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1 ◇詳らかにされた真実
しおりを挟む1 ◇詳らかにされた真実
斉藤准一は遡ること2年3ヶ月ほど前に惚れていた相手、
高橋砂央里と不本意な別れ方をしていた。
◇ ◇ ◇ ◇
会社を設立したばかりの若手社長との面談があり、休日返上で出掛けた日、
仕事が午前中に終わり、ついでに食事もこのまま外で済ませてしまおうと
訪問先近くのカフェに入った。
たまたま斎藤が入った店は、入り口に続く壁の側面が上部3分の2ほどが
ガラス張りになっていて、ドアに致っては白い木枠で囲ってあるものの、
一面ガラス張りの造りになっていた。
斎藤は入ってドアから左手にあるテーブル席の椅子に
腰かけ外に向かって座る格好になった。
ひとりの時、大抵こういう感じの店に入ると外が見える席に着くことが多い。
なんとなく、気晴らしができるのがいいからだ。
今回そういった習性を今までのように喜こぶべきか、果たして……。
そう思わせるような 微妙なラインの出来事が斎藤の身の上に起きた。
もうメニューも届いて食べはじめたときのこと。
何度かめに前方に顔を向けた時、見知った顔の男が……
向こうから友人と何やら話しながら歩いてくるのが見えた。
忘れもしないその男、山本を見て苦い思い出が蘇えった。
斎藤は食べる動作と共に俯いた。
入り口から遠く右方に離れた席に行けっ、と念じながら。
しかし、その願いは届かなかった。
山本は斉藤に気がつかないまま、後ろのテーブル席に
背を向けた形で座ることになった。
1-2.
山本は俺の真後ろに座ったみたいで特別大きな声で話しているわけではないが、
滑舌が良いのと元々よく通る声質なのか耳を澄ましていると話している内容が
普通に聞こえてくる。
俺は山本とその連れとの会話をBGM代わりにそのまま遅い昼食を堪能した。
あの頃25才だった彼は27才になっているはずで、聞くところによると
会話の内容から結婚が決まったようだった。
相手は誰なのだろう?
そう自分に向けて問い掛けながら知りたくもないっ、と思う自分がいた。
自分の予想しうる相手の可能性が高いからだ。
早く食事を終わらせてこの場を去ろう、そう考え食事を摂る速度を上げた。
だが、その予想は覆された。
自分の知らなかった事実が山本の口から紡ぎ出されたからだ。
知らなかった事実、間違って認識していた事実がそこにはあった。
今更、真実が明らかになったからといってなんだというのだ!
この2年間が返ってくるわけではないのだ。
もはや、何を食べているのか味覚も感じられず、その味覚のなくなった舌にも
心にも、ザラついた砂が纏わり付くように感じるばかりだった。
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