18 / 76
2章 決別
18話 決断④
しおりを挟む
ブルー「流石ね…私が負けるなんて。」
レッド「当然だろ。」
ナーダ「レシア、大丈夫?」
レッド「ああ、怪我はしていないよ。」
レッド「ブルー。俺はアサシンを辞めて自力で村の仇を見付け出してやる。」
ブルー「アサシン本部をも敵に回すかもしれないのよ?」
レッド「こうなった以上は仕方ないだろう。それにお前なら知っているだろう。俺の邪魔をするヤツは誰であれ殺す。たとえブルー、お前でもだ。」
ブルー「…知っているわよ。」
レッド「悪いが、今回だけは手を引いてくれないか?まあ最終通告にはなっちまうが。」
ブルー「…私はアサシンなの、アンタと違ってね。今ここで頷く事なんて出来ないわ。まあ仮にターゲットに逃げられてしまったとしたら別だけど。」
そう言ってブルーは後ろを向いた。どうやら言質はやれないとしても、この場は逃がしてくれるらしい。レッドはナーダの手を取る。
レッド「ナーダ…行くぞ。」
ナーダ「…良いの?」
レッド「良いも悪いも無い。」
レッドとナーダは暗闇に消えて行った。
ブルー「……」
バダグ「ブルー、敗れた様だな。」
ブルー「バダグ、いつから居たの?」
いつの間にかブルーの横にバダグが立っていた。
バダグ「ついさっきだよ。心配で見に来たんだ。」
ブルー「私までもが裏切らないかどうかを?」
バダグ「その心配はしていない。」
ブルー「そう…」
ブルー「レッド、今回は私の負けね。でも次はこうはいかないわ。」
一旦は、レッドの家に戻った。何だかんだ、ブルーが今日再来する事は無いだろう。証拠は無いがそう思った。
レッド「さて…今日はここで休むとして、明日からどうするか?」
ナーダ「レシア、ごめんね。私のせいで…」
レッド「ナーダが謝る事じゃない。俺の方こそ、アサシンをやっていたせいでナーダを危険な目に合わせてしまった。」
ナーダ「それこそレシアが謝る事じゃないよ。」
これで村の手がかりを得る方法は無くなってしまった。アサシンを襲撃して情報を吐かせるのも非現実だろう。いっその事、仇のアサシンを見付ける様にバダグに依頼を出してしまうか?
いや、危険だろう。もし仇が要人だった場合、俺は騙されて殺されてしまう可能性がある。一瞬でもナーダを見殺しにしようと考えた自分の浅はかさに腹が立つ。
ナーダ「そうだ。ハンターに匿ってもらうのはどう?」
レッド「いや、俺はレッド・アサシンだ。今更アサシン辞めましたって言って、誰が信じる?もし信じたとしても俺がハンターを多数殺して来た事は事実だ。誰もが俺をレッド・アサシンとしてしか見ない。」
もしかしたら最初から間違えていたのかもしれない。仮に俺がアサシンではなくハンターに行っていたら…また違う展開が待っていたのかもしれない。
でもこれは物語じゃない。現実なんだ。過ぎた時間は巻き戻す事は出来ない。
ナーダ「シヴァさんなら助けてくれるんじゃないかな?あの時だってレシアにアサシンを辞める様に言っていたし。」
レッド「シヴァか…ハンターのトップなら出来る事もあるかもしれないな。アサシンとハンターの両方に狙われるよりかは良いのかもしれない。」
結果としてアサシンを辞める事になったのは都合が良いだろう。例え一部であってもハンターから狙われる可能性が減るのであれば、言う事は無い。
その日はゆっくり休んだ。何だかんだ、色々あった。疲れも溜まっているし、意外と休めるものだった。
次の日からハンター本部へ向かって移動を開始した。ハンター本部は徒歩で3日…ナーダが居るから5日は掛かるだろう。
現状として、ハンターからすればレッドはまだアサシンだ。いつ襲われるかもしれないと気を張っていたが、別段事件も無く日は過ぎて行った。
そして5日後、やっとハンター本部のある町まで辿り着いた。流石に夜になっていた為、この日は宿に泊まろうとし宿屋を探す。
ナーダ「ここがハンター本部かな?」
レッド「ああ、入り口にハンターの紋章が飾ってある。間違いなくハンター本部だ。って、本部には来た事がなかったのか?」
ナーダ「うん。私が行ったのはあの町のハンター支部だけよ。」
レッド「そうか……ん?」
何やら気配を感じた。複数人の人の気配だ。
レッド「ナーダ、こっちに隠れろ。」
ナーダ「え、どうしたの?」
レッド「何者かがこっちに向かって来ている。喋るな。」
ナーダ「……(コクン)」
明らかに足音を殺してやって来ている。これはおかしい。
暫く様子を伺っていると、隠れた反対方向から数名の男達が現れた。その内の一人は良く見知った顔だった。
レッド(バダグだと?アイツがここに来るなんて…他の奴もアサシンだな。つまりこれは…)
2人のアサシンが表へ出る。
ハンター「ん、何だお前達は?」
アサシン「死んで貰おう。」
ハンター「まさか、アサシンか!?」
ハンター「ハンター本部に攻め入って来るなんて良い度胸だな。」
アサシン「お前には関係の無い事だ。」
ハンター「ここは通さないぞ!」
バダグ「通さない、は通らないぞ。」
ハンター「えっ?」
2人のアサシンに気を向けていたハンターは後ろから来たバダグになす術も無く殺される。もう一人のハンターもそれに気を取られている内に他のアサシンに切られていた。
バダグ「よし、この中にシヴァが居るハズだ。総員全力で当たれ。」
ハンター達「おおっ!」
バダグと他の4人のアサシンは、ハンター本部の中に入っていった。
レッド「当然だろ。」
ナーダ「レシア、大丈夫?」
レッド「ああ、怪我はしていないよ。」
レッド「ブルー。俺はアサシンを辞めて自力で村の仇を見付け出してやる。」
ブルー「アサシン本部をも敵に回すかもしれないのよ?」
レッド「こうなった以上は仕方ないだろう。それにお前なら知っているだろう。俺の邪魔をするヤツは誰であれ殺す。たとえブルー、お前でもだ。」
ブルー「…知っているわよ。」
レッド「悪いが、今回だけは手を引いてくれないか?まあ最終通告にはなっちまうが。」
ブルー「…私はアサシンなの、アンタと違ってね。今ここで頷く事なんて出来ないわ。まあ仮にターゲットに逃げられてしまったとしたら別だけど。」
そう言ってブルーは後ろを向いた。どうやら言質はやれないとしても、この場は逃がしてくれるらしい。レッドはナーダの手を取る。
レッド「ナーダ…行くぞ。」
ナーダ「…良いの?」
レッド「良いも悪いも無い。」
レッドとナーダは暗闇に消えて行った。
ブルー「……」
バダグ「ブルー、敗れた様だな。」
ブルー「バダグ、いつから居たの?」
いつの間にかブルーの横にバダグが立っていた。
バダグ「ついさっきだよ。心配で見に来たんだ。」
ブルー「私までもが裏切らないかどうかを?」
バダグ「その心配はしていない。」
ブルー「そう…」
ブルー「レッド、今回は私の負けね。でも次はこうはいかないわ。」
一旦は、レッドの家に戻った。何だかんだ、ブルーが今日再来する事は無いだろう。証拠は無いがそう思った。
レッド「さて…今日はここで休むとして、明日からどうするか?」
ナーダ「レシア、ごめんね。私のせいで…」
レッド「ナーダが謝る事じゃない。俺の方こそ、アサシンをやっていたせいでナーダを危険な目に合わせてしまった。」
ナーダ「それこそレシアが謝る事じゃないよ。」
これで村の手がかりを得る方法は無くなってしまった。アサシンを襲撃して情報を吐かせるのも非現実だろう。いっその事、仇のアサシンを見付ける様にバダグに依頼を出してしまうか?
いや、危険だろう。もし仇が要人だった場合、俺は騙されて殺されてしまう可能性がある。一瞬でもナーダを見殺しにしようと考えた自分の浅はかさに腹が立つ。
ナーダ「そうだ。ハンターに匿ってもらうのはどう?」
レッド「いや、俺はレッド・アサシンだ。今更アサシン辞めましたって言って、誰が信じる?もし信じたとしても俺がハンターを多数殺して来た事は事実だ。誰もが俺をレッド・アサシンとしてしか見ない。」
もしかしたら最初から間違えていたのかもしれない。仮に俺がアサシンではなくハンターに行っていたら…また違う展開が待っていたのかもしれない。
でもこれは物語じゃない。現実なんだ。過ぎた時間は巻き戻す事は出来ない。
ナーダ「シヴァさんなら助けてくれるんじゃないかな?あの時だってレシアにアサシンを辞める様に言っていたし。」
レッド「シヴァか…ハンターのトップなら出来る事もあるかもしれないな。アサシンとハンターの両方に狙われるよりかは良いのかもしれない。」
結果としてアサシンを辞める事になったのは都合が良いだろう。例え一部であってもハンターから狙われる可能性が減るのであれば、言う事は無い。
その日はゆっくり休んだ。何だかんだ、色々あった。疲れも溜まっているし、意外と休めるものだった。
次の日からハンター本部へ向かって移動を開始した。ハンター本部は徒歩で3日…ナーダが居るから5日は掛かるだろう。
現状として、ハンターからすればレッドはまだアサシンだ。いつ襲われるかもしれないと気を張っていたが、別段事件も無く日は過ぎて行った。
そして5日後、やっとハンター本部のある町まで辿り着いた。流石に夜になっていた為、この日は宿に泊まろうとし宿屋を探す。
ナーダ「ここがハンター本部かな?」
レッド「ああ、入り口にハンターの紋章が飾ってある。間違いなくハンター本部だ。って、本部には来た事がなかったのか?」
ナーダ「うん。私が行ったのはあの町のハンター支部だけよ。」
レッド「そうか……ん?」
何やら気配を感じた。複数人の人の気配だ。
レッド「ナーダ、こっちに隠れろ。」
ナーダ「え、どうしたの?」
レッド「何者かがこっちに向かって来ている。喋るな。」
ナーダ「……(コクン)」
明らかに足音を殺してやって来ている。これはおかしい。
暫く様子を伺っていると、隠れた反対方向から数名の男達が現れた。その内の一人は良く見知った顔だった。
レッド(バダグだと?アイツがここに来るなんて…他の奴もアサシンだな。つまりこれは…)
2人のアサシンが表へ出る。
ハンター「ん、何だお前達は?」
アサシン「死んで貰おう。」
ハンター「まさか、アサシンか!?」
ハンター「ハンター本部に攻め入って来るなんて良い度胸だな。」
アサシン「お前には関係の無い事だ。」
ハンター「ここは通さないぞ!」
バダグ「通さない、は通らないぞ。」
ハンター「えっ?」
2人のアサシンに気を向けていたハンターは後ろから来たバダグになす術も無く殺される。もう一人のハンターもそれに気を取られている内に他のアサシンに切られていた。
バダグ「よし、この中にシヴァが居るハズだ。総員全力で当たれ。」
ハンター達「おおっ!」
バダグと他の4人のアサシンは、ハンター本部の中に入っていった。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる