This Feeling この想い   

設楽理沙

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第29話 ◇夜這いな るもの

29.


 そんなある日の朝、ゴミ出しに出た時のこと。近所の3人
の奥さんたちが不倫の話題で盛り上がっていた。おつきあ
いもあるが、不倫の2文字を聞いてその場を離れられず
彼女たちの話を聞くともなしに聖は聞いた。

「最近男女共に不倫多いらしいわね。大体夫の不倫の場
合は妻の泣き寝入りが多くて、妻の不倫の場合は夫側か
らの制裁が半端ないらしいわ。大体は親権も取られて文
無しで追い出されるとかね。慰謝料もきっちり取られる
から払えなくて泡嬢あわじょう(ソープで働く)になる奥さんもいる
らしいよ。男の人はさぁ、お金持ってるだけにきっちり
落とし前つけるみたい」

 聖は青い顔をしてその場からそっと立ち去った。どう
しよう! 子供達と引き離されたら!慰謝料は何とか払える
額にしてくれたけれども。だけど夫の気持ちが離婚に傾
いたら、夫も子供も失くしてしまうかもしれない。そう
思い始めると、ずっと頭から離れなくなってしまい、聖
はどうにかなりそうだった。

 そしてまた、自分の仕出かしたことを責めるという無限
ループに嵌っていくのだった。何も言わないと凛太郎と
約束したけど、毎日々聖は凛太郎に南と付き合うのを止
めてほしいと言いたくてたまらなかった。つらかった。
 
 ある休日、久し振りに親子4人で近隣の公園へ出掛け
た。表向き家族として仲良く過ごしてはいるのだけれど……
あれから、夫との間に夫婦生活は一度もなく、ずっとレス
状態が続いていることも聖の大きな不安要素だった。

 言葉であからさまに拒絶されたことはない。南とのことを
知ってから矢も盾もたまらず、産まれて初めて夜這いな
るものをした。もちろん、夫の布団の中にだ。夫は背を
向けてしまい、私に話しかけることも手を伸ばしてくること
もなかった。そんな形ではっきりと拒絶されてしまった
のだった。

 聖は恥ずかしさと情けなさで、その夜は一睡も出来な
かった。



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