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告白の結果は……
しおりを挟む俺も心臓を槍で突き刺されたような気がするくらいに痛くて苦しい。それに耐えつつ、話を続ける。
「元々さ、体を鍛えるためにジムへ通おうと思って狩刈ジムを訪れたんだよ。結果的にそれは勘違いだったんだけど、そのおかげで福夜さんやみんなと出会えた」
「うん……」
「でも常連さんたちと遊ぶのが主体になっちゃって、それとケーキやお菓子ばかり食べてるから筋肉よりも脂肪が付いちゃって。だからこのままじゃいけないなぁと思って」
「それなら甘くないお菓子を用意し――」
「たくさん食べたら意味ないから。それに太った姿を福夜さんに見せるの、恥ずかしいし」
俺は福夜さんの言葉を強引に遮る形で言い放った。すると福夜さんは俺の腕を掴み、柳眉を逆立てながら堰を切ったように想いを吐露する。
「そんなの私は気にしてないっ! 太っていようが痩せていようが、向井くんは向井くんだよ! むしろ太っていてくれた方が、ほかの女の子が寄ってこなくて私は安心だしっ!」
「っ? それ、どういう意味?」
俺が目を丸くしていると、福夜さんは小さく息を呑んで視線を逸らしてしまった。そのままばつが悪そうな顔をして少し沈黙する。
「……えっと……その……向井くんがほかの女の子と仲良さそうにしている姿を見たくないって言うか、そういうことを想像するだけでも嫌というか……」
ポツリと呟く福夜さん。その頬は心なしか赤く染まっているような気がする。だってすでに夕陽は山の向こうへ全て沈んで、辺りは薄暗くなり始めているから。きっと光のせいじゃない。
それを悟った瞬間、俺はある決意をする。福夜さんの目をしっかり見つめながら一世一代の勝負に出ることにする。
なんか誰かの目をこうして真っ直ぐに見つめるのなんて初めてかもしれない。
「ゴメン! 前言撤回。男が一度口にした言葉を、しかも即座に取り消すなんて格好悪いと思うけど、やっぱりこれからも狩刈ジムに通ってお菓子をご馳走になることにするよ」
「えっ? どうして急に?」
「あそこで過ごす時間は楽しいし、これからも福夜さんのお菓子が食べたいから。……でもさ……太ってるとやっぱ彼女とか作りにくいと思うんだよね。それってちょっと嫌だなぁって思う面もある。だからさ……」
「…………」
「もし良かったら……俺と付き合ってください。それなら安心して福夜さんの作ったお菓子をたくさん食べられるし」
頭も体も全体が燃えるように熱くて、心臓は爆発寸前といったくらいに大きく脈動している。頭の中は真っ白だ。
今さらだけど、なんでこんなことをしたのか分からない。勢いというか雰囲気というのは、時として地球すらもひっくり返すくらいの力があるもんだと思い知らされる。
当たり前だけど、福夜さんは突然のことに驚いて呆然としたまま。俺自身だって自分の行動に驚いているくらいなんだから当然だけど。
「どうかな? 彼女になってくれる?」
「……うんっ! もちろんっ! これからもよろしくねっ!」
その時の福夜さんの笑顔は最高に輝いて見えた。
(おしまいっ!)
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