転生遺族の循環論法

はたたがみ

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第1章 民間伝承研究部編

転生少女と卒業試験4

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「て……テレポーt……!ぐあああああっ!」

 回避も防御も間に合わず、私とコヨ君は爆風をモロに受けてしまいました。

 景色が、思考が、ゆっくりになります。

 たぶん今のは炎魔法ですね。お得意の魔術付与エンチャントを使ったのでしょう。
 どうやら私の顔は上を向いているようですね。空が青いです。そして少しずつ空が高くなっていくこの感じ。逆に言えば私が落ちていっているということですね。あと数秒と待たずに地面に叩きつけられるでしょう。痛いのは……嫌だな。

「リリィ、上だ!」
「はっ……!」

 カール君の声で心を現実に引き戻された私が上を見ると、私より数 mメートルほど上空にリムノさんがふわりと浮き上がっていました。めっちゃ満面の笑みで3本の矢を私に向けながら。

 まさか、わざと起こした爆風で自分を飛ばして上から私を狙おうという魂胆ですか⁉︎

「……!〈超音速メロス〉!」

 私が加速したのと炎魔法の魔術付与エンチャントが3連続で飛んできたのはほぼ同時でした。

「だあああああああああああ!!!!!!」

 1本目、体をひねりつつ〈超音速メロス〉を利用して後ろに回避。
 しかし矢が地面に刺さった途端に爆発が起き、2本目3本目にも引火しました。

 まずい!炎が迫って……

「リリィちゃん!」

 その声は!

 その直後、私の体にが巻きつき、一気に後方へと引っ張られました。

「リリィちゃん、大丈夫かえ?」

 イデシメさんに助けられたようです。

「イデシメさん!そちらこそ大丈夫なんですか?」
「うん!カール君に回復してもろうたき」
「リムノさん、なんて荒技やってんだ!」

「よっと。私だってまだ若いんだからこのくらいの無茶はするわよ」

 再び地面に舞い降りたリムノさんが楽しそうにそう言ってきます。もしかしてリムノさん……やばい人ですか?

「さあて、ラウンド2よ。今度は仲良くかかってきなさい!」

 堂々と立ち弓を引くリムノさん。さっきまであんなに動き回ってたのにあえての真っ向勝負ですか。

「カール君、イデシメさん、リムノさんの妨害を。もう一度私とコヨ君でいきます」
「「分かった」」

「いきます!コヨ君!」
「アウ!」

 〈超音速メロス〉で加速、コヨ君も私についてきます。

「迎え撃つ。魔術付与エンチャント……」

「させるか!土魔法 風塵!」
「矢は、届かせんきっ!」

「くそっ!」

 土埃が舞い上がり、リムノさんを取り囲むことで視界を断絶。加えて張り巡らされた糸が進路を塞ぎます。やはりあの糸を渡しておいてよかった。

〈破壊不可〉
破壊できない。魔力消費なし。

〈絶対装備〉
持ち主が外そうとした時以外は落としたり奪われたりしない。魔力消費なし。

〈硬化〉
硬くなる。敵を切ることも可能。

〈念動〉
持ち主の意思に応じて動く。

 これだけのスキルを持つ武器を扱えるイデシメさんはすごいです。まあ〈破壊不可〉と〈絶対装備〉は私がスキルを付与したものには大抵つけてますが。



「さて……どこから来るつもり?」

 土煙に囲まれながらリムノは機を伺っていた。リリィは必ず来る。東西南北いかなる方向から来ようとも必ず射る。
 風魔法を魔術付与エンチャントしたこの矢ならば、ついでに辺りを漂うこの邪魔な粉塵も払ってくれるだろう。
 物体に魔法の力を授けるこの技にはこれまで幾度となく助けられてきた。

「…………」

 しばしの静寂。そして、動きが起きた。

「……!後ろォ!」

 振り返って矢を射る。発動した風魔法が土煙を薙ぎ払い、1匹のフェンリルが現れた。

「そっちか」
「ガウ!」

 前脚を振り下ろすコヨ。リムノが後ろに跳んで躱した直後、その一撃によって地面が穿たれた。

「なんて威力!あんなの当たったら死……」

 そして気づいた。コヨの派手な大立ち回りが囮である可能性に。

「まさか!」

 気づき、考え、動いて躱す。彼女が1秒以内にそれをやった結果、頭上ぎりぎりを通過していった。2本のヒノキの棒が。

「危なかった……待って、リリィちゃんはどこへ……」

「隙ありィィィィィ!」

 今度は反応出来なかった。二段構えの囮は襲いかかるリリィに気づくのを遅れさせたのだ。

 ヒノキの棒・長剣はリムノが背負っていた矢筒の中身を砕きつつ、彼女が壁に叩きつけられるほどに吹っ飛ばした。
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