーファスはリンディに冷淡だった。  愛の言葉など、一言もなかった。  まるで、彼女は、彼の所有物、人形のようだった。  彼の愛情は、どこへ消えてしまったのだろうか。  リンディは、胸が締め付けられる思いだった。

「お茶です、旦那様。」

リンディは、震える手で、ルーファスに紅茶を差し出した。  彼は、それを一言も発することなく、受け取った。  その仕草は、冷たかった。  リンディは、彼の冷たい視線に耐えかねて、顔を背けた。

「……何か用ですか?」

彼の声は、低く、冷たい。  まるで、氷の塊が砕けるような音だった。  リンディは、言葉を詰まらせ、涙がこぼれそうになった。

「……あの、夕食は、何を召し上がりますか?」

彼女は、必死に平常心を保とうとした。  しかし、彼の冷たさは、彼女の心を深く傷つけていた。  彼は、以前の優しいルーファスとは、別人だった。  まるで、別人格が憑依したかのようだった。

そんなある日、リンディは、王宮の書庫で、ある古い書物を見つけた。  そこには、黒曜石の指輪の秘密が記されていた。  指輪は、過去に戻す力を持つだけでなく、その人の運命を歪める力も持っていたというのだ。  そして、その歪みは、時と共に、使用者に大きな負担として返ってくる。

つまり、彼女は、過去を変えたことで、ルーファスの心を歪めてしまったのだ。  優しいルーファスは、彼女の行動によって、冷酷な男に変えられてしまった。  そして、その代償として、彼女の寿命は、あと半年しかなかった。

リンディは、絶望した。  しかし、同時に、彼女は、ルーファスへの愛を再確認した。  冷酷になった彼でも、彼女は彼を愛していた。  たとえ、彼が彼女を愛してくれなくても。

彼女は、ルーファスに、過去の出来事、そして、指輪の秘密を打ち明けた。  最初は、彼は信じなかった。  しかし、リンディの涙と、真剣な表情を見て、彼は、徐々に心を許し始めた。

「……だから、私は、あなたを愛している。」

リンディは、彼の冷たい手に、自分の手を重ねた。  彼女の心臓は、激しく鼓動していた。  ルーファスは、何も言わなかった。  しかし、彼の瞳には、微かに、温かみが戻り始めていた。

それから、リンディは、ルーファスを元の彼に戻す方法を探し始めた。  それは、容易なことではなかった。  しかし、彼女は諦めなかった。  彼女は、ルーファスと、過去を取り戻す旅に出た。  それは、長く、険しい旅だった。  しかし、二人は、互いに支え合い、力を合わせて、進んでいった。

そして、ついに、彼らは、成功した。  ルーファスは、元の優しい彼に戻った。  彼の瞳には、再び、温かい光が輝いていた。  そして、彼は、リンディに、愛を誓った。

「リンディ、私は、あなたを愛している。」

彼の言葉は、優しく、温かかった。  リンディは、彼の胸に抱きついた。  彼女は、涙が止まらなかった。  彼女は、ついに、自分の幸せを掴んだのだ。  そして、彼女は知った。  本当の幸せは、過去を変えることではなく、今を、そして、未来を、彼と共に見つめることだと。  黒曜石の指輪は、彼女の指の上で、静かに光っていた。  それは、二人の愛の証だった。
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