1 / 194
1解雇されました
しおりを挟む
「お前は今日でクビだ。」
トルステ王国は魔石、宝石が特産でそれを宝飾品に加工する技術者は宝飾師と呼ばれて一定の地位を得られる。宝石の研磨、カット、台座の作成全て1人でできて1人前。魔石は貴族に尊ばれ、宝石は平民に好まれる。
この国では平民から貴族に至るまで王国立学園で魔力の扱い、読み書きを学び、加護の庭と呼ばれる場所で魔力、属性、名前を登録されてトルステの国民として認められる。そして加護の庭で1つ自分だけの石が与えられる。魔石にも宝石にも見える石は神からの恩寵、エイスと名付けられ武器にも何にでもなる不思議な石。常にみにつけ身分証となる。
エイスで宝石加工は簡単ではない。どちらかというとかなり難しい。手先の技術だけでなく魔力操作も求められるからだ。だから認定されるだけで職人でもある。が、勤め先の工房で代替わりをして跡を継いだボンクラに今やめろと言われた。
「…分かりました。本日分までの給金はきっちりお支払いください!!」
「女の宝飾師なんていらんさっさと出ろ。」
二束三文を投げつけられた。この野郎。お金投げるなよ。お金は悪くないと拾って飛び出た。その足でミカエラ・フィルが向かったのは商業ギルド。宝飾師は特殊技能の為勤め先がきっちり管理されている。
「ミカエラさんどうしました?」
「工房をクビになったので相談に来ました。」
工房をクビ。と言うだけではないがギルドがザワザワと騒がしくなった。
「マルセル工房ですよね??どうしたのですか??」
「女の宝飾師は不要だと二束三文を投げつけられたので出てきました。マルセル工房からの除名手続きをお願いします。」
「は、はい!」
「それとカット技法の権利も抜いて私個人に移動もお願いします。」
宝飾師の技術であるカットの方法は1度貴族に受け入れられたら模倣されることが多く申告されることは少ない。ギルドで貴族へ販売する宝石は鑑定書と共に誰がオリジナルの技法なのかも見極めて模倣の割合に応じて利益配分を受けることが出来る。技量があっても立場の弱い職人を護る為のギルドの法に近い。
「ミカエラ、次決まってないなら家の工房どうだ???マルセルの倍出す!!」
「コッチは三倍だす!!」
工房の親方職達からの勧誘…基準がマルセル工房なんだよなぁ。前の親方にお世話になっていたから昇給も経営が圧迫しない程度で良いよって言っていたからなのか。全く惹かれない。
「ミカエラさん!取り敢えずこっちに!!!」
職員に手を引かれて商業ギルドの会議室に放り込まれた。ギルド長のファルハス伯爵や権利関係、事務方のドンと陰口叩かれているミランダ子爵夫人がニコニコとしていた。
「ミカエラ・フィル何故マルセルをクビになったんだ?」
「今日顔を出したらクビだと言われて未払い給料よこせと言ったら銅貨数枚投げつけられたので。私に聞かないでください。」
「ミカちゃん念の為に聞くけど未練とかは?」
「全然。何ですかさっきの勧誘。しかも全部マルセル給料基準だなんて。」
椅子に座るように手で示されたのでお言葉に甘えて座らせてもらう。
「ミカちゃんはどうしたい?」
「取り敢えず家に工房の機材もありますからしばらく1人でいいです。権利関係で死にはしない程度のお金は入りますし。」
「そうよね、ミカちゃんのカットデザイン、技法は使用料払いの収入がほとんどですものね。仕入れは商業ギルドや冒険者ギルドになるわね。」
「マルセルも斜陽か…」
技術登録は工房のものではなく個人のもの。これが本当に大きい。工房に入っていたらその使用料は入ってこないが、よその工房の技術を使うならお金を支払う必要がある。つまりマルセル工房の職人は私の登録した物は全て今後お金が発生する。販売価格を上げるのか利益を削るのかは知らないが。
下請けとして金銭で依頼するか権利料を払うかは自由に選べる。
「あら、ギルド長元々マルセル工房は代替わりしてから傾いてたじゃないですか。ミカちゃんのお陰で顧客がいたくらいで。」
私何もしてないんだけどなー。
取り敢えず1人で経営する小さな工房ということで家兼店舗として登録。お金は昔から貯めていたお金もあるし、自分で練習や試作がしたくて王都の小さな家と加工機材を買っている。工房と居住は分けているから問題ない。但し費用はギルドに借金をして返済しながらである。
「円満退職おめでとうミカちゃん。」
ずっとミランダにはミカちゃんと呼ばれ続けている。ミカちゃんという歳ではない!!!
「ミランダさんいつまでミカちゃんなのでしょう。」
「お気に入りには渾名を付けるのが私のやり方よ。」
何したかな。私。ミカエラは手続きを終えると表から出ると勧誘に捕まってしまうからと言われて裏口から出る。
円満退職なのだろうか。こじれてないから円満でいいのかな?
さてと、あの低賃金工房とはサヨナラしたし、技術も機材も揃った。好きな作品作るぞー!!!!!
トルステ王国は魔石、宝石が特産でそれを宝飾品に加工する技術者は宝飾師と呼ばれて一定の地位を得られる。宝石の研磨、カット、台座の作成全て1人でできて1人前。魔石は貴族に尊ばれ、宝石は平民に好まれる。
この国では平民から貴族に至るまで王国立学園で魔力の扱い、読み書きを学び、加護の庭と呼ばれる場所で魔力、属性、名前を登録されてトルステの国民として認められる。そして加護の庭で1つ自分だけの石が与えられる。魔石にも宝石にも見える石は神からの恩寵、エイスと名付けられ武器にも何にでもなる不思議な石。常にみにつけ身分証となる。
エイスで宝石加工は簡単ではない。どちらかというとかなり難しい。手先の技術だけでなく魔力操作も求められるからだ。だから認定されるだけで職人でもある。が、勤め先の工房で代替わりをして跡を継いだボンクラに今やめろと言われた。
「…分かりました。本日分までの給金はきっちりお支払いください!!」
「女の宝飾師なんていらんさっさと出ろ。」
二束三文を投げつけられた。この野郎。お金投げるなよ。お金は悪くないと拾って飛び出た。その足でミカエラ・フィルが向かったのは商業ギルド。宝飾師は特殊技能の為勤め先がきっちり管理されている。
「ミカエラさんどうしました?」
「工房をクビになったので相談に来ました。」
工房をクビ。と言うだけではないがギルドがザワザワと騒がしくなった。
「マルセル工房ですよね??どうしたのですか??」
「女の宝飾師は不要だと二束三文を投げつけられたので出てきました。マルセル工房からの除名手続きをお願いします。」
「は、はい!」
「それとカット技法の権利も抜いて私個人に移動もお願いします。」
宝飾師の技術であるカットの方法は1度貴族に受け入れられたら模倣されることが多く申告されることは少ない。ギルドで貴族へ販売する宝石は鑑定書と共に誰がオリジナルの技法なのかも見極めて模倣の割合に応じて利益配分を受けることが出来る。技量があっても立場の弱い職人を護る為のギルドの法に近い。
「ミカエラ、次決まってないなら家の工房どうだ???マルセルの倍出す!!」
「コッチは三倍だす!!」
工房の親方職達からの勧誘…基準がマルセル工房なんだよなぁ。前の親方にお世話になっていたから昇給も経営が圧迫しない程度で良いよって言っていたからなのか。全く惹かれない。
「ミカエラさん!取り敢えずこっちに!!!」
職員に手を引かれて商業ギルドの会議室に放り込まれた。ギルド長のファルハス伯爵や権利関係、事務方のドンと陰口叩かれているミランダ子爵夫人がニコニコとしていた。
「ミカエラ・フィル何故マルセルをクビになったんだ?」
「今日顔を出したらクビだと言われて未払い給料よこせと言ったら銅貨数枚投げつけられたので。私に聞かないでください。」
「ミカちゃん念の為に聞くけど未練とかは?」
「全然。何ですかさっきの勧誘。しかも全部マルセル給料基準だなんて。」
椅子に座るように手で示されたのでお言葉に甘えて座らせてもらう。
「ミカちゃんはどうしたい?」
「取り敢えず家に工房の機材もありますからしばらく1人でいいです。権利関係で死にはしない程度のお金は入りますし。」
「そうよね、ミカちゃんのカットデザイン、技法は使用料払いの収入がほとんどですものね。仕入れは商業ギルドや冒険者ギルドになるわね。」
「マルセルも斜陽か…」
技術登録は工房のものではなく個人のもの。これが本当に大きい。工房に入っていたらその使用料は入ってこないが、よその工房の技術を使うならお金を支払う必要がある。つまりマルセル工房の職人は私の登録した物は全て今後お金が発生する。販売価格を上げるのか利益を削るのかは知らないが。
下請けとして金銭で依頼するか権利料を払うかは自由に選べる。
「あら、ギルド長元々マルセル工房は代替わりしてから傾いてたじゃないですか。ミカちゃんのお陰で顧客がいたくらいで。」
私何もしてないんだけどなー。
取り敢えず1人で経営する小さな工房ということで家兼店舗として登録。お金は昔から貯めていたお金もあるし、自分で練習や試作がしたくて王都の小さな家と加工機材を買っている。工房と居住は分けているから問題ない。但し費用はギルドに借金をして返済しながらである。
「円満退職おめでとうミカちゃん。」
ずっとミランダにはミカちゃんと呼ばれ続けている。ミカちゃんという歳ではない!!!
「ミランダさんいつまでミカちゃんなのでしょう。」
「お気に入りには渾名を付けるのが私のやり方よ。」
何したかな。私。ミカエラは手続きを終えると表から出ると勧誘に捕まってしまうからと言われて裏口から出る。
円満退職なのだろうか。こじれてないから円満でいいのかな?
さてと、あの低賃金工房とはサヨナラしたし、技術も機材も揃った。好きな作品作るぞー!!!!!
0
あなたにおすすめの小説
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】私は聖女の代用品だったらしい
雨雲レーダー
恋愛
異世界に聖女として召喚された紗月。
元の世界に帰る方法を探してくれるというリュミナス王国の王であるアレクの言葉を信じて、聖女として頑張ろうと決意するが、ある日大学の後輩でもあった天音が真の聖女として召喚されてから全てが変わりはじめ、ついには身に覚えのない罪で荒野に置き去りにされてしまう。
絶望の中で手を差し伸べたのは、隣国グランツ帝国の冷酷な皇帝マティアスだった。
「俺のものになれ」
突然の言葉に唖然とするものの、行く場所も帰る場所もない紗月はしぶしぶ着いて行くことに。
だけど帝国での生活は意外と楽しくて、マティアスもそんなにイヤなやつじゃないのかも?
捨てられた聖女と孤高の皇帝が絆を深めていく一方で、リュミナス王国では次々と異変がおこっていた。
・完結まで予約投稿済みです。
・1日3回更新(7時・12時・18時)
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
王家を追放された落ちこぼれ聖女は、小さな村で鍛冶屋の妻候補になります
cotonoha garden
恋愛
「聖女失格です。王家にも国にも、あなたはもう必要ありません」——そう告げられた日、リーネは王女でいることさえ許されなくなりました。
聖女としても王女としても半人前。婚約者の王太子には冷たく切り捨てられ、居場所を失った彼女がたどり着いたのは、森と鉄の匂いが混ざる辺境の小さな村。
そこで出会ったのは、無骨で無口なくせに、さりげなく怪我の手当てをしてくれる鍛冶屋ユリウス。
村の事情から「書類上の仮妻」として迎えられたリーネは、鍛冶場の雑用や村人の看病をこなしながら、少しずつ「誰かに必要とされる感覚」を取り戻していきます。
かつては「落ちこぼれ聖女」とさげすまれた力が、今度は村の子どもたちの笑顔を守るために使われる。
そんな新しい日々の中で、ぶっきらぼうな鍛冶屋の優しさや、村人たちのさりげない気遣いが、冷え切っていたリーネの心をゆっくりと溶かしていきます。
やがて、国難を前に王都から使者が訪れ、「再び聖女として戻ってこい」と告げられたとき——
リーネが選ぶのは、きらびやかな王宮か、それとも鉄音の響く小さな家か。
理不尽な追放と婚約破棄から始まる物語は、
「大切にされなかった記憶」を持つ読者に寄り添いながら、
自分で選び取った居場所と、静かであたたかな愛へとたどり着く物語です。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる