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57 ◇腹の探り合い
57 ◇腹の探り合い
昼過ぎに蒼馬家の辺りに行くと、ちょうど上手い具合にお隣さんが
布団を干しに庭先へ出ていた。
調査員からすると、なんという幸運。
ここでシロ判定が下せれば、すぐに帰社して依頼人を喜ばせたいと思うのだった。
「すみません。少しお隣のことでお話を聞かせてもらってもよろしいでしょうか?」
「どなた?」
「失礼しました。わたくし、こういう者です」
調査員は、名刺をスーツの内ポケットより差し出した。
「もしかして――――お見合いとか結婚とかの身上調査とかですか?」
蒼馬家の隣に住む初出美智子は、名刺を見るなりそんな風に訊いてきた。
「はぁ、まぁそういうことになります」
美智子は名刺を見るなり、閃いた。
隣の旦那のことだな、と。
「蒼馬さんの奥さんとはお親しいのでしょうか?」
「ええ、そうね。子供も同級生の子がいるし、ずっと仲良くしてましたよ。
奥さんが出ていくまで」
「えっ、奥さん、出ていったんですか? 離婚されて?」
「さぁ、そこまでは知りませんけど……」
「原因、ご存じでしょうか?」
「ここまで調べにこられてるのだから、お宅のほうがよく
ご存じなんじゃないですか?」
美智子のこのような言い草に調査員は、なかなか手強い人だなと思うのだった。
この目の前の女性は、理由を知らないのか?
それとも薄々知りながら自分をおちょくるような物言いをしているのか?
ちょうどこの時、どちらも相手の出方を探っているような按配となる。
昼過ぎに蒼馬家の辺りに行くと、ちょうど上手い具合にお隣さんが
布団を干しに庭先へ出ていた。
調査員からすると、なんという幸運。
ここでシロ判定が下せれば、すぐに帰社して依頼人を喜ばせたいと思うのだった。
「すみません。少しお隣のことでお話を聞かせてもらってもよろしいでしょうか?」
「どなた?」
「失礼しました。わたくし、こういう者です」
調査員は、名刺をスーツの内ポケットより差し出した。
「もしかして――――お見合いとか結婚とかの身上調査とかですか?」
蒼馬家の隣に住む初出美智子は、名刺を見るなりそんな風に訊いてきた。
「はぁ、まぁそういうことになります」
美智子は名刺を見るなり、閃いた。
隣の旦那のことだな、と。
「蒼馬さんの奥さんとはお親しいのでしょうか?」
「ええ、そうね。子供も同級生の子がいるし、ずっと仲良くしてましたよ。
奥さんが出ていくまで」
「えっ、奥さん、出ていったんですか? 離婚されて?」
「さぁ、そこまでは知りませんけど……」
「原因、ご存じでしょうか?」
「ここまで調べにこられてるのだから、お宅のほうがよく
ご存じなんじゃないですか?」
美智子のこのような言い草に調査員は、なかなか手強い人だなと思うのだった。
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ちょうどこの時、どちらも相手の出方を探っているような按配となる。
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