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6 オムライスと(憧れの)ハートマーク
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どうしてここに? どうして、私が住んでいる場所を知っているの? どうして今日来なかったの?
どうして、私の事を開放してくれないの?
その問いに答えてくれる人は、きっとまだマンションの下で、この部屋の電気がつくのを待っているに違いない。私は怖くて、靴を脱いでそのままベッドに入り込んだ。早く雷雲が通り過ぎていくのを待つ子どもみたいに耳を塞いで、藤野さんがいなくなるのを待つ。
気づいた時には、夜明けだった。カーテンを閉めることもしなかったから、朝日がそのまま部屋に差し込んでくる。私は一睡もすることも出来ず、ベッドから這い上がった。窓から恐る恐るマンションの外を確認するが、彼の姿はそこにはない。やっと私は心の底から安心することができた。
「一応、優奈に連絡しておこうかな……」
一晩中放っておいたスマートフォンはバッテリー切れをしていた。私は充電器を差し、電源を付ける。通知画面を見ると、湊人君からメッセージが着ていた。
『今日、どうだった? 俺かっこよかったでしょ? 木曜日ちょっと遅くなるかもだけど、その時感想教えて!』
きらびやかなライトを浴びるMINATOではなく、画面の中にいるのはいつもの湊人君だった。私は簡単に返事をして、優奈にも昨晩の事をメッセージで送っておいた。二人ともまだ眠っているみたいで、既読マークはつかない。
「……お腹空いた」
こんな時でも、お腹は減るみたいだ。体に優しくて簡単な雑炊でもつくろうかな、と私は冷蔵庫から材料を取り出して、台所に立った。ネギを切ろうと包丁を取り出した時、その異変が起きた。
「……あっ」
包丁が手から滑り落ちていく。拾おうとしても、右手ががくがくと震え始めていた。あの家で料理をしようとしたときも、同じようなことがあった。
『あーあ、またお前のマズメシかよ。お前って本当に使えねーよな』
その声が、再び頭の中に戻ってきた。
***
「穂花サン、どうしたの?! 顔色悪いよ!」
木曜日が来てしまった。何とかなると思っていたけれど、あの包丁を持った時の震えがこの日までに治ることはなかった。湊人君には今日の朝「しばらく来ないでほしい」とメッセージを送ったのに、夕方、彼はやってきて私を見た途端血相を変えた。
「どっか悪いの?」
「そういう訳じゃ……」
「真っ青通り越して真っ白だよ。とりあえず、中入っていい?」
私が「いいよ」と言う前に湊人君は靴を脱ぎ、私の腕を引っ張って家の中に入っていく。リビングにあるあのフカフカの座布団に私を座らせて、小さく息を吐いた。
「大丈夫? バイトは行ってんの?」
「なんとか」
「無理すんなよ。メシは? 何食ってんの?」
その言葉にドキリと心臓が跳ね上がる。彼はそれに気づいたのか、さっとゴミ箱の中身を見たんだろう。驚きの声を上げて戻ってきた。
「何あれ! 全然食べてないじゃん!」
ゴミ箱の中にはゼリー飲料の空き容器しかない。食事が喉を通らなくて、あれしか飲む事しかできなかった。
「……何かあった?」
私は首を横に振るけれど、彼には何があったのかお見通しだったみたいだ。
「もしかして、旦那絡み?」
その言葉に思わず震える。
「どうしたの? 連絡が来て、何かひどいこと言われたとか?」
「そうじゃないの……こ、このマンションに、来てたの」
「はぁっ!? なにそれ! アンタの弁護士にその話言った?」
優奈に連絡して数時間後、電話がかかってきた。優奈は今まで見たことないくらい怒っていて、すぐに藤野さんの弁護士に連絡してくれたらしい。けれど彼は「そんなところに行ってない」「知らない」の一点張りだったらしい。私の見間違いでは? と相手の弁護士は言っていたみたいだけど、優奈は全面的に擁護してくれた。私がそんな下らない嘘をつくわけないって。それに、私も絶対の自信があった。私のことを、あんなに冷たい視線で見てくるのはこの世界で彼しかいない。
何度か外出したけれど、アレ以来藤野さんらしき人影をみることはなかった。それでも……私の心には拭えない恐怖がべったりと張り付いている。包丁すら握れないくらいに。
料理が出来なくなったことを優奈にはまだ話していない。ただでさえ迷惑をかけているのに、さらに心配させてしまう。しかし、湊人君にはそれがお見通しだったみたいだった。
「旦那の事見ちゃったから、料理怖くなったの?」
頷く。すると、頭を暖かいものが覆った。湊人君の手だった。
「怖かったね」
そう言って優しく頭を撫でてくれる。湊人君にも迷惑をかけてしまった。私は小さく「大丈夫だから」と繰り返す。でも、湊人君は「全然大丈夫には聞こえないわ」と呟いた。
「よし! 俺が体にいいご飯を作ってあげたいところだけど、それは出来ないから……何か食べに行こうよ」
「……え、でも……」
「さっき帰ってきたとき、マンションの周りに誰もいなかったし、大丈夫でしょ」
「ち、違うの。その心配じゃなくって……」
人気男性アイドルが女性と一緒に出歩くのが誰かに見られたらどうするつもりなの? この前一緒にショッピングモールに出かけた時に投げかけた疑問に、彼はあの時と同じ返事をした。
気づけば、茶髪のウィッグに黒縁の眼鏡、ニット帽をかぶった湊人君と洋食のレストランに来ていた。高齢の男性とその息子さんとで営んでいるこじんまりとしたお店で、湊人君は時々来るらしい。
「ここのおじさん、テレビ見ないらしいんだよね。俺のことも知らないから、気軽に来れるんだ。隠れ家ってやつ」
そう言ってメニューを差し出す。デミグラスソースの煮込みハンバーグや、エビフライ定食、ナポリタンと言った料理が並んでいる。湊人君は早々にハンバーグ定食を選んだ。私は少しだけ時間を貰って、オムライスを注文する。
「ここのオムライス、おいしいよ。卵もトロトロで」
「そうなんだ、楽しみ」
その言葉を聞いた途端、お腹が小さくなった。私は恥ずかしくなって顔を伏せるけれど、湊人君には聞こえなかったみたいだ。私はほっと息をつく。
「こういうところに来ると、いつもオムライス頼むんだ、私」
「へー。穂花サンは、オムライス好きなの?」
どちらかと言えば好きな方かな? そう思った私は頷いていた。その瞬間、パッと彼の顔が明るくなった。
「それなら、俺今度作ろうか? そうだ、来週の木曜日とかどう?」
「え゛?」
「変な声出さなくたっていいじゃん……へこむわぁ」
「だって、湊人君、料理できないじゃん……」
湊人君は「そうだよ」と強く頷く。
「でも、穂花サンに元気になって欲しいし」
「湊人君が出てるテレビ見るだけで、私元気になれるよ」
「なれてねーじゃん。説得力ゼロ」
言い返すことが出来なくて私は押し黙る。
「アイドルのMINATOとしてじゃなくって、ただの湊人として、穂花サンを元気付けたいんだよ。それなら、まずはご飯かなって。人間、飯食えば元気になるだろ?」
そう言ってニカッと湊人君は笑う。湊人君の笑顔には、目に見えない力があるに違いない。だって、今、私の胸が温かくなっている。その笑顔に釣られるように、気づかぬうちに私も微笑んでいた。
それを見た瞬間、湊人君が少し驚いたような表情をしていた。そしてすぐに真顔に戻って、ふっと顔をそむけてしまう。温かくなっていた心が一瞬にして冷え込んでいく。
「もしかして、私といるの、嫌? 不快?」
気づけば少し前のめりになって、湊人君にそう問いただしていた。不安が渦巻いて、手が少し震える。湊人君は首をぶんぶんと激しく横に振って「そういうわけじゃないから!」と繰り返す。
「違う、違うんだよ……なんか、穂花サンと一緒にいると……心地いいなって思って、自分でびっくりしただけ」
「……え」
「もー、恥ずかしい事言わせないでよね」
湊人君の頬が、ほんのりと赤く染まる。その言葉に嘘はなさそうだった。
「……生まれて初めて、そんな事を言ってもらったかも」
気づいた時には、私の頬には涙が伝っていた。
どうして、私の事を開放してくれないの?
その問いに答えてくれる人は、きっとまだマンションの下で、この部屋の電気がつくのを待っているに違いない。私は怖くて、靴を脱いでそのままベッドに入り込んだ。早く雷雲が通り過ぎていくのを待つ子どもみたいに耳を塞いで、藤野さんがいなくなるのを待つ。
気づいた時には、夜明けだった。カーテンを閉めることもしなかったから、朝日がそのまま部屋に差し込んでくる。私は一睡もすることも出来ず、ベッドから這い上がった。窓から恐る恐るマンションの外を確認するが、彼の姿はそこにはない。やっと私は心の底から安心することができた。
「一応、優奈に連絡しておこうかな……」
一晩中放っておいたスマートフォンはバッテリー切れをしていた。私は充電器を差し、電源を付ける。通知画面を見ると、湊人君からメッセージが着ていた。
『今日、どうだった? 俺かっこよかったでしょ? 木曜日ちょっと遅くなるかもだけど、その時感想教えて!』
きらびやかなライトを浴びるMINATOではなく、画面の中にいるのはいつもの湊人君だった。私は簡単に返事をして、優奈にも昨晩の事をメッセージで送っておいた。二人ともまだ眠っているみたいで、既読マークはつかない。
「……お腹空いた」
こんな時でも、お腹は減るみたいだ。体に優しくて簡単な雑炊でもつくろうかな、と私は冷蔵庫から材料を取り出して、台所に立った。ネギを切ろうと包丁を取り出した時、その異変が起きた。
「……あっ」
包丁が手から滑り落ちていく。拾おうとしても、右手ががくがくと震え始めていた。あの家で料理をしようとしたときも、同じようなことがあった。
『あーあ、またお前のマズメシかよ。お前って本当に使えねーよな』
その声が、再び頭の中に戻ってきた。
***
「穂花サン、どうしたの?! 顔色悪いよ!」
木曜日が来てしまった。何とかなると思っていたけれど、あの包丁を持った時の震えがこの日までに治ることはなかった。湊人君には今日の朝「しばらく来ないでほしい」とメッセージを送ったのに、夕方、彼はやってきて私を見た途端血相を変えた。
「どっか悪いの?」
「そういう訳じゃ……」
「真っ青通り越して真っ白だよ。とりあえず、中入っていい?」
私が「いいよ」と言う前に湊人君は靴を脱ぎ、私の腕を引っ張って家の中に入っていく。リビングにあるあのフカフカの座布団に私を座らせて、小さく息を吐いた。
「大丈夫? バイトは行ってんの?」
「なんとか」
「無理すんなよ。メシは? 何食ってんの?」
その言葉にドキリと心臓が跳ね上がる。彼はそれに気づいたのか、さっとゴミ箱の中身を見たんだろう。驚きの声を上げて戻ってきた。
「何あれ! 全然食べてないじゃん!」
ゴミ箱の中にはゼリー飲料の空き容器しかない。食事が喉を通らなくて、あれしか飲む事しかできなかった。
「……何かあった?」
私は首を横に振るけれど、彼には何があったのかお見通しだったみたいだ。
「もしかして、旦那絡み?」
その言葉に思わず震える。
「どうしたの? 連絡が来て、何かひどいこと言われたとか?」
「そうじゃないの……こ、このマンションに、来てたの」
「はぁっ!? なにそれ! アンタの弁護士にその話言った?」
優奈に連絡して数時間後、電話がかかってきた。優奈は今まで見たことないくらい怒っていて、すぐに藤野さんの弁護士に連絡してくれたらしい。けれど彼は「そんなところに行ってない」「知らない」の一点張りだったらしい。私の見間違いでは? と相手の弁護士は言っていたみたいだけど、優奈は全面的に擁護してくれた。私がそんな下らない嘘をつくわけないって。それに、私も絶対の自信があった。私のことを、あんなに冷たい視線で見てくるのはこの世界で彼しかいない。
何度か外出したけれど、アレ以来藤野さんらしき人影をみることはなかった。それでも……私の心には拭えない恐怖がべったりと張り付いている。包丁すら握れないくらいに。
料理が出来なくなったことを優奈にはまだ話していない。ただでさえ迷惑をかけているのに、さらに心配させてしまう。しかし、湊人君にはそれがお見通しだったみたいだった。
「旦那の事見ちゃったから、料理怖くなったの?」
頷く。すると、頭を暖かいものが覆った。湊人君の手だった。
「怖かったね」
そう言って優しく頭を撫でてくれる。湊人君にも迷惑をかけてしまった。私は小さく「大丈夫だから」と繰り返す。でも、湊人君は「全然大丈夫には聞こえないわ」と呟いた。
「よし! 俺が体にいいご飯を作ってあげたいところだけど、それは出来ないから……何か食べに行こうよ」
「……え、でも……」
「さっき帰ってきたとき、マンションの周りに誰もいなかったし、大丈夫でしょ」
「ち、違うの。その心配じゃなくって……」
人気男性アイドルが女性と一緒に出歩くのが誰かに見られたらどうするつもりなの? この前一緒にショッピングモールに出かけた時に投げかけた疑問に、彼はあの時と同じ返事をした。
気づけば、茶髪のウィッグに黒縁の眼鏡、ニット帽をかぶった湊人君と洋食のレストランに来ていた。高齢の男性とその息子さんとで営んでいるこじんまりとしたお店で、湊人君は時々来るらしい。
「ここのおじさん、テレビ見ないらしいんだよね。俺のことも知らないから、気軽に来れるんだ。隠れ家ってやつ」
そう言ってメニューを差し出す。デミグラスソースの煮込みハンバーグや、エビフライ定食、ナポリタンと言った料理が並んでいる。湊人君は早々にハンバーグ定食を選んだ。私は少しだけ時間を貰って、オムライスを注文する。
「ここのオムライス、おいしいよ。卵もトロトロで」
「そうなんだ、楽しみ」
その言葉を聞いた途端、お腹が小さくなった。私は恥ずかしくなって顔を伏せるけれど、湊人君には聞こえなかったみたいだ。私はほっと息をつく。
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「へー。穂花サンは、オムライス好きなの?」
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「え゛?」
「変な声出さなくたっていいじゃん……へこむわぁ」
「だって、湊人君、料理できないじゃん……」
湊人君は「そうだよ」と強く頷く。
「でも、穂花サンに元気になって欲しいし」
「湊人君が出てるテレビ見るだけで、私元気になれるよ」
「なれてねーじゃん。説得力ゼロ」
言い返すことが出来なくて私は押し黙る。
「アイドルのMINATOとしてじゃなくって、ただの湊人として、穂花サンを元気付けたいんだよ。それなら、まずはご飯かなって。人間、飯食えば元気になるだろ?」
そう言ってニカッと湊人君は笑う。湊人君の笑顔には、目に見えない力があるに違いない。だって、今、私の胸が温かくなっている。その笑顔に釣られるように、気づかぬうちに私も微笑んでいた。
それを見た瞬間、湊人君が少し驚いたような表情をしていた。そしてすぐに真顔に戻って、ふっと顔をそむけてしまう。温かくなっていた心が一瞬にして冷え込んでいく。
「もしかして、私といるの、嫌? 不快?」
気づけば少し前のめりになって、湊人君にそう問いただしていた。不安が渦巻いて、手が少し震える。湊人君は首をぶんぶんと激しく横に振って「そういうわけじゃないから!」と繰り返す。
「違う、違うんだよ……なんか、穂花サンと一緒にいると……心地いいなって思って、自分でびっくりしただけ」
「……え」
「もー、恥ずかしい事言わせないでよね」
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