聖剣の光Ⅰ(完結)

まさきち

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全国大会

第61話

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ヘンリー「いや、やられたぜ。どうやったらそんなに強くなるんだ?」


蘇生して貰ったヘンリーが近付いてきた。ちゃんと腕も戻ったらしい。


じじい「毎日の鍛錬だな。後は…精霊の加護でも受けるんだな。」
ヘンリー「なんだそりゃ。」



事前の試合でヘンリーの力を見る事が出来ていた為、油断せずに勝てた。何も知らなければ、キルクラッシュをかわす事は出来なかっただろう。全体的に運が良かったのだ。


兵士「レイス選手、おめでとうございます。これは記念のトロフィーとメダルです。あと、副賞として賞金が出ます。」

じじい「有難う。」
ヘンリー「これで世界大会出場は来年までお預けか。」
じじい「まあ、今回は俺に任せておけ。」
ヘンリー「仕方がないか。今年は任せたぜ、優勝してくれよ。」


兵士「レイス選手は来月に行われる世界大会に出場する権利が得られます。」


世界大会…全国大会の優勝者が集う大会だ。つまり各国の一番強い人間が揃って、この世界で一番強い奴を決める大会だ。



じじい「よし、金も入ったし何処かに飯でも行くか。奢ってやるよ。」
ヘンリー「おっ、そうこなくちゃな。」
じじい「じゃあ部屋で汗だけ流してくるわ。30分後にロビーで待ち合わせだ。」




魔法陣で部屋に戻る。次にこの魔法陣を使用すると、受付のあるロビーへ移されるらしい。希望者は今日一日部屋を使用しても良いらしい。


じじい「まあこの部屋に居てもな…」



軽くシャワーを浴びて帰る支度を整える。今回の大会はハードだった。光の精霊の加護を受けた勇者でなければ、普通に敗れていただろう。




ロビーではヘンリーに加えドーンも居た。


ドーン「あ、レイスさん。おめでとうございます。」
じじい「ドーン、有難う。何とか優勝できた。今から飯に行くんだが、お前も来れるか?」
ドーン「一度、国王の護衛で城へ戻ります。それ以降は空いていますので、大丈夫ですよ。」

ヘンリー「じゃあ、城の前にある酒場で良いだろう。」
じじい「分かった。じゃあ先に始めてるぞ。」
ドーン「はい。」






その夜は三人で盛り上がった。疲れもあってじじいとヘンリーは大いに酔い、ドーンは二人を宿へ送り届ける。


ドーン「ケーオは結局姿を現さなかった。しかしいずれ捕まえてやる。」

じじい「ふえっ?」
ドーン「レイスさん、宿に着きましたよ。」
じじい「おお、すまんなぁ。」


じじいはフラフラと部屋に行き、そのまま寝てしまった。






翌日じじいは二日酔いのまま船に乗り、家に戻って行った。家に着く頃には二日酔いは船酔いに変わっていた。



ニャン太「おお、帰ってきたか。大会はどうだったよ?」
じじい「ふっふっふ…これを見やがれってんだ!」


トロフィーとメダルを掲げる。


ニャン太「おお、やりやがったな。流石だな。」
じじい「優勝じゃー!」
ニャン太「あのヘンリーにも勝ったのか。」
じじい「ああ、決勝戦がやつだったぜ。」

ニャン太「へぇ、そう言えばケーオはどうなったんだ?」
じじい「いや、それが奴は居なくてな。」
ニャン太「ふーん。」


そんな会話をしながら荷物を片付ける。

この夜は豪華なお祝いをした。





ニャン太「そう言えば、あの赤い宝石あったじゃん。」
じじい「ああ、そう言えば…何か分かったのか?」
ニャン太「あれは身に着けている者の魔力を増幅させる力があるな。
  その変わり、使用中は命を削られていくデメリットがある魔法のアイテムだ。」
じじい「なにそれこわい。」

ニャン太「まあ、置いておくだけなら問題ねえよ。」
じじい「しかしデスは何の為にこの宝石の所に居たんだろう。
ニャン太「さあな。もしかしたら魔王を復活させようとしていたのかもな。」
じじい「魔法で何とかしようとしていたのかな?
ニャン太「そうかもな。」



じじい「魔王の封印はどうよ?」
ニャン太「…あんまり良くはないな。近いうちに綻びそうだ。」
じじい「今年中に復活ってのは、ありそうなんだな。」
ニャン太「あるな。超高確率だ。」




そんな会話をして宴は終了した。じじいは疲れを癒す為に、数日は休養する事にした。



しかし、身体を休め切らない内に事態は変わるのだった。
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