聖剣の光Ⅰ（完結）

塔と不思議な石

第21話

ニャン太。


光の精霊がレイスに遣わせた使い魔。実際は属性のない精霊であり、その力は並みの魔物より強い。時が経った今となっては、本当の姿は光の精霊と本人にしか分からない。




ニャン太「ふにゃあーっ！」


ガキィン！


じじいより早く発動するはずだったデスの魔法は、ニャン太の爪で鎌を折られ不発に終わった。


デス「な…そんな馬鹿な！？」


その言葉が終わるかどうかの間にじじいの魔法が発動。


じじい「今だ！　レイ（光の閃光）！」



無数の光の柱がデスを襲う。


ドドドドドド！


デス「ぐおおおっ。」


怯むデス。勿論、これだけで倒せない事は分かっていた。じじいは一気に詰め寄りライト斬りを放つ。


大会でのそれとは違う、確実に敵を切り裂く剣閃。


ザシュ！


その一撃はデスの身体を深く切り裂いた。


デス「そんな…信じられん。」


デスは力なく倒れこむ。

猫が自慢の鎌を折った事に驚く。老人が自分を切り裂いた事に驚く。そして、過去に感じた覚えのある気に驚く。



デス「この気は…この魔力は…まさか、勇者レイスだというのか…！？」

じじい「今頃分かったのか。」
ニャン太「残念だったな。その情報を誰にも伝えられずにお前は滅ぶんだ。」

デス「ふっふっふ…老いてなお、この魔王直属軍のデス様を倒すのか…」
じじい「魔王直属軍？」



もうデスからの返事は無かった。身体の先から順番に消えて行った。



ニャン太「魔王直属軍って言えば、魔王軍の中でもエリートだったな。生き残りの魔物が居たんだな。」
じじい「そう言えば昔、聞いた事があったかも。」
ニャン太「まあじじいは物覚えが悪いから仕方ないよな。」
じじい「いやいや、何年経ったと思ってるんだ。」





デスが立っていた先に宝石が置いてあった。紅く光る手のひらサイズの大きさだ。


じじい「これを守っていたんだろうか？」
ニャン太「魔物が宝石をか？何か特別なものなんだろうか？」

じじい「まあ良く分からんが、記念に貰っておこう。」
ニャン太「高く売れるかな？」
じじい「いやいや、記念だっての。」



ニャン太「にしても今回は危なかったな。」
じじい「確かに…お前の助けが無かったらだいぶやられてた。」
ニャン太「別にじじいは不死だからな。放置しても死にはしなかったんだろうけどな。」
じじい「不死でも怪我はするし、動けなくなる事はあるよ。何より怪我したら次の大会に出れなくなる所だった。」



魔法系との実践練習が足りないな、と思いながらじじいは元の道を戻っていく。


じじい「あ、ランプが切れる…」




帰り道は光の魔法で壁を照らし壊しながらになりそうだった。