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本懐
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病院の庭に設置された時計の針が11時30分を
指すと、付近に設置された防災無線から
エーデルワイスが流れた。
流れ終わる間際、一匹の白い小鳥が
大きな金木犀の木の下に舞い降り、
チュン と力強く一声鳴いた。
その声が聞こえてすぐ、
『カスミ!』と叫ぶ男女の声が重なった。
病院を向いている向きで例えるならば、
金木犀の木の顔側からは女の子が、
後頭部側からは男の子が、驚いたような顔で
小鳥のいる左耳側へ男女がゆっくり歩いてくる。
少し間を置いて、カードケースを持った男の子が
緊張しながら口を開いた。
茅秋「あの…人違いだったらごめんなさい。もしかして楓ちゃんですか…?」
声をかけられた彼女は一瞬にして頬を赤く染め、
目を潤ませながら一度頷き、間を置いて
3回連続で頷いてこう言った。
楓「はい、永月楓といいます。茅秋くん…だよね?」
彼女からの返事を聞き、彼は震える手を
ぎゅっと掴みながら
茅秋「暁山茅秋です。楓ちゃん、ずっと会いたかった。」
そう言うと、2人は見つめ合い、時々お互い
恥ずかしさで視線をずらし、また見つめ合った。
そして同時に
『初めまして』と言い、
茅秋が差し出した手を、楓がぎゅっと握った。
脇にいる小鳥、カスミは
二人の様子を見てまるで喜んでいるかのように
ホッピングしていた。
ねぇ、あの日から
全ての景色が真っ白に見えていた私。
今はきっと、
もしもあの日事故に遭っていなければ
あの空を撮っていなければって、
ずっとずっと考えていると思う。
でもね、
事故に遭ってなかったら出会えていなかった、
あの空を撮った自分を褒めてあげたくなる
そう思える人に出会える未来が待っていたよ。
あの後私、頑張ったんだ。
だから大丈夫。
今はゆっくり休んでいてね。
あとね
窓から見える、名前がわからない大きな木は
金木犀だったんだよ。
大好きでしょ?
花が咲いたら、窓を開けてもらってみて。
素敵な香りを連れて、
白い小鳥がやってくるから。
必ず来るから待っていてね。
金木犀の咲く頃にしか来ない、
小さくて賢い、
不思議な鳥が。
指すと、付近に設置された防災無線から
エーデルワイスが流れた。
流れ終わる間際、一匹の白い小鳥が
大きな金木犀の木の下に舞い降り、
チュン と力強く一声鳴いた。
その声が聞こえてすぐ、
『カスミ!』と叫ぶ男女の声が重なった。
病院を向いている向きで例えるならば、
金木犀の木の顔側からは女の子が、
後頭部側からは男の子が、驚いたような顔で
小鳥のいる左耳側へ男女がゆっくり歩いてくる。
少し間を置いて、カードケースを持った男の子が
緊張しながら口を開いた。
茅秋「あの…人違いだったらごめんなさい。もしかして楓ちゃんですか…?」
声をかけられた彼女は一瞬にして頬を赤く染め、
目を潤ませながら一度頷き、間を置いて
3回連続で頷いてこう言った。
楓「はい、永月楓といいます。茅秋くん…だよね?」
彼女からの返事を聞き、彼は震える手を
ぎゅっと掴みながら
茅秋「暁山茅秋です。楓ちゃん、ずっと会いたかった。」
そう言うと、2人は見つめ合い、時々お互い
恥ずかしさで視線をずらし、また見つめ合った。
そして同時に
『初めまして』と言い、
茅秋が差し出した手を、楓がぎゅっと握った。
脇にいる小鳥、カスミは
二人の様子を見てまるで喜んでいるかのように
ホッピングしていた。
ねぇ、あの日から
全ての景色が真っ白に見えていた私。
今はきっと、
もしもあの日事故に遭っていなければ
あの空を撮っていなければって、
ずっとずっと考えていると思う。
でもね、
事故に遭ってなかったら出会えていなかった、
あの空を撮った自分を褒めてあげたくなる
そう思える人に出会える未来が待っていたよ。
あの後私、頑張ったんだ。
だから大丈夫。
今はゆっくり休んでいてね。
あとね
窓から見える、名前がわからない大きな木は
金木犀だったんだよ。
大好きでしょ?
花が咲いたら、窓を開けてもらってみて。
素敵な香りを連れて、
白い小鳥がやってくるから。
必ず来るから待っていてね。
金木犀の咲く頃にしか来ない、
小さくて賢い、
不思議な鳥が。
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