レーザー刻印式魔法紋様入り耐放射線ガラスコーティングアルミナCMCアルミナエアロゾルホウ素浸透コルク複合鎧

えびまよ

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その先

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5名の志願者たちは、増加耐性装備をパージし、疲労と砂埃にまみれながらも前進を続ける。視界にようやく、砂塵の向こうに整った道らしきものが見えた。明らかに人工的に整えられた街道である。

「行こう。この道が続く先に街があるはずだ」
志賀蓮が冷静に声をかける。

高城みずきは短く頷き、手にした槍を軽く振る。藤原大樹は装備の重さを感じながらも、先頭を進む海翔の背を守るように歩く。村上彩花は周囲の地形と植物を観察し、街が安全に入れるかを確認する。

光の輪は上空で静かに光を噴き出しているが、この道に沿って進む限り、街の人工物が視界を遮り、魔力の奔流はそれほど直撃してこない。

「……あれだ」村上彩花が指差す。砂塵の向こうに、建物の屋根と煙突らしきものが見える。街である。廃墟か生存者がいるのかは不明だ。

鈴木海翔が前に出て声をかける。「一応、警戒しながら進もう。資源も確認できるはずだ」

志願者たちは慎重に、しかし確実に街に近づく。光の輪からの魔力が遠くても感じられる中、これから彼らが直面するのは未知の環境と、核から放たれる魔力がもたらす影響である。
--

街へと入った5人は、警戒しつつも周囲の様子を観察した。建物は木造で、瓦屋根の家々が並び、路地には土煙が舞う。露店らしき店や、着物姿の人々が行き交っている。

「……日本、か? いや……戦国時代……?」
藤原が思わずつぶやいた。

その声に反応するように、通りの人々が彼らを見る。鎧ではない金属装備、見慣れぬ布地と光沢。明らかに異質な存在だった。

子どもが指を差し、「あの人たち、光ってる!」と叫ぶ。人々の視線が一斉に集まり、次第にざわめきが広がる。

志賀蓮は両手を見せ、敵意がないことを示す。「俺たちは敵じゃない。話がしたい」

幸い、言葉は通じた。通訳もなく、彼らの日本語が相手に伝わっている。
「……やはり、宇宙が言っていた通りだ。ここはパラレルワールドなんだな」蓮が小声で言う。

一人の侍風の男が前に出てくる。鎧を着込み、腰に刀を差したその姿は、まさに歴史書で見る戦国武者そのものだ。
「おぬしたちは何者だ? 天より落ちた光の民か?」

高城みずきが一歩前に出る。「私たちは遠くの国から来た。害意はないわ。あの光の輪――あれについて話をしたい」

侍は眉をひそめ、空を見上げる。そこには確かに、天を覆うような巨大な光輪が渦を巻いていた。
「……あれは“天の咎(とが)”と呼ばれておる。あの輪が現れてから、魔物が増え、畑が枯れるようになった」

藤原は息を呑んだ。「つまり、地球と同じ現象が……」

人々は不安と恐怖を抱きながらも、異国の来訪者である5人を神使のように扱い始める。街の長老が彼らを屋敷に招き、事情を尋ねる。

だが、蓮たちはこの世界の“魔力の無い世界が魔力化していく過程”を目前にし、理解する。
――世界間転移とは、すなわち“光の輪”を呼び起こし、世界の構造を書き換える行為なのだ。

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