調律師カノン

茜カナコ

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15.朝食

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 翌日、カノンは目を覚ますとカーテンの隙間からそっと外を見た。
 空は晴れていて、日差しがまぶしいくらいだ。
「おはよう、カノン」
 いつの間にか起きたベンジャミンが、寝ぼけ眼でカノンを見ている。
「おはよう、ベンジャミン。今日は調律魔法の特別授業だね」
「ああ! 調律魔法が見られるなんて……ワクワクするな!」

 カノンとベンジャミンは着替えて食堂に移動した。
 食堂には半分くらいの生徒がすでに席についておしゃべりをしていた。
「ねえねえ、調律魔法って本当かしら?」
「エリス先生が言ってたんだから、本当だと思う」
 生徒たちは今日の午前中に行われる調律魔法の特別授業について、話していた。

「さあ、みなさんお静かに。朝食の時間ですよ」
 アラン先生が、食堂の前側に並べられた教員席から生徒たちに声をかけた。
「今日の授業、楽しみにしてね」
 エリス先生は生徒たちに向かって、ウインクをした。
「カノン、楽しみだな」
「……うん」
 ベンジャミンとカノンは並んで座っていた。生徒たちは食事を終えると、アラン先生とエリス先生の指示で大広間に移動した。

「調律魔法……エリス先生はどんなふうに使うんだろう……?」
 カノンはドキドキしながら。大広間に向かう生徒の列について行った。
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