聖剣の光Ⅰ（完結）

聖剣の光

第102話

ドラゴンは各種攻撃を、上手くつなげてくる。


じじい「ドラゴンって脳筋だと思ってたんだけど…意外と考えて攻撃して来ているな。」
ニャン太「魔王の側近だとしたら、頭の良いヤツなのかもな。」
じじい「言葉は喋らないけどな。」



ドラゴンは爪で攻撃してくる。じじいは先読みでかわし、カウンターのライト斬りで腕を斬り付けた。ドラゴンは怯む事なく、炎を吐いてくる。じじいは炎をかわしながらライトボールを撃つ。

ライトボールはドラゴンの目に命中し、ドラゴンは炎を中断する。


じじい「上手く目に当たったな。」
ニャン太「いや、でも流石ドラゴン。失明まで行ってないのか。」
じじい「目くらましにはなったぜ。」



じじいはドラゴンに近付き、ライト斬りをその身体に放った。


ズシャッ！



ドラゴン「グアオオオッ！」


ドラゴンの胴を切り裂いた。血が迸り、辺りを濡らす。



じじい「やったか！？」
ニャン太「フラグ立てるな。」


様子を伺うじじいに、ドラゴンは炎を吐き出した。聖剣でガードするも完全には防ぎきれない。軽く火傷を受けながら横へ飛び退いた。



じじい「何てタフなやつなんだ…ヒール。」


回復魔法で火傷を回復する。ドラゴンもダメージはあるらしく、動きが鈍ってきている。




じじい「…魔王戦までMPを温存しておきたかったが、仕方ないか。奥義一発で決めた方が、最終的には節約になったかもしれないな。」



そう言うと、じじいは魔力を溜め始めた。

ドラゴンは爪で攻撃してきた。それを先読みでかわし、なるべく近い位置で奥義を発動した。


じじい「奥義・光の一撃！」


聖剣から発せられた眩い光が一気にドラゴンの身体を通り切る。


ドラゴン「グアオオオッ！」


ドラゴンは断末魔をあげながら、爪で攻撃してきた。


じじい「え、まだ生きてるのか。」
ニャン太「断末魔じゃねえじゃん！」


爪を後ろへ飛び退いてかわす。一番決まったのは、どうやらニャン太のツッコミらしい。



じじい「…とは言え、動き回って戦う力は残っていないみたいだな。」


ドラゴンは血に染まりながら、足を擦り近寄って来る。そして大きく息を吸い込んだ。


ニャン太「また凄い炎攻撃だぞ。」
じじい「何だ、その名前は。」


じじいは聖剣を構える。





不意にドラゴンの動きが止まった。ドラゴンの首から腕が生えていた。



じじい「えっ！？　何か生えてますよ？」
ニャン太「ボケてる場合か！」


見間違うはずもない、魔王の腕だった。魔王が後ろからドラゴンの首を貫いていた。

魔王はそのまま腕を横に振りぬいた。ドラゴンの首はそのまま切り裂かれて頭が床に落ちた。



じじい「な、何で？」
魔王「もうこいつに用はない。どのみち、お前に倒されていただろう。」



ドラゴンは消え去り、後には大粒の宝石が残った。こんな魔物でさえ、力の実で形成されていたのだ。



魔王「ドラゴンの時間稼ぎのお陰で、私の力は完全に復活した。その褒美に苦しみから解放してやっただけだ。」
じじい「この悪魔め！」
ニャン太「悪魔じゃなくて魔王だ。」


今のツッコミはダメだな。そう思いながら魔王と距離を取った。



魔王「今こそ、あの時の続きを始めよう。」
じじい「あの時…封印の洞窟か。」

魔王「いや、200年前の決戦だ。」