短くて怖い話3【短編集】

テタの工房

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破られた婚約と、砕けた人形

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カミラは、透き通るような肌に、金色の髪が太陽の光を浴びて輝いていた。屋敷の広大な庭園で、叔母であるエリザベスの姪、ルイーザと遊んでいた。ルイーザは、カミラより少し年下で、活発で明るい少女だった。

二人は、カミラの宝物である、アンティークのビスクドールで遊んでいた。そのドールは、驚くほど精巧に作られており、まるで本物の赤ちゃんのように見えた。ルイーザは、その美しさに目を奪われ、何度も手に取っては眺めていた。

「わぁ、きれい…」ルイーザは、ため息をついた。

「気に入ってくれた?」カミラは、優しい笑顔で尋ねた。

「うん!すごく!…でも、ちょっと触ってみてもいい?」ルイーザは、少し遠慮がちに尋ねた。

「もちろん、いいわよ。でも、優しくね」カミラは、ドールをルイーザに手渡した。

ルイーザは、慎重にドールを抱きかかえた。しかし、その瞬間、彼女の足元で小さな犬が吠えた。驚いたルイーザは、ドールを落としてしまった。

「キャー!」

割れる音と共に、ドールの腕が綺麗に二つに割れた。ルイーザは、涙を堪えきれずに泣き出した。

「大丈夫よ、ルイーザ」カミラは、ルイーザを優しく抱きしめた。「壊れてしまったのは残念だけど、新しいドールを買えばいいのよ。気にしないで」

カミラは、本当に怒っていなかった。むしろ、ルイーザが怖がっている様子を見て、心を痛めていた。カミラは、ルイーザを慰め、一緒に新しいドールを選ぶことを約束した。

しかし、その夜、カミラは奇妙な夢を見た。夢の中で、彼女は、壊れたドールの断片の中に閉じ込められていた。ドールの冷たい陶器の破片が、彼女の肌を突き刺し、彼女は絶望的な恐怖に襲われた。

それからというもの、カミラは、夜になると、その夢を見るようになった。そして、彼女は、徐々に変わっていった。優しい笑顔は消え、代わりに、冷たく、鋭い視線が宿るようになった。

婚約者であるアルフレッドも、カミラの変化に気づいていた。かつては、優しく、温かかったカミラは、今では、冷淡で、感情のない人間になっていた。アルフレッドは、カミラに何が起こったのか分からず、困惑していた。

ある日、アルフレッドは、カミラが、屋敷の地下室で、何かを隠していることに気づいた。彼は、こっそりと地下室に忍び込み、そこで衝撃的な光景を目撃した。

地下室には、無数のビスクドールが散乱していた。それらは全て、腕や脚が欠けており、中には、完全に粉々に砕けたものもあった。そして、その中心には、カミラが、新しいドールを、ハンマーで叩き壊している姿があった。

「何をしているんだ、カミラ!」アルフレッドは、声を上げた。

カミラは、アルフレッドを見て、冷たい笑みを浮かべた。「あなたも、この人形と同じ運命を辿るわ」

その瞬間、カミラは、ハンマーをアルフレッドに向けた。アルフレッドは、必死に逃げ出した。カミラは、彼を追い詰めた。

「もう、誰も、私を傷つけられない!」

カミラの目は、狂気に満ちていた。アルフレッドは、恐怖に慄きながら、屋敷から逃げ出した。そして、彼は、カミラとの婚約を破棄した。

カミラは、一人、屋敷に残された。彼女は、無数の壊れたドールの傍らで、虚ろな目で空を見上げていた。彼女の心は、ルイーザが壊したビスクドールのように、完全に砕けてしまったのだ。

それから数年後、その屋敷は、人々の間で「呪われた屋敷」と呼ばれるようになった。夜になると、屋敷の中から、女性の悲鳴が聞こえるという噂が、村中に広まっていた。そして、誰も、その屋敷に近づくことはなかった。  カミラの影は、砕けた人形の断片のように、永遠に屋敷に残り続けた。
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