Red Assassin(完結)

まさきち

文字の大きさ
73 / 76
横話

横話G 続・殺し屋

しおりを挟む
※この横話Gは「57話 ナイトメア」時点の状態でのエピローグです。57話まで読んでいない方は、先にそちらまで本編を読んで頂く事を強くお勧めします。







横話G

続・殺し屋







レシア「ふう、荷造りも終わったしこの部屋ともオサラバだな。」


バダグの説得に成功しバダグが戻るまでアサシン本部に居る事となった。アサシンとハンター、両方に襲われる事が無くなった為、もう少し良い部屋に引っ越しをする事となったレシアは荷造りをしていた。


レシア「新しい部屋ならアサシン本部も近いし、ハンター本部もそこまでは遠くない。広さも今の倍くらいはあるからな。まあ部屋が広くてもそんなにする事も趣味も無いんだけどな。」


あれからアサシンとハンターは互いに歩み寄り、依頼の種類によって請け負う企業を振り分けていた。企業提携みたいな物だろうか。他にも依頼があった場合はまず両方の代表が集まり会議を行う。そこで依頼の判定を行い振り分けも行う。そこらの面倒な部分はブルーとシヴァに任せておけばいい。

例の封印もハンター副本部長を中心とした魔法部隊がシフト制で監視をしている。あれから3か月ほどが経ち、今の所は封印も安定しており問題も無さそうだった。



声「ふふふ…レッド・アサシン見っけ。」
レシア「…え?今なんか声が聞こえた様な。」


気のせいかもしれない。3か月前まではずっと気を張り続けていた。その為色々な事に敏感になってしまっているのかもしれ…


声「ふふふ…しかも1人じゃないか。」
レシア「…やっぱり聞こえるな。誰だ?」




急に部屋に音楽が鳴り響いた。


声「呼ばれて飛び出て…ぶにょにょにょ~ん!」


目の前に霧隠れを開放したクラスタが現れた。


レシア「クラスタ…生きていたのか?」
クラスタ「ふふふ…死ぬかと思ったがな。何とか生き延びていたのだ。確認しなかったお前が悪い。」
レシア「確かに確認はしなかったがもしれないが。それにさっきのぶにょにょにょ~ん、って何だ?」
クラスタ「霧隠れの効果音だ。」


確かに…敢えて言うならば霧隠れの音は、ぶにょにょにょ~んに近いのかもしれない。


レシア「いや、実際に発動しているんだし…態々言う必要も無くね?」
クラスタ「まあ気分と言うヤツだな。」
レシア「それにこの音楽は何なんだ?やけにしんみりした曲だけど。」
クラスタ「BGMというヤツだ。折角の再会なのだからな。」

レシア「それにしてもこの音楽は無いだろう。」
クラスタ「…設定ミスだ。」
レシア「設定して出て来た時点で設定ミスも無いだろう。明らかに狙い撃ちじゃないか。」
クラスタ「気にするな。折角俺を打ち倒したライバルであり強敵(とも)であるレッド・アサシンに会いに来たのだ。」

レシア「誰が強敵(とも)なんだ!怒られるぞ!」
クラスタ「作者の打ち間違いだ。つまり設定ミスだ。」
レシア「作者って何だよ…横話だからってふざけ過ぎだ。とにかくリベンジに来たって事なんだな?」
クラスタ「ふふふ…その通りだ。」

レシア「お前…性格変わったか?初登場時のお前はそんなんじゃ無かったのに。」
クラスタ「それは…設定ミスだ!」


クラスタは刀を振り回して来た。レシアはそれをよけて立て掛けてあったルーンソードを手にする。


レシア「俺が剣を手にするのを簡単に許すとはな。落ちたな、クラスタ。」
クラスタ「ふふふ…流石だとは言っておこう。だが、俺の秘術を見ても同じ事が言えるか?」
レシア「秘術だと?」
クラスタ「そうだ。…必殺・影分身の術!」


クラスタが印を結ぶと、クラスタを中心にいくつものクラスタの影が出現した。


レシア「これは…影?真っ黒なんだが。」
クラスタ「ふふふ…これでお前は本物の俺がどれか分からない。」
レシア「え、いや…全然分かる気がするんだけど。」
クラスタ「ならば見破ってみせい!」


ボケているのか何なのかは分からないが、クラスタと真っ黒い影は同じ動きをしながらレシアに襲い掛かって来た。レシアは遠くから気弾を本体に放つ。そしてクラスタが怯んだ内に近付いて剣で斬り伏せた。


クラスタ「ぐっ、流石だ。よくこの俺の影分身の術を見破った。見事だ…レシアよ。」
レシア「お前がレシアって呼ぶな、気持ち悪い!」
クラスタ「ふふふ…」


クラスタはその場に倒れ込んだ。流石に今度こそ…


レシア「…って、何で普通に立ち上がって来る!?」
クラスタ「ふふふ…甘いな。今の俺は無敵なのだ。」
レシア「どういう事なんだ?」
クラスタ「今の俺は何回やられても蘇る。何故か魂縛りの術が自分に効いてしまってな。」


魂縛り…あれは確か死者を操る忍術だった様な…?



レシア「クラスタ…お前、死んでるんじゃん?」
クラスタ「………本当じゃん!?」
レシア「ってか、よく魂縛りの術を掛ける事が出来たな。死んでから掛けたって事だろ?いや、死ぬ前に掛けれるのか?」
クラスタ「ふふふ…そんな事はどうでも良い。むしろよく分からんし覚えていない。」

レシア「良いのかよ。」
クラスタ「ようはレッド・アサシン。お前を殺せるなら何でも良いのだ。ナーダの居ない今、お前は俺に勝つ事は決して出来んのだ!」
レシア「く…どうすれば。って、また音楽を変えやがったな。何だこの演歌みたいなのは!?」
クラスタ「設定ミスだ!」

レシア「この横話はお前のコーナーなのか?」
クラスタ「ふふふ…それもよく分からん。とにかく俺とエンドレスで戦って貰おう。」
レシア「エ、エンドレスかよ…」




ガチャ


ナーダ「レシア、荷造り終わった?お邪魔しま~す。」
レシア「おお、ナーダ。良い所に来た。」
クラスタ「いや~ん!!!」






横話の間が閉じた。



レシア「…何だ?何を見て来たのか覚えていない。しかしこの汗は尋常じゃないな。」
ルーン「どうしました?」
レシア「ルーン、分からないが凄く嫌な未来を見たのかもしれない。でも覚えていないんだ。」
ルーン「防衛本能かもしれませんね。」

レシア「防衛本能?」
ルーン「人間は自分が耐えられない程の事があった時、記憶を自ら消去してしまう事もあると聞いた事があります。」
レシア「それ程に恐ろしい未来だったのかもしれない。そうか、そうなのかもしれないな。」
ルーン「しかし、貴方がそれほどまでに恐怖するとは…」


レシアは一呼吸おいてから歩き出した。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから

渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。 朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。 「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」 「いや、理不尽!」 初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。 「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」 ※※※ 専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり) ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

処理中です...