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4 苦手なものを克服しよう!(私からのエールを込めて)
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「じゃあ、今食べたのはコレじゃないとか?」
そう言って恐る恐る、もう一口食べた。そして「同じだ」と呟く。
「意外とおいしいでしょ?」
「俺さ、もっとキノコってぐにょぐにょしてて、変な匂いがしてマズイものだと思ってたんだけど……すごい良い匂いするんだね」
彼はさらに食べ進めていく。あっという間に一膳食べ尽くし、そして空になったお茶碗を私に見せて「お替り、ある?」と控えめに聞いてきた。笑みの止まらない私は、今度は大盛にして彼に差し出した。
「これで、キラモニッ☆の企画も大丈夫かな?」
「……悔しいけど、たぶん。あー、俺、キノコ食えたんだ」
「知らなかっただけで、きっと苦手だった味は克服できていたんだよ」
子どもの頃の苦手意識がきっと克服する気持ちを妨げていたんだ。一度そのハードルを越えると、彼はどんどんと前に進んでいってしまう。その背中こそ、きっとファンの皆が一番見たいものだ。
「ねえ、何でここまでしてくれるの?」
結局3杯もお替りをした湊人君は「ごちそうさま」と言った後、そう口を開いた。
「どうしてって……KOTA君とYOSUKE君に頼まれたから……」
「アンタって、ホント人が良いよな」
「それに、私もMINATO君のファンだからかな」
「はぁ? なにそれ?」
キラキラと輝く姿を一番見たいのは、きっと私だ。
「私、あの家を出たけどまだまだネガティブな事ばっかり言ってて、友達に気分転換にって渡されたのが、Oceansが載っている雑誌だったの」
アイドルが好きだったけれど遠ざかっていた私のために優奈が用意してくれた一冊、そこで、私は彼らに出会った。自信にあふれるその姿、巧みなダンス。そして何より、MINATOの歌声が私の心を強く揺さぶった。それは、私が今を生きているという証だった。
「だから、MINATO君には誰よりもキラキラ光って、頑張って欲しいって思って……私ができる応援って、テレビを君のことを見ることとご飯を作ることだけだから。それにね」
「……うん」
「湊人君が美味しそうにご飯食べてくれるところ、見るのが好きなの。見てると、良かったなって安心できるし……それをテレビでも見たかったから、かな?」
私がポツリポツリとそう打ち明けると、湊人君は大きく息を吐き、頭をガシガシと掻いた。
「面と向かってそう言われると恥ずかしいんだけど」
「え、あ、ご、ごめんなさいっ!」
「……いや、謝らなくていいよ」
湊人君の頬や耳が赤くなっている。それを見て、私からはくすりと笑いが漏れてしまった。湊人君はぷいっと顔をそむけてしまう。
「俺の方こそ、ありがとう」
「え?」
「好き嫌い、直してくれて。あと、応援してくれて……アンタの事、初めはやべー奴だとおもったけど……」
彼はそこで言葉を区切った。そして、もごもごと口を動かす。聞き取れなくて、私は「え?」と聞き返してしまう。
「だから! うまいメシ作るし、めっちゃいい人だなって思ったってだけ!」
「あ、あり、ありがと」
「おうっ! ……そうだ、一つ俺からもお願いがあるんだけどいい?」
私は小さく頷いていた。
***
数日後、私は優奈の家を訪れていた。リビングにある大きなテレビには昨日の『キラモニッ☆』が流れていた。どうやら録画していたらしい。
「あら、穂花ちゃん、久しぶり」
「お久しぶりです、優奈のお母さん」
前髪に付けたカーラーを取りながら、優奈のお母さんが挨拶をしてくれた。中学生の時はたまに遊びに来ていたから、ここに来るのはそれ以来になる。
「お母さん、時間大丈夫?」
「あ! 大変! お父さんに怒られちゃう……穂花ちゃん、ごめんねぇ、優奈のご飯の面倒見てもらって」
「いえいえ、私も食べてもらえると助かるので」
優奈のお母さんはにっこりと笑って、バタバタと出て行ってしまう。外からは車のエンジン音が聞こえてきた。今日は夫婦二人でデートらしい。仲睦まじい姿に憧れてしまう、私もこうなれたら良かったのに。
「また余計な事考えてるでしょ」
優奈が私の頭の中を見抜いた。
「あの夫婦は特殊だから、参考にはならないよ」
「そうなの? 楽しそうで羨ましいけど」
「娘から見るとちょっと恥ずかしいよ。……あ、これが例のご飯ね」
保存容器を開けると、おにぎりにした『キノコの炊き込みご飯』が現れる。今日はこれを食べながら、Oceansがキノコ狩りに行くロケを一緒に見ようと約束したのだ。
優奈はOceansの事を良く知らないから、食べながら軽く説明をする。私の部屋にやって来て変な依頼をしていった、リーダーのKOTAとダンス担当のYOSUKE、そして隣に住んで私の料理を食べてくれるMINATO。優奈は湊人君を見て「女遊びしてそう」と呟いた。……優奈の勘に背筋がぞくっとする。彼女はこういう隠していることを見抜く力があるに違いない。
『さて、今週の【チャレンジ! Oceans!】ですが、僕たち、秋の山にキノコ狩りに行ってきました』
KOTA君がそう言って、ロケのVTRに切り替わる。キノコ狩り名人というおじいさんと共に山に登り、食べられるキノコを探していく。三人は泥だらけになっていくけれど、楽しそうだ。この笑顔を見ることができて、ファンの皆に見せることができて、心の底からホッとする。
キノコ狩りを終え、VTRの湊人君がこう話し出す。
『俺からスタジオの皆さんに、特別なお土産を用意してます! CMの後、お楽しみに!』
リモコンを持っていた優奈がさくっとCMを飛ばした。スタジオの賑やかな様子がすぐに映りだす。
『えー! MINATO君からのお土産ってなんだろう?』
MCがわざとらしく口を開く。スタッフが台車に乗った炊飯器をスタジオに運んできたとき、優奈が「おっ」と声をあげた。
「アレがコレ?」
優奈の指先がテレビ、そして私が持ってきたキノコの炊き込みご飯を指す。
「うん、そう」
「すごいじゃん。穂花の料理がテレビに出てる!」
けれど、すごいのは私じゃない。
『俺特製の、キノコの炊き込みご飯です!』
炊飯器を開けると、彼らが取ってきたキノコで出来た炊き込みご飯が入っている。彼のお願い事とは、これの作り方を教えてほしい、とのことだった。どうして? と聞くと、湊人君は少し赤く染まった鼻の頭を掻いてこう答える。
「いや……ファンを喜ばせたいなって思っただけ」
作り方はとても簡単、調味料と研いだお米、キノコを炊飯器に入れるだけ。キノコの石鎚もハサミで切り落とせば包丁を使わずに済むから、彼が怪我をすることはない。実際、テレビの中の湊人君の手は綺麗なままだった。
『おいしい!』
キラモニッ☆の出演者が、口々にその言葉を繰り返す。それがなぜか、私に向かって投げかけられているような気がして少しだけ胸が温かくなっていく。テレビの湊人君もニヤリと笑って嬉しそうで、KOTA君は彼の事を肘でグリグリと押し、YOSUKE君はニコニコと嬉しそうに湊人君を見つめている。私が見たかった表情がそこにある。
「それじゃ、私もいただこうかな」
「はい、どうぞ召し上がれ」
「ふふ! いただきまーす!」
そう言って恐る恐る、もう一口食べた。そして「同じだ」と呟く。
「意外とおいしいでしょ?」
「俺さ、もっとキノコってぐにょぐにょしてて、変な匂いがしてマズイものだと思ってたんだけど……すごい良い匂いするんだね」
彼はさらに食べ進めていく。あっという間に一膳食べ尽くし、そして空になったお茶碗を私に見せて「お替り、ある?」と控えめに聞いてきた。笑みの止まらない私は、今度は大盛にして彼に差し出した。
「これで、キラモニッ☆の企画も大丈夫かな?」
「……悔しいけど、たぶん。あー、俺、キノコ食えたんだ」
「知らなかっただけで、きっと苦手だった味は克服できていたんだよ」
子どもの頃の苦手意識がきっと克服する気持ちを妨げていたんだ。一度そのハードルを越えると、彼はどんどんと前に進んでいってしまう。その背中こそ、きっとファンの皆が一番見たいものだ。
「ねえ、何でここまでしてくれるの?」
結局3杯もお替りをした湊人君は「ごちそうさま」と言った後、そう口を開いた。
「どうしてって……KOTA君とYOSUKE君に頼まれたから……」
「アンタって、ホント人が良いよな」
「それに、私もMINATO君のファンだからかな」
「はぁ? なにそれ?」
キラキラと輝く姿を一番見たいのは、きっと私だ。
「私、あの家を出たけどまだまだネガティブな事ばっかり言ってて、友達に気分転換にって渡されたのが、Oceansが載っている雑誌だったの」
アイドルが好きだったけれど遠ざかっていた私のために優奈が用意してくれた一冊、そこで、私は彼らに出会った。自信にあふれるその姿、巧みなダンス。そして何より、MINATOの歌声が私の心を強く揺さぶった。それは、私が今を生きているという証だった。
「だから、MINATO君には誰よりもキラキラ光って、頑張って欲しいって思って……私ができる応援って、テレビを君のことを見ることとご飯を作ることだけだから。それにね」
「……うん」
「湊人君が美味しそうにご飯食べてくれるところ、見るのが好きなの。見てると、良かったなって安心できるし……それをテレビでも見たかったから、かな?」
私がポツリポツリとそう打ち明けると、湊人君は大きく息を吐き、頭をガシガシと掻いた。
「面と向かってそう言われると恥ずかしいんだけど」
「え、あ、ご、ごめんなさいっ!」
「……いや、謝らなくていいよ」
湊人君の頬や耳が赤くなっている。それを見て、私からはくすりと笑いが漏れてしまった。湊人君はぷいっと顔をそむけてしまう。
「俺の方こそ、ありがとう」
「え?」
「好き嫌い、直してくれて。あと、応援してくれて……アンタの事、初めはやべー奴だとおもったけど……」
彼はそこで言葉を区切った。そして、もごもごと口を動かす。聞き取れなくて、私は「え?」と聞き返してしまう。
「だから! うまいメシ作るし、めっちゃいい人だなって思ったってだけ!」
「あ、あり、ありがと」
「おうっ! ……そうだ、一つ俺からもお願いがあるんだけどいい?」
私は小さく頷いていた。
***
数日後、私は優奈の家を訪れていた。リビングにある大きなテレビには昨日の『キラモニッ☆』が流れていた。どうやら録画していたらしい。
「あら、穂花ちゃん、久しぶり」
「お久しぶりです、優奈のお母さん」
前髪に付けたカーラーを取りながら、優奈のお母さんが挨拶をしてくれた。中学生の時はたまに遊びに来ていたから、ここに来るのはそれ以来になる。
「お母さん、時間大丈夫?」
「あ! 大変! お父さんに怒られちゃう……穂花ちゃん、ごめんねぇ、優奈のご飯の面倒見てもらって」
「いえいえ、私も食べてもらえると助かるので」
優奈のお母さんはにっこりと笑って、バタバタと出て行ってしまう。外からは車のエンジン音が聞こえてきた。今日は夫婦二人でデートらしい。仲睦まじい姿に憧れてしまう、私もこうなれたら良かったのに。
「また余計な事考えてるでしょ」
優奈が私の頭の中を見抜いた。
「あの夫婦は特殊だから、参考にはならないよ」
「そうなの? 楽しそうで羨ましいけど」
「娘から見るとちょっと恥ずかしいよ。……あ、これが例のご飯ね」
保存容器を開けると、おにぎりにした『キノコの炊き込みご飯』が現れる。今日はこれを食べながら、Oceansがキノコ狩りに行くロケを一緒に見ようと約束したのだ。
優奈はOceansの事を良く知らないから、食べながら軽く説明をする。私の部屋にやって来て変な依頼をしていった、リーダーのKOTAとダンス担当のYOSUKE、そして隣に住んで私の料理を食べてくれるMINATO。優奈は湊人君を見て「女遊びしてそう」と呟いた。……優奈の勘に背筋がぞくっとする。彼女はこういう隠していることを見抜く力があるに違いない。
『さて、今週の【チャレンジ! Oceans!】ですが、僕たち、秋の山にキノコ狩りに行ってきました』
KOTA君がそう言って、ロケのVTRに切り替わる。キノコ狩り名人というおじいさんと共に山に登り、食べられるキノコを探していく。三人は泥だらけになっていくけれど、楽しそうだ。この笑顔を見ることができて、ファンの皆に見せることができて、心の底からホッとする。
キノコ狩りを終え、VTRの湊人君がこう話し出す。
『俺からスタジオの皆さんに、特別なお土産を用意してます! CMの後、お楽しみに!』
リモコンを持っていた優奈がさくっとCMを飛ばした。スタジオの賑やかな様子がすぐに映りだす。
『えー! MINATO君からのお土産ってなんだろう?』
MCがわざとらしく口を開く。スタッフが台車に乗った炊飯器をスタジオに運んできたとき、優奈が「おっ」と声をあげた。
「アレがコレ?」
優奈の指先がテレビ、そして私が持ってきたキノコの炊き込みご飯を指す。
「うん、そう」
「すごいじゃん。穂花の料理がテレビに出てる!」
けれど、すごいのは私じゃない。
『俺特製の、キノコの炊き込みご飯です!』
炊飯器を開けると、彼らが取ってきたキノコで出来た炊き込みご飯が入っている。彼のお願い事とは、これの作り方を教えてほしい、とのことだった。どうして? と聞くと、湊人君は少し赤く染まった鼻の頭を掻いてこう答える。
「いや……ファンを喜ばせたいなって思っただけ」
作り方はとても簡単、調味料と研いだお米、キノコを炊飯器に入れるだけ。キノコの石鎚もハサミで切り落とせば包丁を使わずに済むから、彼が怪我をすることはない。実際、テレビの中の湊人君の手は綺麗なままだった。
『おいしい!』
キラモニッ☆の出演者が、口々にその言葉を繰り返す。それがなぜか、私に向かって投げかけられているような気がして少しだけ胸が温かくなっていく。テレビの湊人君もニヤリと笑って嬉しそうで、KOTA君は彼の事を肘でグリグリと押し、YOSUKE君はニコニコと嬉しそうに湊人君を見つめている。私が見たかった表情がそこにある。
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